まなべる、いかせる、つながれる。防災・減災のオンライン基地。

運営:防災推進協議会 企画編集:助けあいジャパン 協力:内閣府防災担当

リレー寄稿

金思穎(きん・しえい)

日本学術振興会特別研究員(DC2・専修大学)、福岡大学非常勤講師

最近の防災・減災活動:
2019年3月専修大学博士(社会学)。博士論文のテーマは、「日中の都市コミュニティにおける地区防災計画づくりに関する実証的研究」。2014年度地区防災計画学会奨励賞(矢守賞)、2016年度同論文賞(室﨑賞)受賞。地区防災計画学会幹事・青年部長。
<主な著書>
・『防災の法と社会―熊本地震とその後』(信山社・2018年・共著)
・『大震災とICT~通信とメディアが震災復興と地域社会の再生に果たす役割~』(勁草書房・2019年・共著)
・『日中のコミュニティにおける防災活動の実証的比較研究』(地区防災計画学会・2017年・単著)
・『法と行政と市民社会』(地区防災計画学会・2016年・共著)
研究業績:https://researchmap.jp/jsy/

・防災に取り組み始めたきっかけは?

2008年の四川大地震では、わたくし自身も被災しましたが、多くの住民が被災したのをみて、大規模な自然災害から、住民の命を守るためにはどうしたらいいのか、特にコミュニティの共助をいかして防災力を高めていくにはどうしたらいいのかを考えるようになりました。その後、2014年の内閣府の『地区防災計画ガイドライン』の作成に関わる機会をいただきまして、社会学的な観点からコミュニティ防災について研究するようになりました。


・ご自身の活動の中で、一番のエピソード(うまくいったことや、いかなかったことも)という事例をひとつあげてください。

福岡大学で非常勤講師をしていますが、2016年の熊本地震、2017年の九州北部豪雨では、授業の受講生やその実家が被災しました。受講生の縁で、発災直後から被災地で支援や調査を行いましたが、復興期に入ってから、被災者の方々に地区防災計画制度についてお話したところ、「発災前に地区防災計画づくりをやっておけば、被害の状況も変わったのではないか。地区防災計画制度の話をもっと早く聞きたかった」と言われました。被災された方々の言葉を重く受け止めて研究を続けております。


・防災活動は「つながり」が課題ですが、ご自身で感じる現状の課題についておしえてください。

わたくしの研究の中で、地区防災計画づくりが契機となって、従来難しいといわれていた都市コミュニティやマンションコミュニティの防災活動が活発化し、ソーシャル・キャピタルが醸成されて、コミュニティが活性化している事例がいくつかございます。この点、人には、同じ考え方・同じ問題意識の人と一緒にいるほうが、幸福感が強くなるという「同質結合」という性質がありますが、都市コミュニティは人口が多く、多様な住民が住んでいますので、どの住民と一緒に活動するかという選択性が高く(アーバニズム下位文化理論)、防災の問題については、同じ考え方・問題意識を持つ人が多いことから、「同質結合」がうまく作用して防災活動の活発化につながっている可能性があると考えています。


・ご自身の活動の中で、繋がれるといいなぁ(繋がってよかった)と思われる(地域、企業、団体、個人など)についてご紹介ください。

ここまでコミュニティ防災に関する研究をなんとかやってこれましたのは、指導教員である大矢根淳先生(日本災害復興学会会長)、地区防災計画制度を創設された西澤雅道先生(前福岡大学准教授・内閣官房企画調整官)や筒井智士先生(元内閣府防災担当・NTT)をはじめとする地区防災計画学会の先生方の御指導のおかげでございます。


・TEAM防災ジャパンサイトについて、期待されることについてメッセージをお願いいたします。

熊本地震や九州北部豪雨後に、九州全体の防災意識が高まり、当時わたくしが住んでいた校区やマンションでも地区防災計画づくりが自然に始まり、住民の方から専門家としてアドバイスを求められました。その際に住民の方から、「地区防災計画づくりには、専門家の方のアドバイスが不可欠です」と言われました。コミュニティ防災の強化には、大学教員、行政関係者、行政OBによるNPO等の専門的な知識や経験を持つ外部有識者(外部資源)が大きな役割を果たしていると思います。当サイトは、外部資源となるような先生方が何人も登録されておりますので、今後御指導をいただければと思っております。