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【能登地震】福和伸夫(ふくわのぶお)

名古屋大学・名誉教授、あいち・なごや強靱化共創センター長

主な活動地域
愛知県 名古屋市
最近の防災・減災活動
  • 2024年05月 クローズアップ現代「あなたの自宅は大丈夫? 住宅の耐震化で命を守る」(NHK)

  • 2024年07月 あさイチ「どうする?住宅の耐震化」(NHK)

現時点で、能登半島地震の(事前及び事後の)対応で良かったこと、今からでも改善されたら良いと考えること、そして、それらの理由を教えてください。

中部9県1市の防災協定が発動され、幹事市の三重県を中心に階層的な支援が行われたことは素晴らしかった。その際に、これまで支援経験が豊かな職員を中心に被災自治体支援が行われたことも意義がある。また、急性期医療を担うDMATが、関連死対策も含めたコーディネータ機能を担ったことは大きな進歩だと思う。1.5次避難、2次避難も新たな一歩だった。一方で、応受援の自治体間のペアリングが省庁や役割によって差異があり、対口支援の良さを活かしきれなかったことが残念な点である。今後、丸ごと支援が進めばロジも容易になる。また、南海トラフ地震のような巨大地震では、応援の力も不足するので、支援の優先順位付けも必要になる。

能登半島地震から、今後の日本が学ぶべきこと、御自身の活動分野で改善が求められることは、どんなことですか?

高齢化と少子化に伴う奥能登の耐震化の遅れが、甚大な家屋被害の主たる原因である。国が公表している耐震化率87%は、人口の多い大都市の耐震化率の影響が強く、人口が少ない市町村の実状を反映していない。奥能登の耐震化率は50%前後であり、日本各地に同様の過疎地は多い。中日新聞の調査によると中部地方の市町村の耐震化率の差は著しく、高齢化率と負の相関がある。建築物の耐震化のために、まず、公費での全ての建物の耐震診断とその結果の開示、さらには改修への公費投入が望まれる。

これからの能登半島が、どのように復興していくことを期待されますか?そこに、御自身はどのように関わる予定ですか?

災害時に救援が困難となる孤立地域は、過疎化が進み、耐震化が遅れている。多くの過疎地域は、井戸水や湧き水、浄化槽や汲取り便所、プロパンガスの軒下備蓄、保存食の充実、田畑や重機・倉庫、地域の助け合いなど。家さえ耐震化されていれば、災害に対する自立力は高い。耐震化への公費購入の突破口として、孤立予想地域の公費による耐震化が望まれる。空家も含めて耐震化を進め、さらに、再生可能エネルギー、蓄電池、衛星通信などを整備すれば、国が進める2地域居住の実現も可能となり、大都市被災時の疎開先にも活用できる。能登半島の復興がそのモデルになることを期待している。

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