リレー寄稿
地域防災の担い手をご紹介
【関東大震災100年】髙橋和雄(たかはしかずお)
長崎大学大学院工学研究科インフラ総合研究センター 特任研究員(名誉教授)
- 主な活動地域
- 長崎県 島原市
- 最近の防災・減災活動
-
-
2021年11月 宮崎県 宮崎市 2021年度防災・日本再生シンポジウム 九州地区 防災・減災シンポジウムin 宮崎 2021 〜ニューノーマルにおける防災・減災を考える〜 基調講演 豪雨災害の巨大化と防災・減災対策の再考 主催 国立大学法人 宮崎大学
https://www.youtube.com/live/PXkKVgbsnSU?si=ZVs8p2n_T_6Y5Zxz -
2022年10月 佐賀県 全域 第58回佐賀県地方自治研究集会 豪雨災害と防災・減災 基調講演 豪雨災害にどう向き合うか~防災・減災を考える~ 主催 佐賀県地方自治問題研究所
-
2022年11月 福岡県 北九州市 斜面崩壊雨の降り方の関係に関するシンポジウム 北九州2022~斜面災害による人的被害を無くすために〜 基調講演 九州の豪雨災害に学ぶ (公社)土木学会西部支部
-
2023年10月 長崎県 諫早市 令和5年度 長崎県農村振興技術連盟研修会 基調講演 気象災害(土砂災害)
-
関東大震災から100年経ちましたが、教訓として伝わっていると考えられることはなんですか?
関東大震災を契機に耐震設計、不燃化、公園・緑地の配置等の地震対策が本格的に開始された。地震の発生を止められないことを前提に保全対象の対策がなされている。九州在住の私が関わって来た風水害は伝統的に治山・治水というように被害を起こす側の渓流・斜面等の土砂崩壊や河川氾濫を防ぐ施設を整備してきた。宅地開発によって危険箇所が増え、被害が減らない状況になり、1999年広島土砂災害を契機に保全対象に着目した土砂災害防止法がやっと生まれた。保全対象を対象とした地震対策が関東大地震の教訓の一つと理解している。いま、関東大震災級の地震が起きたら、心配なこと、解決していないと思う課題はなんですか?
自然災害による被害の現れ方は土地利用、生活様式によって著しく変わってくる。自然災害の洗礼を受けていない新しい、便利なものが新たなリスクを生むことを認識して備えておく必要がある。日本の防災対策はニーズ対応の課題解決型で既存のシステムに上書きする形で進められてきている。災害対策のみを抜き出して議論することは無理であることは承知しているが、協定・連携で動いている部分、努力義務でカバーしている不安定な部分を解消する必要がある。司令塔になる防災省の新設、極度にライフライン・ネットワークに依存した過密都市の脆弱性、インフラの老朽化に伴う災害リスクの増加、減らない災害関連死への対応に総力で取り組んで欲しい。