運営
内閣府政策統括官(防災担当)
協力
防災推進協議会

防災教育チャレンジプラン

2024年度 宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校

プラン名 先端技術(デジタル)×現地調査(リアル)で探究する宮崎の防災
プランの対象 対象者 中学生 高校生 大学生 教職員・保育士等 対象人数 約30人
実施期間 2024年4月より2025年3月まで
目的

宮崎県内の地震・津波防災に関して、「先端技術(デジタル)」×「現地調査(リアル)」や「防災心理学(文系)」×「観測地震学(理系)」等の分野横断を意識した中高生主体の活動を年間通じて実施した。

五ヶ瀬中等教育学校の生徒は県下一円から集まることから、本校の生徒達が、宮崎県内の防災に関する課題を「自分ゴト」として捉えて、それを解決するために積極的に取組むことで、地域の「防災力」を直接的に高めることと同時に、その様子をマスメディアを通じて積極的に発信することで、県民の防災意識向上につなげるねらいがある。

学術界との連携としては、九州大学・杉山准教授との協働により、津波避難訓練アプリ『逃げトレ』を活用した実践的避難訓練を県内沿岸部において複数回実施した他、京都大学防災研究所・山下助教との協働により、本校の校内に高精度地震計を設置し、常時観測活動を行った。

主なフィールドは、県内有数の観光地である宮崎市青島地区とし、年数回の現地調査を実施。そのうち令和6年8月8日にフィールド調査を実施した際には、初めての南海トラフ地震臨時情報が発表された日向灘地震(M7.1)に、震源地に最も近い位置で遭遇し、本校生徒が率先避難者として周りを巻き込みながら、高台への避難を実行した。その翌日8月9日には、地域住民への緊急聞き取り調査を実施し、後述するように、大変貴重なデータを得ることができた。

またそれらの活動の成果を、日本地理学会や市民向けシンポジウム等において発表したり、行政関係者を交えたワークショップにおいて報告を行ったことで、実際に地域の課題が改善に向かいつつある。

内容

実践内容
「観測地震学」の知見を生かした学び
京都大学防災研究所との協働で、校内に高精度地震計を設置し、日常的に観測。
取得データをもとに、震源決定やマグニチュード計算などの演習を実施。

「防災心理学」の知見を生かした学び
九州大学との協働で、津波避難訓練アプリ「逃げトレ」を活用した避難訓練を実施。
GNSS技術を活用した避難戦略の検討。

フィールドワークと地域との連携
宮崎市青島地区での現地調査。
海水浴客やサーファー等へのアンケート調査。
行政や地域住民とのワークショップを実施。

防災意識の向上
メディアを活用し、活動を県民に広報。
防災シンポジウムや学会での発表。

成果
生徒が率先避難者として行動し、実際の地震発生時に周囲を巻き込みながら適切な避難を実施。
地域住民と行政との協働により、避難誘導看板の改善など、実際の防災対策に貢献。
メディア露出により、県民の防災意識向上に寄与。

成果

チャレンジしたこと
「防災心理学」と「観測地震学」を掛け合わせた中高生主体の探究活動。
デジタル技術(GNSS・GIS・地震計)とフィールドワークを融合した防災学習。
現地の地域住民や行政機関と対話し、実際の防災施策の改善に貢献。

成果
日向灘地震(M7.1)発生時に生徒が率先避難者として行動し、学習の成果が実際の避難行動につながった。
地域住民との緊急聞き取り調査により、避難行動の実態を把握し、行政との対話につなげた。
「逃げトレ」アプリを活用した避難訓練の成果を学会やシンポジウムで発表し、防災教育の新たなアプローチを提示した。

報告資料
団体紹介

宮崎県北地域の山間部に位置する、平成6年に開校した全国初の全寮制公立中高一貫校。1学年40名の小規模校で、宮崎県内各地から集まった生徒全員が、敷地内にある「こだま寮」で生活。開校当初より地域に根差した探究活動を精力的に行っており、令和5年度からは文部科学省「新時代に対応した高等学校改革推進事業(創造的教育方法実践プログラム)」の指定を受けている。隔週水曜日に実施している放課後の「教養講座」では、中学1年生~高校2年生の生徒11名と理科・社会科・情報科の教員が参加して、主に宮崎県内の地震・津波防災に関する研究活動を行っている。

連絡先 代表者名:上田聖矢 電話番号:0982-82-1255 メールアドレス:ueda-seiya@miyazaki-c.ed.jp