寄稿者様への御連絡は、各御所属先へお問い合わせください。
防災を取り組み始めたきっかけは?
阪神・淡路大震災が起きたとき、わたしはNHKの新人ディレクターとして発災当日から被災地取材に赴きました。しかし、残念ながら、被災した人たちに寄り添った報道をなすことができず、その後、ずっと後悔の念をいだき続けてきました。
震災8年目から「NHKスペシャル」という番組で、毎年、阪神・淡路大震災と向き合うようになり、多角的に防災を学ぶようになりました。東日本大震災の被災地取材を経て、阪神・淡路大震災20年をまえに大学に籍を移し、若い学生さんといっしょに、防災活動に専心しています。
ご自身の活動の中で、一番のエピソード(うまくいったことや、いかなかったことも)という事例をひとつあげてください。
NHKスペシャル「メガクエイク」というシリーズを立ち上げ、担当した番組が「内閣総理大臣賞」を受賞したことが「とても良かった」ことのように思えていたのですが、その翌年に東日本大震災が起きたことによって、自分自身が、巨大な災害が起き得ることのリアリティを感得できていなかったことを思い知らされました。
あたまの中ではわかっているけれども、それを本当には信じていなかったこと、「知と信の乖離」があったことを反省点として、いま、研究・調査・教育・実践に真摯に取り組んでいます。
防災活動は「つながり」が課題ですが、ご自身で感じる現状の課題についておしえてください。
「インクルーシブ防災」(みんなのぼうさい)をテーマにかかげて、ゼミナールのプロジェクトを推進しています。
しかし、このテーマを具現化することは決してたやすくありません。「みんな」とはだれのことを指すのか、そのことをリアルにイメージできないかぎり、内々の取り組みに閉じてしまいます。現在は、難病患者さんや知的・発達障害児者のみなさん、限界集落にお住まいのみなさん、各地のこどもたちといっしょに防災を学び合うアクションを興しています。
つながりを広げること、そして深めることの難しさ。それこそが、わたしたちが直面している課題です。
ご自身の活動の中で、繋がれるといいなぁ(繋がってよかった)と思われる(地域、企業、団体、個人など)についてご紹介ください。特に、つながれてよかった個人をリレー寄稿にご紹介ねがいます!
ゼミの活動フィールド(福島県・滋賀草津・京都府京丹波町・福井高須・和歌山広川・神戸・尼崎・大阪高槻・福岡朝倉など)で出会えたみなさまとは、防災のことのみならず、コミュニティのこと、ご当地の自然や産品のこと、歴史・風土、そして人生のことなどについて、いっしょに考える、いっしょに学び合う仲間になっていただいています。
ですので、「つながれてよかった!」という思いはいつも胸にいだいております。「防災」という入口があったからこそ、出会えた奇跡。そのことに喜びを感じています。
TEAM防災ジャパンサイトについて、期待されることについてメッセージをお願いいたします。
つながりが「目にみえること」はとても励みになります。「TEAM防災ジャパン」のサイトで、この貴重なネットワークを地図化・可視化できるとさらによいかもしれませんね。そして、このすてきな輪を世界にも広げていくこと。期待に胸がふくらみます。
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