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内閣府政策統括官(防災担当)
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防災推進協議会

リレー寄稿

地域防災の担い手をご紹介

寄稿者様への御連絡は、各御所属先へお問い合わせください。

加藤孝明(かとうたかあき)

東京大学生産技術研究所・都市基盤安全工学国際研究センター准教授
地域安全学会理事、日本災害復興学会理事
(NPO)都市計画家協会 理事
(NPO)ア!安全・快適街づくり 理事

主な活動地域
東京都 全域
最近の防災・減災活動

生年月日:1967年2月16日
出身地:愛知県大治町
最近の防災・減災活動:
2017年1月21日:茅ヶ崎市防災【も】まちづくりワークショップ
2017年1月13日:内閣府主催地区防災計画説明会(札幌)
2017年2月2-3日:震災技術展in横浜、招待展示

・防災に踏み込んだ(取り組み始めた)きっかけは?

バブル経済真っ盛りの頃,都市という複雑なものを理解することは難しいなと感じつつ、複雑な対象を理解するためには何か一つ確固たる主軸から相対的に物事を眺めることが大切ではないかと考えていました。当時の結論は、「儲かるか否か」、「きれいか否か」、「正しいか否か」の3つの軸で決まるというものでした。その中から「正しいか否か」の軸を主軸に捉えていこうという思いに至り、ちょうどこのとき、防災分野に出会いました。防災は人の命に関わるものであり、ぶれない「正しさ」があります。しかも防災は災害という物理現象を対象とするため,科学的アプローチが可能です。さらに普段の暮らしの中では忘れられがちではあるが、社会の基盤として未来永劫必要とされるものです。ここにある種の「格好良さ」を感じて防災に踏み込むことにしました。

・ご自身の活動の中で、一番のエピソード(うまくいったことや、いかなかったことも)という事例をひとつあげてください。

これまで、コミュニティベースの防災まちづくりを含め、いろいろな防災分野で活動しています。その中で貴重な体験を積み重ねることができました。いずれもエピソードが溢れる経験でした。日本には実に多様な地域があり、それぞれの地域特性に応じた多様なソリューションがありえます。どこにでも通用する教科書的な答えがあり、それを普及させる、あるいは、それに基づいて「指導」するというスタンスではなく、むしろ自分自身も含め、地域の方々と協働しながら一緒に考え、一緒に行動し、そして成長しながら答えを探求していくことが重要だと感じています。またうまくいっていると感じるときに共通することは、「地域知」とも呼べる、各地域の人々の知恵、また生活文化に裏打ちされた知恵が表層に現れていることです。地域社会に潜在する「地域知」は奥が深く、これからの日本社会を変える大きな力になると確信しています。

・防災活動は「つながり」が課題ですが、ご自身で感じる現状の課題についておしえてください。

従来の「つながり」は、都市化、地方の過疎化を通して確実に脆弱化していますが、その一方で、超高齢社会、超情報社会を迎え、むしろ「つながり」という意味では新たなステージに入ったととらえており、超高齢社会=「地域で活動できる潜在人口の増加」、超情報社会=「つながりの多様化」ととらえることができます。「年金は社会からの給料だ」ととらえれば、定年後、地域社会で活躍するのは社会的義務とも言えるのではないでしょうか(ちょっと言い過ぎですが…)。 時代の変化をふまえた新たな「つながり」を重ねることで、防災活動が発展することを期待します。  一方で、他の課題との「つながり」にも着目すべきだと考えています。行政は効率的に物事を進めるために縦割りのシステムが必須ですが、地域社会ではむしろ地域課題を総合的に考えることが重要で、東日本大震災以降、とかく防災が強調されすぎる雰囲気を感じます。地域社会においては、「防災単独主義,防災至上主義」に陥らず、他の課題とセットにすることによって効率的、効果的に防災を進めることが大切だと感じています。ひいてはそれが活動の持続性にもつながっていくと考えています。

・ご自身の活動の中で、繋がれるといいなぁ(繋がってよかった)と思われる(地域、企業、団体、個人など)についてご紹介ください。

きっかけがあれば、どんな団体とでも、誰とでも繋がれるといいなぁと常々思っています。ここでは、地域知を引き出し、総合的に地域課題を解こうとする人たちを紹介したいと思います。 行政から茅ヶ崎市都市政策課 さいたま市都市政策課を紹介します。いずれも庁内連携しながら、防災まちづくりをテーマに新しい試みを継続的に進めています。両者に共通するのは、「防災【も】まちづくり」というキーワードです。反対語は「防災【だけ】」ではなく、防災を主軸に総合的に考えていこうとしています。 NPOから都市計画家協会の渡会清治副会長、ア!安全・快適街づくりの渡邊喜代美理事を紹介します。 都市計画家協会は、まちづくりプランナーの個人の集まりです。まちづくりプランナーは職能集団としては今一つ社会的に認知されていませんが、人・街を看る能力、バランス感覚の高さを特徴としたプロ集団です。防災分野とは一線を画しているように社会的にはとらえられがちですが、私の目からは同じセンスを持っていると感じています。  ア!安全・快適街づくりは、いち早く大規模水害に備える街づくりを模索的に始めた市民団体です。東京下町の海抜ゼロメートル地帯に拡がる高密市街地で地域社会や研究者と共に新しいスタイルを確立しつつあります。2013年度防災まちづくり総務大臣賞を受賞しています。

・TEAM防災ジャパンサイトについて、期待されることについてメッセージをお願いいたします。

「経験の共有」が重要なキーワードだと思っています。各地域で、各組織で、それぞれのあるべき姿があると思っています。多様な地域間で、多様な組織間で経験を共有することは、それぞれの現状を客観視する機会を創り、同時に次の活動に向けた刺激を相互に受ける機会となります。TEAM防災ジャパンサイトに期待することは、この種の「経験の共有」の場づくりを多様なメディアを活用して進めていただきたいと思っています。ぜひ、もう一工夫していただけることを期待しています。
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