防災教育チャレンジプラン
防災力の向上を目指す、防災教育活動の情報提供の場
2016年度 一般社団法人(非営利) 雄勝花物語
プラン名 | 東日本大震災の巨大津波の教訓から学ぶ防災教育 |
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プランの対象 | 小学校高学年~社会 人・一般 |
目的 |
①【防災教育】東日本大震災の最大の被災地である石巻市の被災の体験から津波防災上の教訓を明らかにして、一人一人の津波防災能力の育成を目指す。地形で変化する津波に関する新しい知見を提供するとともに、雄勝小学校と大川小学校の避難経路を現地で検証し、大津波警報10mの 意味理解と地域を襲う津波をイメージして避難行動を取る必要性を提供する。 |
内容 |
①【防災教育】三つの避難事例(雄勝小、大川小、宮城県の児童生徒278名が地域で亡くなった事 例)から共通要因を探り、映像やアニメーションを使って大津波警報10mの意味理解および地形で変化する津波の特徴を理解する学びを提供する。 ②【震災学習】教育関係者やカウンセリング専門家に被災児の心のケアの教育実践を報告するとともに、被災児の心のケアについて意見交換する。 ③【ESD】石巻市雄勝町における高台移転、防潮堤建設など町づくりの現状報告と住民主体のまちづくりの方向性について報告し、持続可能な地域再生のあり方について協議する。 |
成果 |
【防災教育プログラム】について ②筆者達の避難行動から体験的に言えることは、大津波警報10mのイメージが持てなかったことが挙げられる。本当にその高さの津波が来るとは思っていなかった。ところが実際には雄勝湾に16mで到達し、陸上部では 19mとなり2倍の浸水深となった。3.11の津波では海から遠い地区ほど死亡率が高い。その意味は大津波警報10mのイメージが持てずに、津波はここまで来ないという油断や思い込みがあったと推察される。大川小学校の教員もそうであったと思われる。気象庁の改訂された説明によると、大津波警報10mの意味とは、津波予想区での[平均的な値]であったのである。その意味とは場所によって津波は地形で変化するという意味である。したがって自分の地域を襲う津波をイメージできないと、雄勝小学校や大川小学校のように、避難行動を誤ってしまう。雄勝湾の船戸地区の浸水深19mの痕跡を現地案内しながら、大津波警報○○mが自分の地域を襲う場合は、どのような津波高や形態に変化するかをイメージすること、そして被害を想定して避難行動をとる大切さを伝えることができた。 ③気象庁の津波警報の発表の仕方は、[場所によっては予想された高さよりも高い津波が押し寄せることがあり][予想精度は1/2~2倍程度]という伝え方であるが、これは一般にはほとんど伝わっていない。この津波警報の意味をもっと具体的に伝えることが必要である。本団体は3.11 の津波痕跡を元に実証的に伝えているので、説得力があるという評価をいただいた。 ④さらに避難が成功した雄勝小学校と失敗した大川小学校の避難経路を実地踏査で比較検証して、教師に必要な津波防災能力は何かを分析した。大川小の現地案内は遺族会に依頼している。二つの避難行動を検証して、津 波防災能力とは、[地震と津波の知見]、[迅速な情報収集力]、[地域を襲う津波をイメージする力]、[迅速で的確な判断力]であるという教訓を明らかにして、受講者に納得していただいた。 |
報告資料 | 最終報告書(PDF形式) |
団体紹介 |
一般社団法人雄勝花物語は、石巻市雄勝町の被災住民が2012年に立ち上げた復興プロジェクトである。活動内容は、1「支援部門」の被災地緑化支援とローズガーデン無料開放、2「教育部門」の防災教育と震災学習ならびにボランテイア活動の受け入れ、3「事業部門」のガーデニング体験教室並びにハーブの栽培等。団体の設立目的は交流人口を増やす仕組みの構築と観光農園による事業化によって若者の雇用を生み出して持続可能なまちづくりを目指すことである。 |
連絡先 | 0225-23-2551 |