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記憶伝える「遺構」岐路に 新潟県中越地震から11年/新潟
2004年に起きた新潟県中越地震の記憶を伝える「遺構」が岐路に立っている。23日で発生から11年。長岡市の職員らが水没家屋の保存に向け9日、現地調査に入った。調査には県の復興基金約2700万円を充てる。保存計画を決めるほか、傷みが激しい屋根の補強も行う。一帯は地震後、メモリアルパークとして整備され、視察や観光の拠点となった。年間2万人ほどが訪れるという。かつての住民からは歓迎と戸惑いの声が上がる。自宅だった3階建ての家屋が保存対象となった松井キミさんは「残さなければ、中越地震は忘れられてしまう」。一方、公営住宅に移り住んだ上田久江さんは「当時、十分な公的補償を受けられなかった人もいる。今になって壊れた建物の保存に多額の税金を使うなんて」と戸惑いを隠せない。また、地震に耐えた手掘りのトンネルは崩落の危険があるとして今年4月から通行止めとなった。市は近く、補強工事を行い、来春に公開する方針。ただし、トンネル全体の補強には数億円がかかるといい、方法を模索している。【10月21日 日本経済新聞より】