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【関東大震災100年】山本耕平(やまもとこうへい)

(株)ダイナックス都市環境研究所 代表取締役会長、NPO法人東京いのちのポータルサイト 副理事長、一般社団法人日本トイレ協会災害・仮設トイレ研究会 代表幹事、NPO法人雨水市民の会 理事長

主な活動地域
東京都 全域
最近の防災・減災活動

関東大震災から100年経ちましたが、教訓として伝わっていると考えられることはなんですか?

関東大震災の教訓はほとんど伝わってこなかったのではないか。東京都慰霊堂に展示されている震災時の阿鼻叫喚の絵画を見ると、ことさらそう感じます。また各地の災害伝承碑の風化もそのことを示していると思います。東京では震災復興事業による区画整理や道路、公園などが整備され、外縁部の木密地域の解消など長年にわたって地震や火災に強いまちづくりに取り組んできたはずですが、近年の臨海部の開発やタワーマンションの林立は安全安心なまちづくりという観点からは逆行しているようにも感じます。

いま、関東大震災級の地震が起きたら、心配なこと、解決していないと思う課題はなんですか?

私は水やトイレの問題に関心があり活動を行ってきました。関東大震災では汲み取り用の桶や運搬車などの機材が焼失したり、大きな被害を受けましたが、火災を免れた地域では1週間後に汲み取り作業が再開されるなど、現場では驚異的なリカバリーが遂げられました。現在のトイレは電気、水道、下水道のライフラインに支えられたシステムで、おそらく関東大震災級の地震では何週間もまともなトイレを使うことはできないでしょう。マンションは特にトイレに困ることは必至です。日頃からトイレの自助の必要性を訴えていますが、災害用の携帯トイレ等を備蓄している人は2割程度に過ぎません。また使用済み「便袋」の保管、分別収集や処理などの自治体側の計画も確立していません。あちこちに汲み取りができない汚れた仮設トイレが並び、災害廃棄物置場に糞便の入った袋が山積み・・・というような悲惨な状況が目に浮かびます。

関東大震災からの100年に学び、子孫たちに何をどう伝えていくか、考えていることをお聞かせ下さい。

関東大震災から100年の間にも、何度も大地震に見舞われました。子どもの頃には人生の中で、何度も大きな地震が起こるとは考えもしませんでした。この日本に生きるすべての人たちには、われわれは災害と常に隣り合わせに生きているという事実と、減災のためには一人一人の意識と平時からの行動が大切だということを伝えていきたいと思います。住んでいる土地と災害の歴史を学び、リスクを避ける住まい方や暮らし方のスキルを身につけることが大事だということを伝えて行く必要があると思います。

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