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リレー寄稿

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【東日本大震災10年】福和伸夫(ふくわ・のぶお)

2021年3月17日

【東日本大震災10年】福和伸夫(ふくわ・のぶお)

名古屋大学減災連携研究センター 教授

生年月日:1957年2月
出身地:愛知県名古屋市
最近の防災・減災活動:地域が主体になった防災・減災活動のため、名古屋周辺で「ひと・こと・もの・ば」作りに勤しむ。
見たくないことを見て、これからの災禍を乗り越えるため、信頼できる仲間が集まり、社会の不具合を本音で語り、問題の本質を見抜き、本気で実践する場作りを行う。
現役終了間近になって、経験豊かで意欲ある方々と出会い、互いに学び合い、現役の方々に迷惑をかけず、言いにくいことを言い、無私の心で実践するシニアパワーに心が動かされている。

あなたにとって、東日本大震災とはなんですか?

当日は、東京青山の高層ビルの中で、建築構造技術者向けに高層ビルの長周期地震動問題の講義をしている最中でした。
低減衰長周期構造物故、徐々に揺れが拡大し、いつ終わるかわからない大振幅の揺れに翻弄されました。メールで、東北の地震と知りました。テレビに映る被災地の映像は、南海トラフ地震で心配していたことそのものでした。
想定外だったのは福島原発事故です。10年間ゼネコンで原発の耐震研究に勤しんだ私にとって信じられないことで、自然への畏れ、巨大技術の危うさを実感しました。
南海トラフ地震の予想被災地に暮らす地震防災研究者の一人として、何としても被害を減らすため、被災地に学び、できる限りのことをしようと誓った災害です。


社会にとって、東日本大震災はどういう課題を残し、それはどれだけ解決したと思いますか?

所得税の増税などで全国民が支援し、被災地のハード復興を支えたことの意義は大きかったと思います。一方で、被災地での地域主体の自立性が十分ではなかったかもしれません。見たくないことを見ていなかった人間社会の弱さを突きつけられたことで、想定外を無くすこと、減災の考え方が広がったのはよかったと思います。
ですが、科学の限界と歴史からの学びの大切さ、津波からの事前復興、広域に液状化した低地の土地利用の問題、長周期地震動による高層ビルの揺れ、原発の安全性向上と電力不足による計画停電対応、首都における帰宅困難問題、公助の限界と自助・共助力の向上、社会インフラやライフラインの耐震強化など、十年間、あまり改善されていない課題も多いようです。


残された課題の解決のために、社会には何が求められるとお考えですか。そのために、あなたはこれから何をされていきますか。

魔法のような解決策はありません。あらゆる手段を駆使して被害を減らすしかありません。対策の足し算で被害の引き算をするため、時間軸、空間軸のすべての力を結集する必要があります。そのために必要な、ひと、もの、こと、ば、を作り続け、様々な連携協働を進めていきたいと思います。
この十年、名古屋圏で、減災連携研究センターの設立、減災館の開設、あいち・なごや強靭化共創センター、中部防災推進ネットワーク、本音の会や西三河防災減災連携研究会の設立など、本音を語り、本質を見抜き、本気で実践する試みをトライしてきました。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」で「災い転じて福となす」ために、今後も、Team防災ジャパンと手を携え、無私の心で地域での防災・減災活動を進(深)化させていく所存です。
あ・た・ま(明るく楽しく前向きな態度と頭)を大事に、ボケ防止をしつつ活動を続けていきます。