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【関東大震災100年】葛西優香(かさいゆか)

東日本大震災・原子力災害伝承館 常任研究員/株式会社いのちとぶんか社 取締役

主な活動地域
福島県 浪江町
最近の防災・減災活動

関東大震災から100年経ちましたが、教訓として伝わっていると考えられることはなんですか?

火災で多くの方が亡くなった震災であったが、初期消火を住民自ら実施した地域もあった。また、徒歩で避難中、自身も被災しているにも関わらず炊き出しを行い、支援活動を行ったという住民同士の助け合いがあったという話をお伺いしている。大変な時の人と人との助け合いが命をも救うと、関東大震災を経験した方々からの教訓は伝わっていると考えられる。

いま、関東大震災級の地震が起きたら、心配なこと、解決していないと思う課題はなんですか?

上記1.の回答に紐づき、課題があると捉えている。それは、「教訓は伝わっている」が実際に現代を生きる私たちが助け合える環境づくりができているか、という課題である。個人化した社会を生き、スマホと見つめ合って町を歩く日々。日頃から社会に目を向ける習慣を身に着けておくことで災害時の助け合いにつながるであろう。その習慣が今あると言えるのだろうか。「助けて」と人に助けを求める習慣もなくなっているのかもしれない。助け、助けてもらうお互い様の感覚を取り戻すことが必要なのではないか、と考えている。言うのは簡単。助け、助けてもらう経験を体感する場がなくなっているのであれば、意図的に作らなければならないのではないか。

関東大震災からの100年に学び、子孫たちに何をどう伝えていくか、考えていることをお聞かせ下さい。

助け、助けてもらう習慣がなくなりつつあることは、人との接触を閉ざしたコロナ禍やプライバシー保護など社会の風潮が起因しているのではないか。機会さえあれば、社会と個人が接点を持ち、助け合いの習慣も生まれるのではないか。よって、子孫の方々には、人が関わり合う接点の場を設けて、社会に目を向ける機会を共有していきたい。支え合おうと口で言い続けるのではなく、協働を経験できる機会創りを継続的に行いたい。具体的には、新築マンションにおける防災マニュアルの作成、団地における地区防災計画の作成やお祭での協働など一緒に創り上げる過程でお互い様の習慣を取り戻すことができればと考えている。
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