リレー寄稿
地域防災の担い手をご紹介
【関東大震災100年】岡野谷純(おかのやじゅん)
特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサェティ 代表理事
- 主な活動地域
- 東京都 北区
- 最近の防災・減災活動
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2023年03月 佐賀県 佐賀市 講演:佐賀災害シンポジウム、関東大震災から100年、これからの避難生活のあり方を考える ー被災者支援の国際基準・企業とNPOの協働ー
https://s-spf.com/archives/918 -
2023年02月 活動:グアテマラ(中米)での救急救命法普及活動・ボランティア活動 活動期間:2/13-3/18
https://youtu.be/bDaw06mL5sg -
2023年10月 研修:令和5年度法務省委託人権啓発指導者養成研修会(担当:災害と人権) 研修視聴期間:10/5-12/28
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2023年12月 東京都 港区 研修:スフィア基準トレーナー養成研修(2023年度JQAN主催QAトレーナー養成研修) 研修期間:12/5-12/8
https://jqan.info/training/2023年度jqan主催qaquality-and-accountabilityトレーナー養成研修/
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- ソーシャルリンク
関東大震災から100年経ちましたが、教訓として伝わっていると考えられることはなんですか?
100年間で災害対策にも進歩・向上があり、教訓も変化しています。・グラッと来たら、×「まず火を消せ!」⇒〇「丈夫なテーブルの下などに隠れよう」 昨今、ガスや火は自動消火される。⇒〇「元栓を閉めて避難しよう」
・地震発生後は、×「家財一式」⇒〇「自分なりの非常持ち出し袋」を持って逃げよう
・予測可能な災害では⇒〇「リアルタイム情報を出そう」、「早めに行動しよう」
・感染症蔓延期の災害⇒〇「避難所自体の運営方法を柔軟に変えよう」
その他、活火山に退避壕を増やす、9月1日の活用、ボランティア支援金の設立なども大切な教訓ですね。
いま、関東大震災級の地震が起きたら、心配なこと、解決していないと思う課題はなんですか?
国はこの100年間で多くの防災施策を打ち出し、法整備もしてきました。ただ、耐震補強も狭隘道路の拡幅も強制執行ではなく住民の意思で実施されます。高齢世帯や費用が捻出できない場合、改修は次世代に託されることも多いです。結果、こうした地域の危険は、まだまだ解消されていません。発災後すぐに避難所は開設されます。学校も早くに再開されるでしょう。どちらも、その後の生活充実まで含めて準備されているでしょうか。学校では給食も早くに再開しないと、避難所同様、新たな貧富の差ができてしまいます。
高層ビルの多い地域では大量のコンクリートがれきが地域を埋め尽くし、都市整備が遅れます。効率的・効果的に資源化する方法を考え、法整備をすることが必要です。
関東大震災からの100年に学び、子孫たちに何をどう伝えていくか、考えていることをお聞かせ下さい。
防災とは「災害を防ぐ」と書きます。これはなかなか難しく、国やプロがすることかもしれません。市民の立場では、必ず来る災害に向けて、自分や家族目線の「備災(びさい:災害に備える)」をしましょう。特に小中高等学校の防災教育の中で、災害の種類や備えの学習、避難訓練に加えて、「災害後の1年・10年・30年をどう生きる?」をぜひ加えて欲しいです。まさに、企業・団体のBCPを子ども達にシフトした「我が家のBCP」として考えることが大切です。
「かわいそうだから助けてあげる」のではなく、「被災した人びとにも、今までと同じ生活をする権利があるよ。」「そのためには、ちゃんと助けてもらっていいんだよ。」という概念(スフィア基準)を全国民に知ってもらう努力をしています。