まなべる、いかせる、つながれる。防災・減災のオンライン基地。

運営:防災推進協議会 企画編集:助けあいジャパン 協力:内閣府防災担当

リレー寄稿

鍵屋 一(かぎや・はじめ)

跡見学園女子大学 教授 、一般社団法人 福祉防災コミュニティ協会代表理事

生年月日:1956年
出身地:秋田県男鹿市
最近の防災・減災活動:
内閣府「災害時要援護者の避難支援に関する検討会委員」、内閣官房地域活性化伝道師、NPO法人東京いのちのポータルサイト副理事長、事業継続推進機構理事、災害福祉広域支援ネットワークサンダーバード理事など。
著書に『図解よくわかる自治体の防災・危機管理のしくみ』2011年8月改訂、『福祉施設の防災マニュアル作成ガイド』など

・地域防災にはまったきっかけは?

2000年(平成12年)、勤めている板橋区の防災課長になったことがきっかけです。その時、地域防災計画があまりに厚くてわかりにくかったので、平成13年度の事業として、防災基本条例を住民参加型でつくることにしました。当時、防災の第一人者でいらした(いまはお亡くなりになっていますが)東京大学の廣井脩先生にメールで座長をお願いしたいところ、面識もないのに、二つ返事で受けて頂き、そのことに大感激!完全にはまってしまいました!人との出会い、それが大きな要因です。


・地域防災に関わって、改めて大切だと感じたことは?

大きくは3つあると思います。
1.建物の耐震補強
大きな地震がくると弱い建物は壊れやすい。阪神・淡路大震災で亡くなった方のほとんどは、建物の下敷きになっての窒息死、圧死、焼死でした。これはソフト対策ではどうしてもカバーできません。特に、建築当時の法律では合法だけれど、今の基準では違法になる(既存不適格)建物が大きな問題です。違法だろうが合法だろうが、壊れやすい建物を耐震化する制度や現場の知恵、工夫が必要です。
2.ご近所力
災害時は近所の人たちとの助けあいが不可欠です。安全だけでなく安心が得られますから。まずは地震直後の一撃をかわし、次はご近所で困っている人、弱い人も含め、みんなで支えあうという関係を平常時から作ることが大切です。
3.防災教育
災害時はいつもと違うことがたくさん起こります。そのとき、場面に応じて的確な行動が出来るためには、繰り返しの教育が必要。子どもの頃から繰り返し学ぶことで、自然と行動できるようになります。防災居幾とは「心の中の堤防を作る」ことと私は思っています。地域全体に定着するには30年かかるかもしれませんが、最も効果的な防災対策だと思っています。


・地域防災・減災に取り組んでみて感じる今の社会課題は?

ほとんどの人は大地震は必ず来ると思っています。しかし、備えは全く不十分。それはなぜか?
人は自分にとって不都合なことは、無視するか過小評価する傾向があるからです。これを「正常化の偏見」といいます。その結果、危機に備えることを怠ってしまう。個人だけでなく、企業・団体、自治体、政府に至るまで危機管理の優先順位は高くありません。危機を正面から受け止めることができるかが勝負。


・TEAM防災ジャパンの一員に推薦!という方をご紹介ください。

防災の専門家はたくさんはいますが、まちづくりとか、環境とか、子育てなど、別の分野で活躍している人にも参加して欲しい。いっぱいいるんだけれどなぁ…
札幌でサイクルシェアリングを根付かされた安江哲(やすえさとし)さん。半年間、雪のため自転車を使えない悪環境のもとで、札幌を放置自転車のない美しいまち、住民も観光客も自転車で楽しく走れるまちにするため、社内起業して多くの人を巻き込んでいます。


・TEAM防災ジャパンへの想いをお願いいたします。

熱しやすく冷めやすい日本人といわれますが、災害がそういった気質を生みだしているように感じます。何かあっても「水に流す」などのさらっとした感覚があり、反面、粘り強さがなく、過去から学べていないことが多い。「正常化の偏見」もあって、同じ災害が同じ場所で繰り返されています。
災害が多いはずなのに、やり過ごすことになれて、どこかで他力本願になっている。それではいのち、家族、まちは守れません。防災を「わが事化」にするように、TEAMのみなさんと一緒に行動したいと考えます。