まなべる、いかせる、つながれる。防災・減災のオンライン基地。

運営:防災推進協議会 企画編集:助けあいジャパン 協力:内閣府防災担当

リレー寄稿

安江 哲(やすえ・さとし)

株式会社 北未来技研 代表取締役社長
株式会社 ドーコンモビリティデザイン 代表取締役社長
株式会社北海道エアシステム 取締役(非常勤)
公益財団法人ツール・ド・北海道協会 理事

生年月日:昭和27年8月19日生まれ(62歳)
出身地:北海道伊達市
最近の防災・減災活動:サイクルシェアリングを通じたまちづくり〜札幌みんなのサイクル ポロクル〜」を7年前から研究を進め、事業化4年目を迎えました。
「ポロクル」(名称:札幌のポロにサイクルのクルでポロクル)は、事前に専用サイト等で登録をした利用者が「サイクルポート」と呼ばれる無人の貸出拠点でICカードや携帯電話により利用者認証を行うことにより、自転車を自由に借りたり返したりすることができるサービスで、札幌都心部を中心に貸出ポートは47箇所、自転車350台で運営しています。2年前から札幌市と防災協定を結び、札幌市内での直下型地震災害時に行政や災害支援関係者の避難場所との移動や連絡等における初動移動を支援するため、ポロクルを貸出すシステムを構築。 国土交通省白書2013 にも掲載。
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h24/hakusho/h25/

・地域防災にはまったきっかけは?

2003年(平成15年)、土木学会コンサルタント委員会の副幹事長を勤めていたことがきっかけです。その時は1995年1月17日に発生した「阪神淡路大震災」から8年半が経過しており、土木学会の地震工学委員長を中心に「10年目の特別行事」の企画会議に招集された時からです。
阪神淡路で発生した大震災は、死者約6,500人、負傷者約44,000人の大惨事でありました。その死亡者の内訳で一般家屋の下敷きや火災で亡くなられた方々が4,800人も犠牲になっていた事実に目を向け、日本の歴史上初の建築学会との共同特別行事を開催する企画を提案した事です。開催テーマは、「市民が学会とともに考える東京の地震防災」です。おりしも、「NPO法人東京いのちのポータルサイト」と協働関係を結び、阪神淡路で亡くなられた方々の弔いとして、いずれは来る関東直下型地震に一人でも多くの命が助かる防災力をテーマとして開催する事となりました。加えて、港区の小学生にも参加していただき、大学生がリーダーとなり、日本発の「子供達によるぼうさい体験隊」を結成し、東京港区の街並みを防災の視点で調査をしてもらいました。まさに、市民活動のNPO・町内会・小学校・土木学会・建築学会等の関係機関も含めた垣根を越えた防災の取り組みに我が人生のミッションが変わるほどにはまってしまいました。


・地域防災に関わって、改めて大切だと感じたことは?

2005年1月8日から9日の2日間にわたって、土木学会、日本建築学会、NPO法人東京いのちのポータルサイトの三者共催により、阪神淡路大震災10周年行事として「市民が学会とともに考える東京の地震防災」が建築会館において開催されたことを紹介いたします。初日には、基調講演とパネルディスカッションを中心としたシンポジウムが行われました。阪神淡路大震災を実際に体験された方などによる基調講演に続いて、土木構造物、建築物、災害時行動、行政等の専門家をパネリストとして迎え、「耐震対策の現状と課題」「来るべき地震に備えて」という2つのテーマでパネルディスカッションが行われ、東京の地震防災に関する活発な意見交換がなされました。

2日目は、初日に指摘された今後の課題をより深く議論することを目的として、「いのちを守る耐震補強」「帰宅難民と安否確認」「緊急ワークショップ:新潟中越地震から東京は何を学ぶか」という3つのテーマで、ワークショップが行われました。また、同時に日本損害保険協会の協力の下、小学生が近隣のまちを実際に歩き、防災について感じたことをまとめて発表する「ぼうさい探検」が同時に開催され、大人とはまた異なる視点での鋭い指摘がなされました。
初日のシンポジウムに約350人、2日目のワークショップへは約250人もの参加者が訪れました。シンポジウム時は立ち見がでるほどの盛況ぶりであり、首都圏の地震防災問題に対する関心の高さがうかがえました。
また、これらのメイン行事に併せて、先進的な防災トレーニングに取り組んでいるアメリカのCARD(Collaborating Agencies Responding Disasters)による「日米防災経験交流特別WS」、震災疎開パッケージの連携各地による特産品PR、市民ランナーが土木構造物などを見ながら東京の街を走る「第1回江戸鯰往還マラニック(マラソン大会)」、安否確認社会実験、各企業・団体・自治体の地震防災に対する取り組みに関する展示など紹介しきれない程のイベントが行われ、それぞれ多数の方が参加したのです。
あれから9年が経過し、阪神淡路大震災から来年の1月17日で20年を迎えます。
地域防災力を高める活動は、首都直下の地震が切迫している今日、専門家を含めた私たち市民が自分たちや地域、そして東京の命やくらしを守る当事者であることを再認識し、東京の地震防災をさらに前進させるために、更なる「市民が学会とともに考える東京の地震防災」の活動継続を希望するものです。


・地域防災・減災に取り組んでみて感じる今の社会課題は?

今から9年前の事ですが東京の地震防災をさらに前進させるために、「市民が学会とともに考える東京の地震防災」に関する12項目の宣言文をご紹介します。

<被害軽減への備え>
①市民主導の「耐震補強フォーラム」を設立しよう。
②耐震診断は建物所有者の社会的責任であるというルールを確立しよう。
③基盤整備されている市街地では、地震対策の基本として耐震補強を急ごう。
④基盤未整備の密集市街地では、耐震補強も防災まちづくりとして促進しよう。
⑤税制や保険制度など耐震補強を促進させる社会システムを整備しよう。

<災害対応への備え>
⑥昼間とは異なる夜間の災害対応活動に備えよう。
⑦帰宅困難者対策の基本である安否情報システムを確立しよう。
⑧事業者と市民が連携して、都市インフラ対策を充実させよう。

<地域・市民の取り組みの重要性>
⑨小学校・中学校・高等学校における防災教育を拡充しよう。
⑩地域の絆づくりを拡めよう。
⑪「楽しく防災する」活動の輪を広げよう。
⑫学会は市民と連携して防災科学技術の実践をめざそう。

本行事を通じて、地震防災、特に住宅の耐震補強に対する早急な取り組みの必要性と、学会の社会貢献として、これらの問題を市民と同じ目線で考えることの重要性が浮き彫りになりました。今度とも、より一層本行事のような取り組みの推進が重要であると考えられます。


・TEAM防災ジャパンの一員に推薦!という方をご紹介ください。

防災の専門家はたくさんいますが、先月、札幌にて「親子防災勉強会」を開催するにあたりご講演をいただいた法政大学地域観光・防災プロジェクト防災教育担当の中井佳絵(なかいよしえ)さんを推薦致します。

幼児や児童を持つ保護者にとって、在園・在校中や登下校時の被災は最も心配だと思います。そこで、地震・津波・土砂災害などの災害メカニズムを模型などを使って楽しみながら学習をしてもらう活動を行ない、子供がいざと言うときに、自分で避難行動が出来るよう、親子で一緒に避難の方法を導き出す教育を実践している方です。


・TEAM防災ジャパンへの想いをお願いいたします。

私は、土木技術者です。そのミッションは、東日本大震災での土木構造部が想定を超える外力で被災しましたがその結果を謙虚に受け止め、社会から求められる土木技術者であり続ける事だと思っています。また、常に時代と対話できる技術を始動していかなければならないとも思っています。しかし、日本社会は、その地域ごとの特性や社会環境そして、高齢化地域を抱えながら防災や減災活動は、非常に多くの課題を抱えている現状にあります。行政や情報への依存度が高い日本社会ですが情報が届いても避難しないなどの課題を抱えているのが現状です。

「防災」というディフェンス的な活動を積極的に行う事は、自分だけは被害に遭わない思い込みとのトレードオフとの戦いです。おそらく防災とは、未来に向けて未完成のままに「ゴールなき戦い」であると思います。
これからも、TEAM防災ジャパンの一員として、市民と同じ目線で戦い続けて行きたいと決意しております。