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【地域防災】犠牲者ゼロ、水害の町の教訓は 吉田川決壊の宮城・大郷

2020年11月30日

宮城県大郷町の中粕川地区は、昨年10月の台風19号による豪雨で近くを流れる吉田川の堤防が決壊したのに、1人の死傷者も出さなかった。この理由を探ろうと、KHB東日本放送と東北大学が共同で聞き取り調査を実施。当時の住民の避難行動を検証した。KHBと東北大は、今年2月から6月にかけて中粕川地区の住民105世帯311人のうち53人から聞き取った。その結果、7割(37人)が避難の理由を「過去の水害を思い出したから」と回答。9割近い47人は、事前に避難場所を決めていた。この地区では、町の呼び掛けで2006年に防災組織を立ち上げ、災害時のマニュアルや支援が必要な世帯が一目で分かる地図を作製。毎年、避難訓練を実施してきた。効率的に回るため、避難状況を周囲に知らせる旗を玄関先に取り付けるルールも設けていた。共同調査をした東北大の佐藤翔輔・准教授(災害科学国際研究所)は「過去の経験は途切れやすいが、中粕川地区では自分の体験や家族との対話をもとに、水害がどういった現象か、シミュレーションしながら学んでいた。それが、水害への危機意識を高め、事前避難につながった」と分析した。そのうえで「消防団員らの呼び掛けが、住民を家から追い出して避難場所へ促した。災害時、訓練通りにいかない部分も、共助でカバーできるということを教えている」と話す。ただ、課題も残った。午後11時10分には警戒レベル5に当たる「大雨特別警報」が発令されたが、5軒ほどが避難せず残っていた。要介護者がいる、移動手段がない、といった理由だった。大雨特別警報が解除された明け方に、避難所から自宅へ戻った住民も5人ほどいた。河川氾濫に詳しい東北大の橋本雅和・助教は「山に降った雨が川に流れ決壊するまでには時間がかかる。雨がやんだ後も、氾濫のリスクを考える必要がある」と警鐘を鳴らす。【11月29日 朝日新聞より】

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