リレー寄稿
地域防災の担い手をご紹介
【2回目】室﨑益輝(むろさきよしてる)
減災環境デザイン室顧問、海外災害援助市民センター代表、日本防災士会理事長
- 主な活動地域
- 京都府 宇治市
最初のリレー寄稿以降、災害被害を軽減するために、あなたが関心を持って取り組んできていることは何ですか?
現場主義と総合主義さらには集団主義に立って、減災と復興の教訓を掘り起こして次世代に伝える取り組みを、時間の許す限り取り組んでいる。月1回のペースで、内外の被災地に足を運んで、若者と一緒に教訓を学んでいる。北但震災、飯田大火、福井震災、酒田大火、921震災などを取り上げ、災害研究の過去と未来をつなぐべく努力している。これからの若い人に最後のメッセージを残すことができればと思っている。新たにどういうつながりができましたか? それは、どのように拡げることが出来ましたか?
災害の種別を超えたつながり、人間の属性を超えたつながり、時代の流れを超えたつながりができた。災害の種別では、感染症や地域紛争、食糧危機といった災害に眼をむけるようになった。人間の属性では、現場に密着して減災や復興に努める人々とのつながりが深まった。時代の流れでは、古代から現代にいたるまでの災害を通史的に整理することができた。それらのつながりは、グローバルとローカルを融合させた幅広い視野をもつことによって、拡げることができた。最初の原稿を改めて読んで、社会が変化したりご自身が成長を感じる部分があれば、教えて下さい。
社会は常に変化しており、科学も常に変化している。それゆえに、災害も進化している。災害が進化すれば、防災も進化しなければならないし、自身も成長しなければならない。自身が時代の要請に応える形で成長できたかどうかは不明であるが、地球環境問題として防災を捉える視点やSDGsの枠組みで防災を捉える視点は、新たな資産としてわが身に着いたと思っている。いま、防災に関わることで、どんなことに興味を持っていますか? その理由も含めて教えてください。
災害の巨大化、頻発化、多様化、長期化、複合化に、如何に立ち向かうべきか。公衆衛生、個別対応、統合協治といった概念からの、新しい減災システムの構築を図らなければならない、と思っている。そのための、人材育成と教育啓発の見直しが欠かせない。災害の進化に負けてはならないからである。室﨑益輝さんのこれまでの寄稿はこちら