まなべる、いかせる、つながれる。防災・減災のオンライン基地。

運営:防災推進協議会 企画編集:助けあいジャパン 協力:内閣府防災担当

リレー寄稿

佐藤麗司朗(さとう・れいじろう)

公益社団法人東京都不動産鑑定士協会 理事・相談事業委員長
国土交通省地価公示・区部第9分科会 幹事、東京国税局(主幹・副統括)鑑定評価員、東京地方裁判所鑑定委員、災害復興まちづくり支援機構事務局員・運営委員(歴任)、有限会社つかさ不動産鑑定事務所 代表取締役・不動産鑑定士

出身地:東京都
最近の防災・減災活動:罹災証明書発行のための住家被害認定調査を『災害発生時において不動産鑑定士に求められる社会的使命』と位置付け、全国の不動産鑑定士に向けて研修を実施するとともに、平常時のうちにより多くの都内自治体との間で支援のための協定締結を進めています。熊本地震発災後の南阿蘇村において、延べ140日を超えて行われた同団体による支援活動では、現場において指揮をとっています。その他、都民向け公開シンポジウムの登壇や関東弁護士会連合会など友好団体に向けた研修講師を通じて、より多くの支援者による連携の必要性を説いています。

・防災に取り組み始めたきっかけは?

所属団体では、平常時に開催される各種相談事業のほか、災害対策支援の責任者をしています。災害復興まちづくり支援機構を通じて、多士業とともに支援活動を行ってきました。3.11の発災後、東京ビッグサイト、東京体育館、味の素スタジアム、赤坂プリンスホテルなど、避難施設における相談会に参加しました。被災者の不安な気持ちに寄り添い、知りたいと思っている情報をパソコンで調べてお伝えすることが、その場にいたすべての「士業」と呼ばれる専門家たち共通の役割でした。被災者に寄り添うことを中心とする活動も重要な支援ではありますが、発災の直後から専門家としての知見を活用することで、より貢献したいという想いが今につながっています。


・ご自身の活動の中で、一番のエピソード(うまくいったことや、いかなかったことも)という事例をひとつあげてください。

2013年6月の災害対策基本法第90条の2改正を機に、2014年から不動産鑑定士に向けて住家被害認定調査の研修を開催していました。首都直下型地震に備えるための研修でしたが、2016年4月に起きた熊本地震の被災地で即戦力として機能しました。南阿蘇村の支援に入っていた東京都職員の方の要請に基づいて現地入りし、他県からの応援職員等に対して研修を開催、一次調査の実施、罹災証明書発行会場におけるワンストップ型の多士業合同相談会の企画と設営、被災者への調査結果の説明、二次調査の実施と、罹災証明書の発行に絡む一連の活動に関与しました。発災直後には行政も大混乱しています。職員の方も被災者の一人であり、連日のオーバーワークで疲弊しています。外部専門家として公正中立な視点で行政と被災者の間に入り、キメ細やかな交通整理をすることで、職員の方と被災者の対立を防ぎ、双方の疲弊を避けることが可能となります。


・防災活動は「つながり」が課題ですが、ご自身で感じる現状の課題についておしえてください。

平常時である今のうちに、より多くの自治体との「つながり」を持つべく取り組んでおります。具体的には、首都直下型地震等の発災直後から行政と都民の方の双方に寄り添えるように、支援協定の締結を進めています。支援の内容は、調査のための人手ではなく、全国から応援にやってくる自治体職員の方に対して連日研修を実施し、自らも現場で見本を示し、調査終了後もフォローをするというものです。罹災証明書の発行段階における被災者の方への相談業務(調査内容、判定結果の説明)を含みます。課題としては、行政の「遠慮の文化」があります。我々は公益社団法人であり、営利目的の団体とも異なりますが、残念ながら民間団体を活用することに躊躇している自治体も存在します。


・ご自身の活動の中で、繋がれるといいなぁ(繋がってよかった)と思われる(地域、企業、団体、個人など)についてご紹介ください。

危機意識の高い自治体との「つながり」です。2017年1月に江戸川区、同年6月に西東京市、同年11月に品川区、2018年1月には杉並区との間で、「災害時における住家被害認定調査等に関する協定」を締結しました。渋谷区とも近日締結する予定です。より多くの自治体と「つながる」ことで、有事の際に都民に寄り添い、行政の混乱収束に少しでも尽力したいと思います。


・TEAM防災ジャパンサイトについて、期待されることについてメッセージをお願いいたします。

災害に対して関心を持ち続ける工夫として、学識経験者や専門家という枠に捉われず、多くの方々を巻き込んで頂きたいです。シンポジウムなど一方的に発信されるものではなくて、参加者同士の情報交換、意見交換ができる交流の提供を期待しています。すでに防災に取り組まれている(関心を持っている)個人間、団体間の交流を促し、「顔の見える関係性=つながり」を構築しておくことで、有事の際にはより大きな「善意の爆発」を生むことが出来ると考えます。まだ見ぬ大規模災害に対する最強の備えは「つながり」そのものでしょう。私自身も平常時である今のうちに、外部の支援者との間で多くの情報交換、意見交換を行い、連携の契機を創っていきたいと思います。