運営
内閣府政策統括官(防災担当)
協力
防災推進協議会

リレー寄稿

地域防災の担い手をご紹介

寄稿者様への御連絡は、各御所属先へお問い合わせください。

【能登地震】中川和之(なかがわかずゆき)

時事通信社客員解説委員

主な活動地域
石川県 珠洲市
最近の防災・減災活動

現時点で、能登半島地震の(事前及び事後の)対応で良かったこと、今からでも改善されたら良いと考えること、そして、それらの理由を教えてください。

2023年5月の地震(M6.5) の翌日、珠洲市が市町村単位では初と思われる医療福祉介護の調整本部を、NPO・NGOや医療関係者とで作ったことで、2024年元旦の地震直後からこの経験を活かした活動が行われたこと。一連の群発地震について、珠洲市では金沢大の専門家を招いて、2022年1月に「地震に関する意見交換会」、2022年6月に「能登半島地震から15年シンポジウム」を開催。地元の高校生が行った地域防災活動なども披露され、市民の1%以上に当たる参加者が、能登半島ではもっと大きな地震が発生する可能性を聞いていたこと。1964年新潟地震以降の津波被害の記憶が伝承され、多くの人が逃げることができたこと。これらは、近年の地震災害では例がない素晴らしいこと。一方で、2007年能登半島地震で政府の拠点が被災地ど真ん中の輪島市に置かれ、穴水町も含めた現場の悩み事を、県が主催する県市町合同会議に各省庁のリエゾンも入って議論。霞ヶ関テレビで本庁や国会にも共有されて次々に解決できた。今回は、政府も県も被災地とは言いがたい金沢市の県庁で調整を行ったことは信じがたい。2004年中越地震の反省が活かされていない。

能登半島地震から、今後の日本が学ぶべきこと、御自身の活動分野で改善が求められることは、どんなことですか?

明治初期まで日本海は表日本であり、大陸から受け入れる文化の最前線だったことが、能登の歴史で実感出来る。そこにも埋もれているはずの過去の地震を丁寧に拾い出し、これから進むであろう地球科学的な研究と、日本列島の歴史や文化にある過去の災害経験を丁寧に探し出す取り組みなど、多様な分野で活動をする方々をつなぎ合わせることが私の役割。広く日本列島の各地で、大地の営みに向き合いながら豊かな日本列島での暮らしを作り続けるような次世代が育つことになり。それが、いざというときにも、地域が誇りを持って受援力を働かすことが出来る。そんような日本になるお手伝いをしていきたい。

これからの能登半島が、どのように復興していくことを期待されますか?そこに、御自身はどのように関わる予定ですか?

南海トラフ地震や首都直下地震だけでなく、いずれは必ずある大規模カルデラ噴火に襲われる日本。その時に世界の人びとの支援を受け入れながら、その災害を経験した者だからこそ果たせる世界中への新たな価値創造をするのが、この列島に住む私たちの責務である。いまの能登と、被災地外の関係を俯瞰してみてみると、支援受援というだけでなく、共に学ぶことは多く、価値創造出来ることは多いはずであり、その価値創造の一端を担うことが出来れば幸いである。
20代に1度訪れたことがあっただけの能登だったが、2007年の地震後に被災地としてだけでなく「まいもん」の地としても知り、2018年のボーイスカウトのジャンボリーにスカウトを連れて参加し、県の復興計画に書かれた「ジオパーク」の関係者でもあるので、当事者感を持っていろいろなルートで関わっていくことになる。

中川和之さんのこれまでの寄稿はこちら

関連タグ
ジオパーク
教訓伝承
能登半島地震
自治体
防災教育