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【歴史・教訓】劇で伝える震災の記憶 被災地の中高生が模索/岩手

東日本大震災からまもなく10年を迎える岩手県内の被災地では、地元の中高生が自分たちの経験をどう伝えていくか模索している。19日、宮古市の田老一中学校で岩手大学との合同授業が開かれた。オンライン会議システム「Zoom」を使って、二つの会場をつないで実施。昨年10月の文化祭で田老一中の生徒たちが発表した劇「未来と結ぶ9年間」について、震災を題材とすることの意義や難しさを話し合った。劇は、震災当日や避難所の状況、現在のまちの様子などを描いた作品で、生徒たちが自ら台本を書き、音響や照明も考えた。劇に出演した2年生の山本ゆめさんは「震災を体験していない世代にどう伝えるか。来年の劇ではそこを意識したい」と話す。山田町でも劇を通じた伝承に着目する高校生がいる。昨年春に閉校した旧大沢小学校を卒業し、現在は山田高校3年の熊谷恵利さんだ。この日、町議会で開かれた「ふるさと探究高校生議会」で熊谷さんたちは、旧大沢小で30年以上、上演されてきた劇「海よ光れ」を復活させようと訴えた。明治三陸津波(1896年)の被害から漁業を中心に復興していくまちの姿を描いた作品だ。熊谷さんたちは、東日本大震災をテーマにリメイクしてはどうかと提案。町の担当者は「大変意義がある。発表の場を応援したい」と応じた。田老一中と岩手大の合同授業を担当する山崎憲治・元岩手大教授は「震災について学びながら、自分たちで劇を作り上げていくプロセスが重要。地域の防災を考えるきっかけにもなれば」と期待を込める。【1月20日 朝日新聞より】