寄稿者様への御連絡は、各御所属先へお問い合わせください。
・防災に取り組み始めたきっかけは?
2011年の東日本大震災の際に、留学先の米国から医療支援チームとして参加をしたことが直接の契機です。その後も、内容や所属機関は変わっても継続して東北の方や地域に関わらせていただく中で、この経験を無駄にしてはいけないと考えるようになりました。災害医療は、起きた災害に対して適切に対応していくことが求められますが、避難所で我慢を強いられながら生活を続ける住民の方々を目の当たりにし、災害の現場こそナイチンゲールが述べているように生活に関わるのが看護の仕事であることを再認識するようになりました。そのような思いから、避難所の生活の場を整えることで毎日の生活の不自由さからくる心身ストレスの蓄積や健康面での二次被害を予防したいと考えるようになりました。しかしながら、避難所は看護師だけで何かできることは1つもなく、避難されている方々を中心とした上で、多くの支援機関が協働し初めて改善することができる環境です。そのため、「我慢をさせない支援」をキーワードに、あらゆる領域の支援者が共通して使える基準や行動規範についての研修に取り組み始めました。この基準の1つが内閣府の避難所運営ガイドラインにも言及されているスフィア・スタンダードです。2013年からトレーナーとして関わり初めましたが、現在は私自身も住む宮崎県の南海トラフ地震・津波災害への対応能力強化の取り組みとして、宮崎で「我慢をさせない支援」ができる人を増やすことに取り組んでいます。また、災害時の支援者のストレスは支援の質に大きく関わることもあり、支援者のストレスを防ぎ、サポートすることが重要だと考えています。そのため、サイコロジカル・ファーストエイド研修や支援者のストレスに関する研修に取り組み、支援者も傷つかない組織やサポートを構築していければと考えています。
・ご自身の活動の中で、一番のエピソード(うまくいったことや、いかなかったことも)という事例をひとつあげてください。
私の支援活動は私個人で行えることは何ひとつありません。ですから、一番うまくいったことと、いう事が思い浮かびません。敢えて言うならば、活動を通して支援者に対する支援ができたことです。災害に関する研修でファシリテーターを務めることが多いのですが、受講された方がその後実際に災害支援に携わられることがあります。その方々が、帰還後に「受けていてよかった」と教えてくださる時に、とても嬉しい気持ちになります。うまくいかなかったことは、一緒に活動をしていた方がストレスアウトされた時に自分の無力さを感じました。
・防災活動は「つながり」が課題ですが、ご自身で感じる現状の課題についておしえてください。
医療職のせいか、どうしても地域で防災に携わられている方とのつながりがまだまだ弱いように感じます。
・ご自身の活動の中で、繋がれるといいなぁ(繋がってよかった)と思われる(地域、企業、団体、個人など)についてご紹介ください。
徳島県・坂東淳さん。徳島県庁危機管理課「徳島ゼロ作戦」として、県民が我慢をさせない支援ができるようになるための取り組みを一緒にさせて頂いています。スケール感が大きく、かつ緻密な行政パーソンです。
いろは会。宮崎の災害に興味がある医療職者の自主勉強会ですが、宮崎に来てまだ1年前後の私が多くのご縁を頂けているのはこの会でたくさんの職種の方にお目に掛かれたお陰です。
株式会社メディヴァ大石佳能子さん。様々な形で災害支援活動をご一緒していただいています。私とは全く違う視点を与えてくださる得難いメンターです。
・TEAM防災ジャパンサイトについて、期待されることについてメッセージをお願いいたします。
多様な方が繋がっていくことを可能にするプラットフォームだと思います。これからも広い「つながり」を紡ぎ続けてください。
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