まなべる、いかせる、つながれる。防災・減災のオンライン基地。

運営:防災推進協議会 協力:内閣府防災担当

リレー寄稿

※寄稿者様へのご連絡は、各ご所属先へお問い合わせください。

上吉原良実(かみよしはら・よしみ)

2021年6月30日

上吉原良実(かみよしはら・よしみ)

独立行政法人国立病院機構本部
厚生労働省DMAT事務局 災害医療課
小児救急看護認定看護師

出身地や活動地域:群馬県太田市
最近の防災・減災活動:東京都港区 母子救護所設置訓練アドバイザー、青木病院 災害対策アドバイザー、日本小児救急医学会災害医療委員会委員
関東や東北などで、小児周産期・母子保健・地域防災に関する研修講師・講演 多数
へるす出版小児看護2020年3月号特集 ~看護師がみる「なにか変」 親が感じる「いつもと違う」~「被災地の子どもたち」執筆

防災を取り組み始めたきっかけは?

熊本地震の際に、TMATの医療支援チームに参加したことが本格的に防災について取り組み始めたきっかけです。
小児救急看護認定看護師として、子どもや保護者の支援をしたいと思い支援活動に参加しましたが、避難所の巡回や救護所で出会った赤ちゃん、子ども達、保護者の方達が避難生活の中で危機的状況にある姿を目の当たりにして「災害が起きても赤ちゃん、子ども、お母さんが安心して過ごせるようにするために自分にできることは何か」ということを考えるようになりました。災害が起きた時の対応はもちろん大切ですが、それ以上に平時の備えが重要だと考え、防災活動に携わるようになりました。
その後、復興庁男女共同参画班で政策調査官として勤務し、主に女性や災害時要配慮者に対する被災者支援やコミュニティ再生、防災に関する浸透活動を通して多くの防災に関わる方達と活動させていただきました。医療現場を離れ防災に関わる中で新たな視点で防災を学び、「多職種連携」の難しさと重要性を改めて実感しました。
現在は厚生労働省DMAT事務局にて災害医療に携わっていますが、地域防災活動や災害時の母子保健、母子避難所設置準備の取組も継続して行っています。


ご自身の活動の中で、一番のエピソード(うまくいったことや、いかなかったことも)という事例をひとつあげてください。

今まで、様々な組織や団体の方達や被災地域の住民さん達と共に活動を行ってきたので、どの活動も印象深いのですが、ある被災地で支援活動をしている中で赤ちゃんや小さな子どもと避難所生活をしていた多くのお母さん達から「避難所の中には居場所がない」「子どもが泣いたり騒ぐので肩身が狭くて夜も眠れない」「赤ちゃんにおっぱいをあげたいけど体育館の中じゃ恥ずかしくてあげられない」といった相談が多くあり、乳幼児や保護者が安心して過ごせる避難所が必要だと考え、行政の方達と協働して乳幼児避難所を設置しました。
立ち上げにあたっては困難もありましたが、関わった方達の協力により多くの親子が乳幼児避難所で避難生活を送ることができ「子どもが泣いても叱らなくていいので、ここに来てよかった」「気兼ねなく授乳できるようになった」「子どもが遊び、走り回れる場所ができてよかった」といった声を多くの保護者の方達から聴きました。
実際に、元気に走り回って遊ぶ子ども達の姿やその様子を笑顔で見守るお母さんの穏やかな表情を見た時に、災害時における乳幼児や保護者が安心して過ごせる場所の確保と支援の重要性を実感しました。


防災活動は「つながり」が課題ですが、ご自身で感じる現状の課題についておしえてください。

災害時には医療だけでできることは少なく、多くの分野・職種の方と協働して初めて多くの人達を救うことができるので、多くの分野・職種の方達と平時から訓練や研修など様々な活動でご一緒して、繋がりを深めることが重要だと考え、活動しています。
また、地域のつながりの希薄化は国内の多くの地域で地域課題でもあると思います。宮城県大崎市清滝地区の地域防災訓練に参加させていただいた際に、安否確認訓練に地区の70%以上の世帯が参加されている姿を拝見しました。この高い参加率にびっくりしましたが、住民さん達は行政任せにせず、自分達で企画し準備して訓練を実行されており、地域コミュニティの醸成は地域防災力の醸成に繋がると実感しました。
地域ごとの特性や課題はあると思いますが、世代間交流を十分に行いながら防災活動を行うことの重要性を感じています。


TEAM防災ジャパンサイトについて、期待されることについてメッセージをお願いいたします。

TEAM防災ジャパンサイトを通じて、分野を超えて防災に携わる様々な方達が交流できること、そこから新たな化学反応が起きて、国内の防災活動の中に新しい風が吹くことを期待しております。