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【関東大震災100年】藤村望洋(ふじむらぼうよう)

NPO法人東京いのちのポータルサイト 副理事長

主な活動地域
神奈川県 鎌倉市
最近の防災・減災活動

関東大震災から100年経ちましたが、教訓として伝わっていると考えられることはなんですか?

関東大震災に関する俳句は少ない。大御所の高浜虚子が、(1)戦争や地震等時事俳句は俳句表現になじまない。(2)季語は遥かな過去とも未来とも連接する季節感であり、震災忌は、その時点に留まっており季語として成立しないと主張した。防災の観点からは、その時点に留まらず現在へと繋ぐ表現が肝要と思われる。当時は虚子と並び称された久保田万太郎は「精神の拠り所である場所から湧き出してくる安堵感や情緒的景観をことごとく粉砕し、消滅させたのが震災であった」として、(前書・震災のおもいでとや)「一トむかしまへうち語る切子かな」と詠んだ。

いま、関東大震災級の地震が起きたら、心配なこと、解決していないと思う課題はなんですか?

関東大震災の火事は、避難所の公園に持ち込まれた家財道具や、道路や橋などに渋滞したリヤカーや荷車の荷物に次々に火が回り類焼が拡がったことが拡大の一つの原因とされている。現代では、2023年8月20日神奈川県厚木市の駐車場で152台の車が次々と炎上した火災のように、駐車場や渋滞の自動車の列に火が回ると、関東大震災の家財道具よりも数段激しい爆発の連鎖が予想される。日本では電気自動車(EV)よりハイブリット車が先行しているが、大地震の防災対策としては、家庭や地域における太陽光発電と電気自動車の組み合わせが、爆発炎上対策として有効になると思われる。

関東大震災からの100年に学び、子孫たちに何をどう伝えていくか、考えていることをお聞かせ下さい。

「事前復興」という考え方があります。「いざ」という発災時の対策ではなく、発災後の復興を考えた取り組みを発災前の平時から持続的に行うということです。いざという時のための頑丈で重い雨傘ではなく、軽くて素敵な日傘を日常的に使いながら、それがいざというときにも役に立つとい考え方を「日傘雨傘理論」と称しています。日頃から全国の商店街がネットワークして「全国から美味しい救援物資がやってきた」という「ぼうさい朝市」を各地の地元で開催し、いざというときはその全国ネットワークで被災地を支援する仕組みは、東日本大震災の被災地・南三陸の「福興市」として「事前復興」の形を見事に実現しました。

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