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リレー寄稿

地域防災の担い手をご紹介

寄稿者様へのご連絡は、各ご所属先へお問い合わせください。

弘中秀治(ひろなかしゅうじ)

山口県宇部市健康福祉部地域福祉課課長補佐、気象予報士

主な活動地域
山口県 宇部市
最近の防災・減災活動

生年月日:1967年
出身地:愛知県名古屋市生まれ 山口県出身
大分大学経済学部卒業後、宇部市役所入所
最近の防災・減災活動:
1996年(平成8年)から17年間、 宇部市防災危機管理課で防災業務に取り組む
日本気象予報士会九州・沖縄地区担当理事、内閣府防災ボランティア活動検討会メンバーなど

・地域防災にはまったきっかけは?

1996年(平成8年)から17年間、宇部市防災危機管理課で防災業務に取り組みました。ちょうど阪神淡路大震災後、変わり始めた防災分野で、地域防災計画震災対策編の新設を担当し、従来の計画を一読してわからなかったところが200箇所以上もあり、それらを調べながら改訂案を作成したことで、防災行政全体を理解することができました。 また、大雨で防災体制を執っているときに、気象に詳しい者が居なければ、避難勧告の判断もできないと危機感を感じ、気象予報士の資格を取ったこと。さらに、災害ボランティアの世界に飛び込んだことなども、外の世界にたくさんの仲間を得ることにつながり貴重な財産となりました。 特に自主防災組織については、平成11年に台風18号による甚大な高潮被害(浸水家屋約4,200棟)を受けたことが、きっかけとなりました。平成12年当時は、自主防災組織率0.8%でしたが、NPOとともに各校区を周り、防災研修や出前講座を重ねて、10年かけて100%になったことなどがあります。

 ・地域防災に関わって、改めて大切だと感じたことは?

(1)地域の人と一緒に汗をかくこと 市民にとって私は、市役所の人ですから、たとえ担当外のことであっても、責任をもって真摯に対応し、地域の課題(防災も含む)を一緒に考え、共に汗を流すことで、絆や連帯感が生まれ、仲間となり、かわいがってもらえるようになりました。押しつけではなく、信頼関係を築くことが大切だと感じました。 (2)いかにわかりやすく伝えるか 正確な言葉を使っても、それでは住民に伝わっていないことがたくさんあります。平成12年に全国で初めて双方向の防災メールを導入し、最初の5年間は、24時間全て手入力で対応していました。返信メールの内容から、こちらの危機感や具体的にどうなりそうなのか、などの情報を極力伝えた方がよいこともわかり、今でも意識していることです。 (3)地域の歴史に学ぶこと 地形や歴史を調べると、過去にも災害があったことが多くわかります。先人が、石碑や神社、地名、あるいは、昔話やお祭りなど様々な手段で、後世の人々に伝えようとした声に、私たちはもっともっと耳を傾けなければならないと感じています。被災後のインタビューなど聞いている限り、その方の記憶の範囲(数十年間)では被害がなかったということに過ぎない場合がほとんどのようです。

 ・地域防災・減災に取り組んでみて感じる今の社会課題は?

これまでに、多い年には年間90回の出前講座をしてきました。しかし、一方で限界も 感じています。対象者は、ある程度関心のある方が来られるわけで、まったく関心のない人に伝える機会はほとんどありません。 それから、「大雨警報」や「避難勧告」という言葉は、聞かれたことはあるとは思いますが、正しく理解できている方はどれくらいおられるでしょうか。ましてや「記録的短時間大雨情報」や「土砂災害警戒情報」などのちょっと難しい言葉がどれだけの方に、何が伝わっているのでしょうか。 平成11年の「防災と情報に関する世論調査」内閣府大臣官房政府広報室によると、水害や土砂災害が発生する危険性が高くなった時に出る防災情報のうち、知っているものを聞いたところ、「避難勧告や避難指示」は60.6%でした。つまり、約4割の国民は、避難勧告や避難指示を知らないということを意味しています。 防災気象情報は、国民の命を守る情報ですから、より多くの人が理解し行動できるように、国の責任として体系立て、繰り返し教育する努力が求められていると感じています。

・TEAM防災ジャパンの一員に推薦!という方をご紹介ください。

岩手医科大学付属病院、岩手県高度救命救急センターの秋冨慎司さんです。 2005年(平成17年)のJR福知山線脱線事故での災害救急医療活動にあたり、岩手・宮城内陸地震、そして東日本大震災を経験されました。 『助けたかった人がいた。助けられなかった人がいた。いや、助けにいくことさえできなかった。何時間、何十時間も。ヘリをください!何度そう叫んだろうか。通じない電話を何度かけただろうか。どこで、何人の人が助けを待っているのか、まったく分からなかった。助けられた人もいれば、助けられなかった人もいた。すべての人を救うことは不可能だった…』「ナインデイズ」(幻冬舎、河原れん)で語った彼の言葉です。

・TEAM防災ジャパンへの想いをお願いいたします。

全国各地で、たくさんの方が、それぞれの地域で活動されていることと思います。各地のユニークな取り組みなども知りたいですが、地道に取り組んでおられる方も知りたいですね。活動の悩みや工夫を共有しながら、みんなで知恵を出しあい、一歩一歩進めて行けるそんな場になったらいいですね。
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