リレー寄稿
地域防災の担い手をご紹介
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【能登地震】早川直喜(はやかわなおき)
元札幌市防災担当職員(北海道大学公共政策大学院在学中)
- 主な活動地域
- 北海道 札幌市
- 最近の防災・減災活動
現時点で、能登半島地震の(事前及び事後の)対応で良かったこと、今からでも改善されたら良いと考えること、そして、それらの理由を教えてください。
私は北海道大学公共政策大学院(HOPS:ホップス)で学んでおりますが、高松泰教授の講義で、前国土交通省北陸地方整備局長の遠藤仁彦氏から、能登半島地震対応について、大変貴重なお話を伺う機会がありました。その中から、「建設業界全体の思いと底力が発災直後からの難局を支えた。建設業界の底力を再認識した」「能登半島はインフラ需要が少なく、地域の守り手も手薄だったため、広域的に守り手が集結した。全国的に地域の建設産業をどのように適切に維持していくのかが課題である」というお話をお伝えしたいと思います。避難所から現場に来て避難所に帰るという大変な被災生活の中、復旧工事にご尽力された地元の工事関係者の方々のお話に胸を打たれました。人口減少と高齢化が進む日本の重要課題の一つとして、インフラ業界における人材確保と人材育成を挙げたいと思います。
能登半島地震から、今後の日本が学ぶべきこと、御自身の活動分野で改善が求められることは、どんなことですか?
遠藤前局長のお話で、北海道にも能登半島と同じような地形や道路網が複数あることが分かりました。災害で道路が寸断した場合、緊急復旧に何日もかかり、通行できるようになっても、いつもより何倍も時間がかかるという不自由を覚悟しておかなければなりません。移動の不自由は、通勤・通学だけでなく、医療・障がい・介護サービスなどの利用も困難となるため、我慢や遠慮などから健康の悪化を招き、命にまで影響するので、こうしたことを防ぐため、行政サービスのDX化と住民同士による相談員的なゆるやかなつながりの重要性が一層高まるものと考えています。人口減少と高齢化が同時にやってくるこれからの社会では、自助・共助の力は弱まるため、地域に新しい仕組みやネットワークが必要になると思います。『福祉と防災【で】地域共生まちづくり』を進めるためにはどうすればいいかを考えています。
これからの能登半島が、どのように復興していくことを期待されますか?そこに、御自身はどのように関わる予定ですか?
能登が抱えていた人口流出や少子高齢化という「課題」が、今回の地震と豪雨により、一層深刻な状況に直面しています。石川県は、ジェンダー、イノベーション、デザインという先進的な思考により防災・災害復興を実践してきた国内屈指の気鋭の有識者を参画させ、創造的復興プランを策定しました。このプランが掲げる、難局を乗り越えるプロジェクトで、被災された方々の生活と生業が再建され、能登が輝きを取り戻すことを願っています。能登の創造的復興のプロジェクトは、今までの創造的復興をさらに先に進めたイノベーティブなもので、自分達のまちにおいても未来への道しるべとなるはずです。『人口減少と高齢化が同時に進行する社会における地域共生まちづくり』について、私は「気付きから新しい価値を紡ぎ出す」という視点で、デザインドリブン・イノベーションを考えたいと思います。
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