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【普及啓発】避難計画実行できず苦悩 長野、浸水の高齢者施設
台風19号の大雨で浸水した長野県長野市穂保地区の特別養護老人ホーム「りんごの郷」では、利用者は2階に逃れて無事だったが、作成していた外部への避難計画は実行できなかった。計画では警報が出た時点で、利用者を近くの民間企業の事業所などに車で移す想定だった。台風が接近した10月12日。長野市では午前11時ごろに大雨洪水警報が発令された。雨脚はまだ弱かったが、自力移動が困難な87人の利用者を、十数人のスタッフが短時間で屋外に移動させるのは現実的に不可能。風雨による事故や体調悪化を懸念した施設長の千野真さんは計画を断念し、全員を2階に上げて救助を待った。近くにある別の高齢者施設も同様の「垂直避難」を余儀なくされた。関西学院大の照本清峰教授(減災システム)は「避難に時間がかかる特養のような施設ほど、浸水のリスクが低い段階で動き始める必要があり、年に何度も避難しなければならない。施設にとって負担が大きく、現実的ではない」と指摘する。訓練やシミュレーションによって避難に要する時間を把握して現実的な計画を作り「近隣住民の協力を得るなどして所要時間の短縮に努めるべきだ」と提言している。【11月20日 日本経済新聞より】