運営
内閣府政策統括官(防災担当)
協力
防災推進協議会

リレー寄稿

地域防災の担い手をご紹介

寄稿者様へのご連絡は、各ご所属先へお問い合わせください。

【2回目】鍵屋一(かぎやはじめ)

跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部 教授、一般社団法人 福祉防災コミュニティ協会 代表理事

主な活動地域
秋田県 男鹿市
最近の防災・減災活動

最初のリレー寄稿以降、災害被害を軽減するために、あなたが関心を持って取り組んできていることは何ですか?

高齢者、障がい者等の要配慮者の防災です。東日本大震災以後、ほとんど動かなかった要配慮者の防災対策が、2018年の西日本豪雨災害以降、再起動しました。2021年度には避難準備・高齢者等避難開始が高齢者等避難に名称変更、避難行動要支援者の個別計画が個別避難計画と名称変更されて市区町村の努力義務化、介護や障害福祉サービス事業所にBCP作成義務付け、福祉避難所ガイドラインの改定により直接避難が原則、流域治水関連法により福祉施設の立地規制、などの多くの政策制度の充実に関わることができました。さらには、災害ケースマネジメントの手引きの作成、被災者支援のあり方の抜本的検討を進めています。現在は、制度ができた段階で実践はこれからです。良い事例に学びながら、水平展開する取組みを粘り強く行っていきたいと思います。

新たにどういうつながりができましたか? それは、どのように拡げることが出来ましたか?

最初の寄稿は2015年3月で、ちょうど板橋区役所を退職する直前でした。その後は、大学教員として多くの研究者と共同研究「など」で濃いつながりができました。国や自治体の検討会などの委員も受けやすくなり、思いを語り、政策制度に貢献する場が増え、同時に熱意ある政府や自治体職員ともつながって、ありがたく思います。また、全国各地に講演や研修などで出かけることも増えて、防災に熱心な自治体職員、福祉関係者などとつながりをもっています。2016年11月25日に多くの仲間と一緒に(一社)福祉防災コミュニティ協会を立ち上げました。福祉BCPと福祉避難所について、全国各地で研修を行っています。個人と個人のつながりも楽しく大事ですが、組織化することで知見が蓄積され、活動が大規模になり、長続きしやすくなります。

最初の原稿を改めて読んで、社会が変化したりご自身が成長を感じる部分があれば、教えて下さい。

8年が経過して、住宅の耐震化率(数でなく)が上がりました。阪神淡路大震災の最大の教訓は、古い住宅が命を奪うことでしたが、首都圏ではほとんどは民間の努力で耐震化を進めました。この間、大地震がなくて、本当に運が良かったと思います。ほとんどの自治体は、耐震化をするのに自己負担を求めます。自己負担のできる人には税金を投入して耐震化を進められるのに、自己負担のできない人は置いていかれるのです。これは公正でしょうか。その中で、高知県黒潮町は自己負担なしで145万円まで補助することで、1万人の人口で年間150件以上の耐震化を進めています。南海トラフ以後に住宅を建てる大工の仕事づくりも考えていると言います。なんとすごい戦略でしょうか。

いま、防災に関わることで、どんなことに興味を持っていますか? その理由も含めて教えてください。

2023年9月1日、関東大震災100年の日に「災害福祉フォーラム」を立ち上げます。より多くの仲間とともに災害福祉の愛を語り、哲学を論じ、ミッションを共有する道場です。この場を通じて、関東大震災時の賀川豊彦のような人財がたくさん出てくることを期待しています。

いま、防災に関わることで、どんなことにお困りですか? つながりたい分野などはありますか?

高齢者、障がい者、乳幼児・妊産婦さん等が避難する福祉避難所については、2年前の全国調査では、マニュアルを作成しているところが15%、訓練も実施しているところも15%、最低限の備蓄をしているところが30%でした。そこで、企業版ふるさと納税を活用して、3市で物資を支援、2市で訓練を実施しました。しかし、なかなか活動が伸びていきません。産業界の方々に、ぜひ支援いただきたいと考えています。それが、誰一人取り残さない防災につながると信じています。

TEAM防災ジャパンのサイトや活動で、改善して欲しいことは何ですか?

TEAM防災ジャパンがあって、そのつながりの中で私は育てていただきました。多くの方に活動してもらえることで、さらに災害に強い社会ができていくと確信しています。

鍵屋一さんのこれまでの寄稿はこちら

関連タグ
地区防
大学等研究機関
福祉
自治体
訓練・研修