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リレー寄稿

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【阪神・淡路大震災25年】三浦伸也(みうら・しんや)

2020年3月30日

【阪神・淡路大震災25年】三浦伸也(みうら・しんや)

国立研究開発法人 防災科学技術研究所

出身地:佐賀県
最近の防災・減災活動:「防災科学技術研究所の災害資料とデジタルアーカイブ―自然災害資料の収集・整理・発信」『デジタルアーカイブ・ベーシックス2 災害記録を未来に活かす』 勉誠出版、 2019年8月
災害と図書館2019「災害アーカイブの発展と継承 ~東日本大震災を例に」図書館総合展パネルディスカッション
「防災対策における市民の役割と参加型リスクコミュニケーション ー西日本豪雨災害における市民のアクションから災害と情報の関係を捉えなおすー」 2019年 社会情報学会大会 「WS4 災害と情報の関係を捉えなおす」
「災害時にコミュニティ放送をより活かすための研究 ─ 南海トラフ巨大地震影響域のコミュニティFM局に対する調査を通じて ─」第32回日本リスク学会年次大会発表
「災害時の避難に備える ―近年の災害における被害の実態をふまえて―」世田谷区奥沢地区防災塾

あなたにとって、阪神・淡路大震災とはなんですか?

私にとって、1995年1月17日の兵庫県南部地震(阪神大震災)は、約2ヶ月後に起こったオウム真理教サリン事件、11月に発売されたWindows95とインターネット普及の始まりなど、不安と不気味な社会と一見明るくみえる情報通信社会が混在した世紀末に向けた新たな時代の始まりの出来事でした。当時、私は防災に直接関わっていたわけではありませんが、阪神大震災の課題として、情報とコミュニティの課題があり、その後、この課題の解決に向けての研究をはじめるきっかけとなりました。
また、兵庫県南部地震が発生した1995年は、単なる偶然かも知れませんが、(吉見俊哉が指摘するように)25年区切りで考えると、1945年の敗戦、1970年の大阪万博、そして1995年の兵庫県南部地震(阪神大震災)と、日本にとってエポックとなった年だと感じています。その延長に2020年があると考えると、今年も大きなエポックになるのではないかと考えられます。現在、新型コロナ感染症が拡大し、大きな影響を与えつつあり、これは日本のみならず、グローバル化した日本あるいは世界のエポックになると考えられます。


社会にとって、阪神・淡路大震災はどういう課題を残し、それはどれだけ解決したと思いますか。

兵庫県南部地震が発生した1月17日5時46分、私は東京の世田谷で朝のNHKニュースを観ていて、関西で地震が起こり、神戸放送局と連絡が取れないという情報が流れたのを覚えています。この地震では、「耐災害性に優れたネットワークなど、災害に強いICTインフラの構築に向けた取組が必要」であることが、平成23年版情報通信白書に記されています。災害時における通信の輻輳は随分改善されましたが、東日本大震災とそれ以降の災害での通信状況をみると、まだ十分ではありません。
また、兵庫県南部地震は、当時まだ黎明期であったインターネット等の情報通信手段の活用などの課題を残しました。その後、情報通信技術の進化とともに、災害時の情報通信手段も多様になり、共有できる情報も格段に増えました。熊本地震からは、地震発生から12分で全壊・半壊棟数が推定できるようになり、発災後、優先して支援する地域が判断できるようになりました。道路通行情報、断水、給水、空中写真などの情報も発信されるようになっており、兵庫県南部地震の課題の多くは解決されたようにみえます。
しかしながら、発災時、応急・復旧時の(主に行政からの)被害・被災情報の取りまとめや発信については、未だ多くの課題があり、速やかな情報収集、入力、発信ができるような体制が必要です。また、被災現場の住民からの情報をどのようにタイムリーに収集・対応するのか、さらに住民(被災者)へ情報をどう伝えるかも、残された課題です。


残された課題の解決のために、社会には何が求められるとお考えですか。そのために、あたたは何をされていきますか。

残された課題の解決のために、情報通信技術の進化、あるいは情報による支援だけではなく、社会に組み込まれた防災が必要ですし、求められていると考えます。そのために、現在、防災活動や行動への税の軽減や優遇金利などのインセンティブ防災についての研究や、新学習指導要領のなかでの学校防災への支援をすすめています。社会の仕組みのなかに、防災が前提として組み込まれると、災害による被害は最小化され、災害時の情報もより集まりやすくなるのではないかと考えられます。情報を「集める」から、情報が「集まる」という状態を作れるようにするとともに、研究成果を災害現場へフィードバックし、災害による被害を最小化するよう努めていきたいと考えています。