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運営:防災推進協議会 協力:内閣府防災担当

リレー寄稿

※寄稿者様へのご連絡は、各ご所属先へお問い合わせください。

辻英之(つじ・ひでゆき)

2015年4月2日

辻英之(つじ・ひでゆき)

NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター 代表理事

生年月日:1970年5月8日
出身地:福井県
最近の防災・減災活動:阪神大震災、中越地震、福井豪雨、東日本大震災の被災児童を、教育活動(山村留学や自然体験教育キャンプ)を通して支援し続けています(1995年〜現在)。
救急救命法国際トレーナー(MFA:メディックファーストエイド)として、「手を差し伸べようとする心」を育てる講習を全国で普及し続けています(2001年〜現在)。
アウトドア業界におけるリスクマネジメント講習の講師として活動中(2001年〜現在)。
自然と人間の共生に関する授業、リスクマネジメントに関する授業を、立教大学、名古屋短期大学、飯田女子短期大学などで持ち続けています(2011年〜現在)。
著書に「奇跡のむらの物語 〜1000人の子どもが限界集落を救う!」(農文協2011年)

・地域防災にはまったきっかけは?

【不死鳥の街】 福井大地震で壊滅的打撃を受け、復興最中に今度は戦災を受けた福井市。震災と戦災から蘇った「不死鳥の街」と言われています。私はその福井市に生まれました。こどもの時に経験した56豪雪はこの世の終わりかと途方に暮れたものです。そういえば近年でも重油タンカーが座礁したり福井豪雨に見舞われたり。父の実家がある若狭地域は14基もの原発集中立地。幼いころからリスクと共に育ったこと自体が、災害に備えたり被災してもあきらめない気風を私に纏わせているのかもしれません。


・地域防災に関わって、改めて大切だと感じたことは?

【3つの支え合い】 現在は南信州にある人口1700人余の小さな山村:泰阜村に住んでいます。厳しい自然と向き合って暮らし続けてきた村の人々。彼らが持つ豊かな教育力を反映した山村留学や自然体験教育キャンプを29年間実施し続けています。
リスクに向き合う時に大切なことは、まずは「地域内の支え合い」でしょう。吹けば飛びそうな小さな山村が今なおしたたかに生き抜いていることは、その支え合いのチカラが強く発揮されているからに他なりません。
次に「地域を越えた支え合い」。阪神大震災、中越地震、東日本大震災と、大きな災害が襲うたびに被災児童を山村留学やキャンプで預かるという「教育を通した支援」を地道に行ってきました。「お互い様だよ」と心の底から感じる地域同志が支え合うべきです。
最後は「時を越えた支え合い」。95年に預かった神戸の被災児童が、97年の重油タンカー事故では「恩返しや」と日本海で油をすくいました。2004年の中越地震と福井豪雨のこどもたちを泰阜村に招待したキャンプでは、同じく神戸の被災児童が大学生リーダーとして活躍してくれました。そして東日本大震災では…。被災したこどもが、時を越えて被災したこどもを支援するのです。
これらの3つの支え合いが大切だと感じます。


・地域防災・減災に取り組んでみて感じる今の社会課題は?

【自律の教育を!】 今のこどもたちには「サンマ(三間)」が足りないと言われます。それは「時間」「空間」「仲間」。私はもうひとつの「間」が足りないと感じています。便利な世の中が、私たちから奪った決定的なものは「手間」です。「手間」を重視しない効率的な世の中は、行きすぎると人間性を失わせるでしょう。
手間ひまをかけて暮らすチカラ、不便さを楽しむセンス。これらのチカラやセンスは、便利な世の中では到底培われることがありません。どんな状況に陥っても、周囲の人々と支え合い自発的に責任ある行動をとれる人。そんな自律的な人を育てなければならないと強く感じます。


・TEAM防災ジャパンの一員に推薦!という方をご紹介ください。

【与論島の池田くん】 「与論島」という離島をご存知でしょうか。鹿児島県の南端に位置する周囲わずか20㎞ほどの絶海の孤島です。この3年間に2度の超大型台風直撃を受け、島に残っていた自然や文化、歴史が危うい状況になっています。この与論島に根づいて活動する「誇れるふるさとネットワーク」代表の池田龍介さんを推薦します。
彼は与論島で生まれ育ちましたが、大学以降は島を離れました。そして今、島に戻り、島がいかに宝に満ちているかを実感したそうです。小さな島を存在たらしめる文化や暮らしの営みを、後世に残すことこそ「使命」と感じて、毎朝海岸の漂着ゴミを拾い続けるプロジェクトを始め様々な活動を行っています。島から見つめる防災について学ぶことが多いでしょう。


・TEAM防災ジャパンへの想い、メッセージをお願いいたします。

【つながりを紡ぎ直す】 東日本大震災で傷ついた福島のこどもたちを、泰阜村の山村留学やキャンプに招待して4年。村総動員で200人以上の福島の子どもたちを支えてきました。信州の小さな村が、東日本の小さな地域を長期的に支え続けています。震災支援は、決して被災地への支援だけではないでしょう。従来、日本社会、特にへき地農山漁村が持っていた「支え合い・お互い様」の構造を、もう一度紡ぎ直し、再び安心な暮らしをつくる、広義でいう日本社会再生の取り組みなのではないでしょうか。
TEAM防災ジャパンに参加することにより、つながりを紡ぎ直すことができる社会にしていきたいと強く願います。