まなべる、いかせる、つながれる。防災・減災のオンライン基地。

運営:防災推進協議会 企画編集:助けあいジャパン 協力:内閣府防災担当

リレー寄稿

※寄稿者様へのご連絡は、各ご所属先へお問い合わせください。

秦康範(はだ・やすのり)

秦康範(はだ・やすのり)

山梨大学 大学院 総合研究部 工学域土木環境工学系 准教授 山梨大学地域防災・マネジメント研究センター

生年月日:1972年9月6日
出身地:兵庫県尼崎市
最近の防災・減災活動:2020年5月 一般社団法人地域安全学会技術賞 防災に関わる新しい概念「フェーズフリー」の提案とその普及啓発
そのほかの活動

防災を取り組み始めたきっかけは?

阪神・淡路大震災を経験したことです。
兵庫県尼崎市の実家でタンスの下敷きになりました。家の近くの新幹線の高架は落橋し、国道171号線は信号が滅灯し大渋滞、完全に倒壊している住宅や火災現場、臨海部での液状化などを見ました。関西には大きな地震は来ないと思い込んでいた私にとっては大変ショックでした。
これが原体験となり、日本の防災はどうなっているのかを知りたいと考えました。内定先の会社を1年で辞め、防災を学ぶために大学院に進学。東京大学の目黒公郎先生に師事し、防災の専門家を志すことになりました。


ご自身の活動の中で、一番のエピソード(うまくいったことや、いかなかったことも)という事例をひとつあげてください。

人と防災未来センターと山梨大学での経験が大きいです。
防災の専門家は、行政や住民といったステークホルダーに育てていただける事を身を以て経験しました。大変感謝しています。特に自治会役員の方々から、信用に足る人間か品定めをされることが、当時30代の私には一番辛かった。失敗もありました。まちあるきで狭い路地にあるブロック塀について尋ねられ、深く考えず地震時の倒壊の危険性を指摘。その後、塀の持ち主の方がご立腹され、その組はワークショップに参加されなくなりました。もっと配慮した言い方があったと反省しましたが、後の祭り。
不用意な専門家の言動が、簡単に地域に軋轢を生じさせるのです。


防災活動は「つながり」が課題ですが、ご自身で感じる現状の課題についておしえてください。

大きな災害が起きるたびに「つながり」が大事とされますが、都市の生活は人と人のつながりをある種意図的に希薄にさせてきました。寺田寅彦が田園雑感の中で指摘するように、田舎の親切さと窮屈さは表裏一体です。行政サービスの充実は、地域のつながりを必要としない生活を可能にしてきました。
一方で、遠くの親戚より近くの他人と言われるように、地域が面的に被災することに災害の特徴があります。地域の実情にあった平時から「つながり」を維持する仕組みが求められていると思います。その意味で、日常と非日常を区別しないフェーズフリーという考え方は大変重要で、防災の課題を日常の文脈で解決することが大事だと考えています。


ご自身の活動の中で、繋がれるといいなぁ(繋がってよかった)と思われる(地域、企業、団体、個人など)についてご紹介ください。特に、つながれてよかった個人をリレー寄稿にご紹介ねがいます!

寺田寅彦の「天災は忘れた頃にやってくる」は、災害の本質を見事に言い当てていると思います。頻度が高い事象には、人は経験を通して学習し、備えることができます。しかし、災害の頻度は、地域や時間を限定すると決して高くありません。ここに、防災を推進する事の本質的な困難さが存在しています。
では、どうやって持続可能な防災の仕組みを構築すれば良いのか。その解決策として今注目されているのが「フェーズフリー」という考え方です。フェーズフリーの提唱者であり、スペラディウス株式会社代表取締役で一般社団法人フェーズフリー協会代表理事の佐藤唯行さんを紹介させていただきます。実は研究室の先輩です。


TEAM防災ジャパンサイトについて、期待されることについてメッセージをお願いいたします。

防災に関わる課題は幅広く、特定の分野の経験や知見で解決できることは非常に限られていることから、人と人をつなぐネットワークは本当に重要だと思います。防災においては、蓄積されて来た知見が十分に活用されず、同じ課題を繰り返していることも少なくありません。
防災に関する知見を積み上げ、深めていくとともに、いざ起こった災害に対してはその被害を軽減するために活用される、そんな装置として機能することを期待しています。

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