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【関東大震災100年】吉井博明(よしいひろあき)

東京経済大学 名誉教授

主な活動地域
東京都 全域
最近の防災・減災活動
  • 2023年07月 自治大学校での講演

関東大震災から100年経ちましたが、教訓として伝わっていると考えられることはなんですか?

もっとも多く伝わっているのは、大地震が起きたら、火災(初期消火)と避難が必要という点です。9月1日の防災の日前後に毎年行われている防災訓練の中でも消火訓練などが繰り返し行われてきました。また、テレビなどで被服廠跡の悲劇が繰り返し放映されることもあり、地震の時はまず火を消すこと、そして延焼したらすぐに避難することは頭にこびりついているはずです。

いま、関東大震災級の地震が起きたら、心配なこと、解決していないと思う課題はなんですか?

一番心配なことは、もちろん火災です。建物の耐震化、耐火化、火元の安全化は確かに進んでいますが、東京都の人口は100年前の4倍、神奈川県は7倍にもなっており、建物が密集している地域はかえって広がっています。この結果、出火率は低くなっても出火件数は減らず、延焼の危険性は依然高いからです。延焼火災からの避難する際の誘導問題が最大の未解決課題です。もう一つ心配なことは津波と土砂災害です。人口増に伴って津波や土砂災害の危険区域に多くの人が暮らすようになったからです。土地利用の規制が必要ですが、合意形成がなかなかできない点も未解決の課題です。

関東大震災からの100年に学び、子孫たちに何をどう伝えていくか、考えていることをお聞かせ下さい。

関東大震災等で実際に起きたことを時代背景とともにしっかりと伝えていくことを基本としつつ、地震そのものの多様性や被害が発生時刻・時期等によって大きく異なることを伝える必要があります。そのために学校教育や社会教育の中で防災をしっかり位置づけることがもっとも重要と考えています。
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