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防災関連の最新ニュースをご紹介
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【地域防災】豪雨被害1か月 熊本の感染者急増 感染防止し復旧進める課題に
記録的な豪雨によって、熊本県で甚大な被害が出てから、4日で1か月となった。熊本県内ではこの間、新型コロナウイルスの感染者が5倍近くに急増していて、感染の心配などから、被災した自宅で「在宅避難」を続ける人が500人以上いることが、県の調査でわかっている。NHKが7月下旬、熊本県人吉市、球磨村、八代市坂本町、芦北町で被災した104人を対象に行った聞き取りでのアンケート調査でも、32%の人が新型コロナウイルスが生活再建に影響を及ぼしていると回答し、受け入れが県内に限られているボランティアなどの人手不足や、感染対策をしながらの避難所生活の不便さなどを訴える声が多く聞かれた。このほかにも「片づけに追われて、精神的に参っていて心のケアを求めたい」とか、「車が壊れて移動手段がなく通院ができない」などといった声も寄せられ、被災者が生活面で抱える課題は多岐にわたっている。【8月4日 NHKニュースより】
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【地域防災】豪雨被災、ボランティア申請早めに 天草市社協が呼び掛け/熊本
7月4日未明の豪雨で被災した熊本県天草市牛深地区では、市社会福祉協議会のボランティア制度を活用した家屋の後片付けが進んでいる。市によると、市全体の床上・下浸水は406棟。そのうち牛深地域が329棟を占める。市社協によると7月10日以降、県内からボランティア474人が訪れ、55世帯で作業。全家屋で作業が終了しつつある。一方、7月末に市社協職員が被災地域を回った際、新たに約10世帯が後片付けなどの支援を求めていることが判明した。天草へボランティアが派遣されているのを知らない高齢者世帯が多いという。市社協の石本和久事務局長は「近所同士でも声を掛け合って、ボランティアが必要な人は早めに連絡をしてほしい」と話している。【8月5日 熊本日日新聞より】
▼天草市社会福祉協議会 天草市社協災害ボランティアセンターの設置について
http://amakusa-cosw.blogspot.com/2020/07/blog-post_28.html -
【地域防災】防災に地形解析有効 台風19号検証委、最終報告 富岡/群馬
群馬県富岡市で土砂崩れにより男女3人が死亡した昨年10月の台風19号(令和元年東日本台風)を巡り、有識者らでつくる市の災害検証委員会は3日、最終報告書を市に提出した。同委員会は、土砂災害を未然に防ぐためには発生メカニズムやリスクの検証が重要だと指摘。土砂崩れを引き起こしたとしたとみられる雨水の集中などを把握するには地形解析が有効と市に提案した。今後の行政と地域住民との連携については、市内の地区ごとの自主避難計画策定や避難所運営マニュアル策定など10項目を提言した。【8月4日 上毛新聞より】
▼富岡市 「令和元年10月台風第19号」災害検証委員会から報告書が提出されました
https://www.city.tomioka.lg.jp/www/contents/1596440586623/index.html -
【地域防災】コロナ感染不安と隣り合わせの復興作業、避難生活 九州豪雨明日で1カ月
熊本県南部を中心に甚大な被害をもたらした豪雨は、大雨特別警報の最初の発表から4日で1カ月を迎える。梅雨前線の停滞に伴って長期間続いた雨は各地で記録的雨量となり、死者は九州全体で70人を超えた。再建の途に就いたばかりの被災地では、新型コロナウイルス感染の不安と隣り合わせの復興作業や避難生活が続く。7月の豪雨で球磨川が氾濫した熊本県南部では土砂崩れや浸水、道路や鉄道の寸断が相次ぎ、孤立集落も出た。災害発生から間もなく1カ月となる。人吉市の中心では、生ごみのような異臭が鼻を突く。表通りにあった泥まみれの畳や家具の山は姿を消しつつあるが、被災当時のままの建物も。県は新型コロナウイルス対策のため、県外ボランティアの受け入れを見送っている。人手不足から住宅への派遣を優先し、店舗などは後回しだという。【8月3日 東京新聞より】
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【普及啓発】災害情報発信で広がるSNS 宮城県内24市町がツイッターやFB、LINEを活用
災害時の避難情報の提供手段として、会員制交流サイト(SNS)などスマートフォンアプリを活用する自治体が増えている。宮城県内の自治体別の利用状況フェイスブックが17市町、ツイッターが12市町、LINE(ライン)は7市町が利用。35市町村中、計24市町がいずれかのSNSを使っている。仙台市危機管理室は2013年、投稿を転載できる「拡散」機能などに注目し、ツイッターの利用を始めた。気仙沼市や名取市は防災専用のアカウントを持ち、避難所の開設情報を即座に知らせている。一方、11市町村は戸別受信機や防災メールで情報を提供しているとして、SNSは活用していない。山元町の担当者は「町民はエリアメールやHPからも情報を入手できるため、SNSの導入は今のところ検討していない」と話す。東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授(災害情報学)は、7月の九州豪雨で自治体のHPが更新できなくなった事例を踏まえ「大規模災害時は、HPの更新や閲覧がしにくくなる状況が想定される。使用頻度が高いSNSは有効な情報提供手段だ」と語った。利用者には、幅広い情報を得るため周辺自治体のアカウント登録も勧めている。【8月3日 河北新報より】
▼仙台市危機管理室 / Twitter
https://twitter.com/sendai_kiki?lang=ja -
【防災施策】大野市社協、県境越え協定 災害VCの迅速設置期待
大雨など各地で発生している大規模災害に備え、大野市社協は、岐阜県郡上市社協と災害ボランティアセンター(VC)設置の相互応援協定を結んだ。災害発生時にスムーズな災害VCの設置と運営のため、自治体から設置要請を受ける前に社協が独自の判断で職員派遣などを行う仕組み。2017年秋、大野市ボランティア活動ネットワークが福祉活動の視察研修に郡上市ボランティア連絡会を訪ね、昨秋には同連絡会が大野市側を訪問。交流を持った中で災害VC設置についての応援協定の計画が持ち上がった。福井県内では17市町の社協が県社協の下、災害VC設置を含む相互支援協定を結んでいるが、県境を越えて手を結んだのは大野市社協が初めて。【8月3日 中日新聞より】
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【地域防災】土のう作り、家庭配布で減災へ 鹿沼・中粟野自治会/栃木
中粟野自治会は2日、初めての土のう作り講習会を旧粟野第2小学校校庭で、約60人が参加して行った。昨年の台風19号の被害を踏まえ、事前に土のうを準備し各家庭に分配しておくことで減災につなげることが狙い。同12月に被害や地域防災について話し合い、出席者から「土のうの配布依頼が殺到したが、豪雨の影響でとても作れる状況ではなかった」などの意見があったのを受けて開いた。市消防団の指導で、1袋約25~30キロの土のう130個を作成。土のう袋の口を縛る方法や、袋の口を下流に向け隙間無く積み上げることなどを学んだ【8月3日 下野新聞より】
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【地域防災】感染予防も 下諏訪町が避難所開設キット作製/長野
長野県下諏訪町は、コロナ感染防止対策を見据えた避難所運営の見直しを進めている。町は、町内の防災士約130人で組織する「防災ネットワークしもすわ」などと協力し、避難所開設時に必要とされる物品をセットした「避難所開設キット」を製作。すでに町内45カ所の全避難所に配備を完了した。しかし配備を進める中で新型コロナウイルス感染症の脅威が拡大。このため町は感染症下を想定したコンテナキャリーケース1個に収まる開設キットも新たに作製することを決めた。現在セット内容を選定している。現時点で▽マスク▽手指消毒液▽非接触型体温計▽フェイスシールド▽ゴム手袋などを想定しており、できるだけ早い時期に全避難所への配備を行うとしている。町は8月~10月にかけて町内全区で開催予定の感染症下を想定した避難所開設訓練で、実際にキットを活用する計画。このほか、大型テント、手動式の浄水器を全避難所に配備。町内小中学校の体育館と下諏訪体育館には、移動式エアコンと発電機を配備する計画である。【7月29日 長野日報より】
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【地域防災】コロナ防止と災害避難、両立へ訓練 住民参加で避難所開設を確認/京都
京都府亀岡市は27日、ガレリアかめおかで、新型コロナウイルス感染防止対策を講じた避難所の開設訓練を実施した。同市ではコロナ感染拡大を受け、6月に感染予防に考慮した避難方法を伝えるチラシを全戸配布し、間仕切りなど備品の準備も進めていたが、実際に住民らが参加して訓練をするのは初めて。市内の自治会や自主防災会、民生委員ら約150人が参加した。参加者らは班に分かれ、段ボール製のベッドや間仕切りで発熱がある人を隔離するスペースを作ったり、プライベートスペースとしてのテントを広げたりして、避難所を設営した。受付では非接触型体温計で一人一人検温し、37.5度以上の人は隔離スペースに誘導する手順をチェック。避難所で感染者が出た場合に備え、避難者の世帯全員の名前や電話番号などを必ず記入することも確認した。【7月29日 京都新聞より】
▼亀岡市 災害時の避難および避難所における新型コロナウイルス感染症の予防について
http://www.city.kameoka.kyoto.jp/bousai/2020singatakoronahinansyo.html -
【地域防災】仙台市が決壊ハザードマップ作製 防災重点ため池83ヵ所の満水想定
宮城県仙台市は昨年6月に新たに指定された市内92カ所の「防災重点ため池」のうち、83カ所の決壊時のハザードマップを作製し、8月11日から市の公式ホームページなどで公開する。マップはため池ごとに作製。満水時に決壊した状況を想定し、決壊から10~60分後の時間ごとの浸水想定区域、最大浸水深、避難場所などを地図に表示した。将監ため池(泉区、貯水量21万100立方メートル)のマップによると、満水時に決壊した場合、10分後に南東側の市地下鉄泉中央駅の周辺が浸水し、20分後にユアテックスタジアム仙台付近、30分後に七北田川に達し、60分後には市名坂小の周辺に及ぶことが分かる。市内の防災重点ため池は鶴ケ谷大堤ため池他計97カ所ある。このうち5カ所は既にハザードマップを作製し、公表している。残る92カ所は県が新たに指定したため池。浸水シミュレーションの結果、83カ所は浸水想定区域に住宅や公共施設が含まれるため、ハザードマップの作製を進めた。市は安全対策として、本年度は31カ所に水位計やカメラなどを設置し、遠隔監視システムを構築し、地震や豪雨の発生時、ため池の堤の損傷や水位の変化を即時に把握する。【7月27日 河北新報より】
▼仙台市 ため池ハザードマップ
https://www.city.sendai.jp/norindoboku-sebi/kurashi/shizen/norinsuisan/tameike/hazard_map.html -
【地域防災】津 熊本の商品販売、豪雨被災支援 市民有志「できることを模索」/三重
豪雨に襲われた熊本県を支援する物産の販売会が26日、三重県津市大里睦合町の野田あられ駐車場であった。被災した人吉市の醸造工場など現地で購入したしょうゆなどの販売に多くの人が訪れた。津市民有志による「九州応援プロジェクト」が主催。7日からSNSを通じて支援を呼び掛け、集まったタオルや日用品などを19日までに3便トラックで届けた。さらなる支援につなげようと現地でさまざまな商品を購入し販売会を企画。趣旨に賛同した同社が場所を提供し、活動に賛同するよさこいグループ「チーム津凪」を中心に19日に続き2回目を開催した。販売テントには午前10時の開始を前に多くの人が並び、大小のしょうゆ、みそ、菓子などを買い求めた。松阪市から訪れた公務員の女性(47)は「熊本に行けないが自分でできることで支援する機会を与えてもらいありがたい」と話した。【7月27日 伊勢新聞より】
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【地域防災】情報届かぬ被災者のため…広報紙を1人で編集印刷、若手職員の奮闘/熊本
熊本県南部の豪雨で甚大な被害が出た球磨村で、若手広報マンが奮闘している。球磨川の氾濫で幹線道路は寸断し、インターネットは一時不通になった。村内外の避難所に身を寄せる住民に情報を届けるため、広報担当の野々原真矢さんは臨時の手作り広報紙を作成し、情報発信を続けている。豪雨に関する情報は当初、防災無線や会員制交流サイトのフェイスブックを使って発信していた。だが、防災無線が壊れて聞こえない地域も発生、インターネット回線は村の広範囲で断線した。村民からは「情報が届いていない」との声も寄せられた。村は人口約3500人で高齢化率50%が目前に迫り、SNSでの情報発信には限界がある。平常時の広報発行は基本的に月1回だが、高齢者にも伝えやすい紙での臨時発行を決めた。毎夕に開催される災害対策本部会議では、さまざまな部署が情報を報告する。野々原さんは関係者と臨時広報に載せる内容を調整し、編集や印刷を含め1人で手掛ける。開始からしばらくは毎日、現在も数日に1回ペースで計千部を避難所などに同僚と配布。「情報が日々更新されていくので、できるだけ新しい情報を提供したい。災害で役場の重要性はさらに増していると思う」と語る。【7月27日 西日本新聞より】
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【地域防災】原子力災害の避難先、半数「知らない」 日立市がマップ作製
茨城県日立市は原子力災害に備えた「広域避難ガイドマップ」を作製し、今月末から市内の全世帯に配布する。日本原子力発電東海第二原発(東海村)の30キロ圏内に位置する同市は、福島県内の17市町村と避難先として協定を結び、中小路地区は福島市、金沢地区が郡山市など、地区ごとに避難先を指定している。マップは避難先を四つに区分して4種類、計8万4千部作製した。各世帯には該当する地区のマップを配布する。内容は、一時避難場所や避難経路、避難先の体育館や公共施設などが具体的に記されているほか、避難手順や避難時持ち出し品のチェックリストが示されている。昨年11月に原子力災害避難訓練を実施し、参加者にアンケートを行った結果、半数の人が避難先を知らなかったことを踏まえ、市では、広域避難計画の完成前だが、避難先を市民に知ってもらおうと、マップ配布を先行させた。【7月27日 朝日新聞より】
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【防災施策】断水リスク浮き彫り 橋に付設の水道管、豪雨で流失/熊本
豪雨災害で熊本県を流れる球磨川が氾濫したことにより、球磨村に架かる「沖鶴橋」が崩落し、橋に付設されていた水道管も流され、断水を招いた。似たようなリスクを抱える地域は全国各地にあり、厚生労働省は「水害が激甚化しており、水道管の流失のような大規模な被害は各地で発生する可能性がある」と警告。水道管の補強などの検討を自治体に求めている。球磨村で沖鶴橋と水道管の流失が確認されたのは4日。この影響により、最大で約900戸が断水した。村災害対策本部の職員は「川に架かる大小さまざまな橋のほとんどが増水の衝撃で流されてしまい、水道管を守るすべもなかった」と話す。当面は、災害の影響を受けなかった給水ラインの活用などによってしのぐ構え。ただ、今後については、村をどのように復興させるかによって水道整備の考え方も変わってくるため、本格的な復旧は見通せない。こうしたことは全国各地で起き得る。厚労省によると、水道管が橋に付設されている箇所数のデータはないものの、担当者は「各市町村で一つの川に複数あるケースが多い」と話しており、相当数あるとみられる。2019年の台風19号では、福島県矢祭町でも被害が発生した。人口減少により水道事業の料金収入が減っていくことを踏まえれば、川の両岸に浄水場を整備するといった対策は現実的ではない。今回の豪雨災害を受けなかった自治体の水道事業担当者は「人手も限られているため、できる限りの対策を取るしかない」と話す。例えば、河川の水かさが増えた場合を想定して橋をより高い位置に架け替えることや、水道管が水の衝撃に耐えられるよう補強したりといったことが考えられる。厚労省の別の担当者は厳しい財政状況を踏まえて、「全国の水道管を一気に強化するわけにはいかない」と指摘。橋の老朽化対策と併せて計画的に取り組む必要性を訴えていた。【7月27日 時事通信より】
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【地域防災】岡山市消防局が複合訓練施設 地震や水害など実践的な救助学ぶ
近年の自然災害の激甚化、頻発化を受け、岡山市消防局が市消防教育訓練センターに整備していた複合訓練施設が完成した。施設は、訓練センター内の使っていなかった敷地約5千平方メートルを活用して開設した。地上部分と水域部分を組み合わせ、震災、水害、土砂災害と各災害に対応した訓練ができるよう、3種類のエリアを設けた。震災エリアでは、ビルの倒壊に見立てたコンクリートブロックを並べており、ブロックの下をくぐり抜けて救助に向かう訓練が可能。水害エリアでは、水上に家に見立てた建物を配置し、消防局が配備している水陸両用バギーなどを使って取り残された人を救助したり、悪路で走行訓練をしたりできる。土砂災害エリアは、西日本豪雨の教訓を基に整備した。砂利の中に家や車が埋まっており、重機を使った救出作業を行えるようにした。訓練施設は各消防署の職員らが使用する。消防局警防課は「いつどんな災害が起きても対応できるよう訓練を重ね、市民の安全を守りたい」としている。【7月20日 山陽新聞より】
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【地域防災】コロナ禍の避難は「勧告発令」後 真備・岡田地区住民調査で傾向/岡山
西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市真備町岡田地区のまちづくり推進協議会が住民を対象にした防災に関するアンケート結果(速報値)で、災害時に新型コロナウイルスの影響がある場合は、市が発令する避難勧告のぎりぎりまで逃げない傾向にあることが分かった。避難開始のタイミングについて、被災世帯にコロナの影響がある場合とない場合をそれぞれ聞いた。ない場合は「雨の降り方を見て」と「避難準備・高齢者等避難開始」(各25%)が最も多かったのに対し、ある場合は「雨の降り方を見て」(31%)「避難勧告」(29%)と続いた。調査に協力した兵庫県立大大学院の阪本真由美教授(防災)は「避難所で3密が想定されるコロナ禍では、避難行動が遅れる傾向が浮き彫りになった」と分析する。阪本教授は「コロナ禍では特に、事前に親戚や知人宅など複数の避難先を決め、早めに行動する自助が欠かせない。災害が激甚化する中、地域の防災訓練などに参画して共助の力を高めることも急務」と呼び掛ける。【7月19日 山陽新聞より】
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【地域防災】「なんとかしたい」豪雨復旧へ熊本一丸 県民ボランティアが奮闘/熊本
熊本県南部を中心とした4日の豪雨で被災した地域に18、19の両日、休日を活用して多くの災害ボランティアが集まり、本格化する復旧作業をサポートした。各地の災害ボランティアセンターが新型コロナウイルス感染防止のため募集を県民に限定する中、熊本地震の復旧復興を経験した「熊本パワー」が被災地に元気を与えている。同県球磨村渡地区の民家では19日、熊本市などから集まった11人が作業に当たった。球磨川の濁流の痕跡が2階の壁まで残る現場で、土砂や水没した家具の搬出に汗を流した。人吉市と球磨村にボランティアを派遣した市社会福祉協議会によると、18日と19日で計1237人が参加。同県八代市では計447人が参加した。ボランティアに加え、親戚や知人、職場の同僚らが、片付けを手伝う姿も見られた。片付け作業の終わりはいまだ見通せない。19日人吉市では最高気温31.7度を観測。マスクを着けたボランティアは蒸し暑さに悩まされた。被災地の各消防本部によると、ボランティア1人と作業中の住民2人が熱中症で搬送された。球磨村の中渡徹防災管理官は「ボランティアの皆さんに心から感謝したい。倒壊しかけた家屋などが多くあり、二次災害に巻き込まれないようくれぐれも注意してほしい」と呼び掛けている。【7月20日 西日本新聞より】
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【防災施策】内水氾濫、備え進まず 2割強はハザードマップ未公表/福岡
九州を襲った豪雨で、福岡県久留米市は筑後川の支流でポンプの排水能力が限界に達し、低地が浸水する「内水氾濫」が起きた。都市部で目立つ水害で、近年多発し浸水棟数は洪水を上回る。費用などの制約から2割強の自治体がハザードマップを未公表で、住民への注意喚起は遅れている。同市は筑後川の水位が上昇した際、支流への逆流を防ぐため支流の水門を閉めた。代わりに支流の水をポンプで排水したが、能力を超え、支流の水が地表にあふれた。市中心部など広域で浸水し、床上・床下浸水は約1950棟に上る。この地域は2012年の九州北部豪雨や18年の西日本豪雨でも内水氾濫が発生。市は県や国と対応を協議し、4月にまとめた対策で排水場のポンプ増設や貯留施設の整備を盛り込んだ。完成には5年程度かかるため、市は浸水想定を示す標識などを増やす予定だったが、間に合わなかった。【7月20日 日本経済新聞より】
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【地域防災】熊本豪雨の避難生活、ペットも安心 熊本地震教訓に同伴可や預かり支援
熊本県南部を襲った豪雨災害で、「被災ペット」を同伴で受け入れる避難所がある。山江村で犬の飼育や繁殖を手掛ける大瀬明子さんは15日、球磨村の被災者を中心に犬の預かり支援を始めた。支援のきっかけは熊本地震。当時は被災地から離れていたため実際に預ける人はいなかったが、今回は「また一緒に暮らせるようになるまで被災者の皆さんには頑張ってほしい」と10匹までの預かりを予定する。一方、避難所の一つ、八代市の八代トヨオカ地建アリーナは、預け先が見つかるまでの間、ペットと一緒に同じ部屋で寝泊まりできる。これまで約10組が犬や猫と避難。人吉市の人吉二中学校でも13日の授業再開までは、卓球場で一時的に受け入れていた。「わんにゃん緊急災害ネットワーク熊本」の増子元美さんは「被災した自宅に残ったり、車中泊を続けたりしているペットの把握と、ペットと共に入居できる仮設住宅の整備などの配慮が必要」と訴えている。【7月17日 熊本日日新聞より】
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【普及啓発】高齢施設避難、課題多く 計画作成は半数以下―専門家「外との連携カギ」・九州豪雨
九州南部を襲った豪雨災害では、熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」の入所者14人の命が奪われた。2017年に水防法が改正され、自治体が指定した高齢者施設などに避難確保計画の作成が義務付けられた。球磨村によると、千寿園も計画を作り、年2回の避難訓練もしていたという。国土交通省によると、今年1月1日時点で避難計画を作成した対象施設は45%と過半数に満たない。都道府県ごとのばらつきも大きく、岩手県では82%に上る一方、熊本県は5%で最低だった。徳島大の金井純子助教(地域防災学)は「計画を作っただけでは実効性を担保できない」と強調。避難のタイミングと移送体制の確立に課題があると指摘する。金井助教は「入所者の移動には、健康悪化に加えて転倒のリスクが伴うため、判断をギリギリまで保留してしまう心理状態が働く」と分析する。その上で、避難計画には自治体が発令する避難勧告のほかに、独自の避難開始の目安を設定したり、移動方法や受け入れ先を明確にしたりしておく必要があるとする。金井助教は「作成には高度な知識が求められ、自治体など専門性のあるサポートは欠かせない」と話す。また、「中小河川はハザードマップがない地域も多い。リスクが見えていないだけで、どこの施設でも水害は起こりうる」と強調。過去の水害で、自治体や近隣の高齢者施設などの支援を受けて迅速に避難できた例もあるとして、「施設外のマンパワーを使い、連携・応援体制をつくり上げることが重要だ」と訴えている。【7月15日 時事通信より】