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運営:防災推進協議会 協力:内閣府防災担当

リレー寄稿

※寄稿者様へのご連絡は、各ご所属先へお問い合わせください。

岩原廣彦(いわはら・ひろひこ)

2017年5月30日

岩原廣彦(いわはら・ひろひこ)

国立大学法人香川大学
四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構 危機管理先端教育研究センター 副センター長 特命教授 

出身地:高知県高知市
最近の防災・減災活動
講演会
・四国遍路の心でつなぐ防災教育研究会主催:南海地震に備える香川の防災教育の現状と課題
・28年度 男女が共に活躍できるまちづくり:昭和南海地震体験者の証言・熊本地震等から学ぶ
・高知県主催:南海トラフ地震建築復旧技術に関する講習会:建築事業者のBCPについて~BCPの策定が自社の経営基盤強化と社会貢献に繋がる~ 他多数
論文
・南海トラフ地震時に四国の災害対応拠点が機能するための各施策と人材育成の課題と対策~熊本地震における基礎自治体の初動対応を参考にして~土木学会論文集F6(安全問題)2017.2
・南海トラフ地震災害復旧拠点における地域継続力向上の課題と施策 地域安全学会論文集 No.28, 2016.3
・建設プロジェクトのリスクマネジメントの観点から設計プロセスにおける課題と対策について - 発電プラント建設プロジェクト事故例からの検討 -土木学会論文集F6(安全問題)2016.1 他多数

・防災に取り組み始めたきっかけは?

大きなインパクトを受けたのはやはり、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。その当時私は、四国電力(株)グループの(株)四国総合研究所に在籍していましたが、地震津波の破壊力の大きさを目の当たりにして、人間が出来る力の限界と、計り知れない自然の脅威を感じました。私たちの命と財産を守ってくれると考えていた多くの防災目的のインフラストラクチャーが破壊される様を見て、防災におけるハード対策の限界を感じました。巨大な破壊力を持った自然災害対応として、防災はどうあるべきものなのかについて考えるきっかけとなりました。


・ご自身の活動の中で、一番のエピソード(うまくいったことや、いかなかったことも)という事例をひとつあげてください。

5年前から、香川県教育委員会の依頼を受けて香川県内の学校防災アドバイザー派遣事業(幼稚園から小・中・高等学校を対象)を行っています。この小学校の中に座学の知識教育だけでなく、授業参観日に体験型防災授業を取り入れているところあります。具体的には,学年に応じて、水消火器、バケツリレー、AED体験、土のう作り、ロープワーク、ゴミ袋で雨合羽作り、新聞紙でスリッパ作りなど、児童と保護者が一緒に体験できる体験型学習です。そして、この協力者は、地域の自主防災組織や、婦人会、消防団など小学校校区内の各種団体です。児童、保護者、自主防災組織が、この体験型学習をきっかけに、小学校を中心とした「地域防災ステーション」が出来つつあります。防災に無関心な子育て世代の保護者と、地域の自主防災組織の方々との交流により、保護者の方が地域の消防団に参加されるなど、小学校の防災授業参観から新たな「地域の防災ネットワーク」が始まろうとしています。


・防災活動は「つながり」が課題ですが、ご自身で感じる現状の課題についておしえてください。

防災訓練や防災講演を行うと参加者のほとんどが高齢者の方々です。地域の自主防災組織や婦人会の構成員もしかり。高齢化社会を迎え、時間に余裕のある元気な高齢者が参加していただくのは、高齢者の方々の自助活動に繋がるため大変ありがたいことです。一方で、子育て世代や大学生などの若年層は防災への関心や活動が少ない。同一地域内居住者の世代間のつながりが希薄になってきていることが危惧されます。この課題解決の一つに、上記の小学校の防災授業参観をきっかけに、児童の保護者と地域の自主防災組織や消防団が交流することにより、小学校を中心とした「地域防災ステーション」があります。このような地域の自主防災組織や消防団と子育て世代の防災に無関心な年齢層をつなぐ、体験参加型の面白い企画を作ることが出来ればと思います。


・ご自身の活動の中で、繋がれるといいなぁ(繋がってよかった)と思われる(地域、企業、団体、個人など)についてご紹介ください。

現在、中小企業や小規模市町村のBCPの作成普及に取り組んでいます。しかし、小さな組織では策定がなかなか進まないのが現状です。その理由は、よくいわれているように「BCPを策定したくてもノウハウ・スキルがない」「策定に人手が足りない」「BCPの重要性・必要性を感じない」「法律・規則等の要請がない」などが挙げられます。私は仮に、それらがあればBCPを策定するのだろうかという疑問がありました。問題は、策定する側がいかに「我がこと」意識が持てるかではないかと考えました。そこで、従業員や職員にとって、一番身近な家族の生き残り計画である家族継続計画(FCP:Family Continuity Plan)から取り組んでもらったら策定しやすくなるのではないかと考え、四国防災共同センター「四国防災・危機管理特別プログラム」の第3期生である町川和倫さんらと色々と協議しました。この考えに共感していただいた町川さんは、早速、ご自身のご家庭のFCPを作成され、その後、従業員の皆様にそれぞれFCPを考えてもらい、それから会社のBCPの策定にとりかかったところ、さほどの抵抗感もなく作成できたとのことでした。このような従業員や職員のFCP作成から組織のBCP作成へのアプローチも促進策の一つではないかと考えています。


・TEAM防災ジャパンサイトについて、期待されることについてメッセージをお願いいたします。

防災は様々な職種、地域の皆さんとの繋がりから、色々な対応方法を共有することで、対応能力も高まると思います。TEAM防災ジャパンサイトには様々な方からの貴重な情報が集まっています。このサイトを通して情報の収集と共有、そして、新たな人的ネットワークが構築することが出来ればと思います。