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【普及啓発】高齢施設避難、課題多く 計画作成は半数以下―専門家「外との連携カギ」・九州豪雨
九州南部を襲った豪雨災害では、熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の入所者14人の命が奪われた。2017年に水防法が改正され、自治体が指定した高齢者施設などに避難確保計画の作成が義務付けられた。球磨村によると、千寿園も計画を作り、年2回の避難訓練もしていたという。国土交通省によると、今年1月1日時点で避難計画を作成した対象施設は45%と過半数に満たない。都道府県ごとのばらつきも大きく、岩手県では82%に上る一方、熊本県は5%で最低だった。徳島大の金井純子助教(地域防災学)は「計画を作っただけでは実効性を担保できない」と強調。避難のタイミングと移送体制の確立に課題があると指摘する。金井助教は「入所者の移動には、健康悪化に加えて転倒のリスクが伴うため、判断をギリギリまで保留してしまう心理状態が働く」と分析する。その上で、避難計画には自治体が発令する避難勧告のほかに、独自の避難開始の目安を設定したり、移動方法や受け入れ先を明確にしたりしておく必要があるとする。金井助教は「作成には高度な知識が求められ、自治体など専門性のあるサポートは欠かせない」と話す。また、「中小河川はハザードマップがない地域も多い。リスクが見えていないだけで、どこの施設でも水害は起こりうる」と強調。過去の水害で、自治体や近隣の高齢者施設などの支援を受けて迅速に避難できた例もあるとして、「施設外のマンパワーを使い、連携・応援体制をつくり上げることが重要だ」と訴えている。【7月15日 時事通信より】