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関東大震災から100年経ちましたが、教訓として伝わっていると考えられることはなんですか?
関東大震災では、多くの家庭で昼食の準備に火を使っていたこと、また現在とは家屋の防火力や消火力が大きく劣っていたこと、強風が吹いていたことなどが重なり、火災が延焼し大きな被害と死者が発生しましたが、一方で広場や広い道路が火災の延焼を食い止めるのに役立ったことも実証され、その後の都市計画や建築基準にその教訓は生かされてきました。また地震への備えとしてはやはり堅牢な建物が最重要であることも再認識され、翌年の1924年には、世界初の地震力規定として市街地建築物法の構造強度規定改正が行われました。その後も災害のたびに、その教訓を生かして規制の見直しや強化が進められています。
いま、関東大震災級の地震が起きたら、心配なこと、解決していないと思う課題はなんですか?
今なお、消防車も通れないような木造住宅密集地が残っており、耐震基準を満たしていない老朽住宅が残っていることは残念です。そのような住宅には高齢者も多く、家の中の電気製品や配線も古い、消火設備も整っていない、お線香なども使用するなど、危険な条件が揃っています。行政頼みではなく、親族や近所で声をかけて話し合い、その改善に取り組んでいくことも重要と思います。
関東大震災からの100年に学び、子孫たちに何をどう伝えていくか、考えていることをお聞かせ下さい。
関東大震災でも、町内会や労力奉仕など、近隣住民による助け合いが行われました。今でいうボランティア活動です。当時と現在では、その名称も、組織や関係性も異なるかもしれませんが、大災害時には公助と言われる行政機関などの公的支援は人数が圧倒的に不足して、自分や親族、知人やボランティアなどによる助け合い、つまり自助共助が中心となることは変わりません。自らの命は自分で守り、共に助け合っていくことがとても大切です。自分の心身や生活環境における弱点、条件は人それぞれ異なります。自分と家族の災害への備えとして、何が必要で何が不足しているか、何を行っていくべきかはそれぞれが自分でしっかりと考えていくことが求められます。
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