リレー寄稿
地域防災の担い手をご紹介
【関東大震災100年】吉川仁(よしかわじん)
都市プランナー(防災アンド都市づくり計画室)、元 首都大学東京特任教授
- 主な活動地域
- 東京都 全域
- 最近の防災・減災活動
-
-
2023年02月 出版:吉川仁『資料にみる「関東大震災から国民防空への展開」』三省堂書店/創英社 2023年2月
https://www.amazon.co.jp/資料にみる「関東大震災から国民防空への展開」―災害教訓の使われ方を再考する―-吉川仁/dp/4879231908 -
2023年08月 東京都 墨田区 「関東大震災100年・第11回首都防災ウイーク」で東京都慰霊堂に『震災石版画』25点を展示
-
関東大震災から100年経ちましたが、教訓として伝わっていると考えられることはなんですか?
明治期から幹線道路整備が進んでいたが、100年前の東京市や横浜市には人口が急激に流入し、長屋等低質な木造住宅が軒を接する木造密集地が拡大、交通、衛生、住宅、労働、教育等多くの都市問題が生じていた。大正中頃から都市計画や社会政策が動き出しており、被災後の帝都復興はそれらを取り入れて展開した。災害前の都市や社会構造が、被害や復興に結びつくことが如実に示された。当時、市民や行政の地震の意識は薄く災害への備えはほぼなかった。台風崩れの低気圧、流言拡大等社会的混乱等もあり、「想定外」の「複合型」災害になった。のちに震火災を口実に防空が進展したが災害対策は進まず、大都市震災対策が社会的課題になるのは50年という時間を要した。
いま、関東大震災級の地震が起きたら、心配なこと、解決していないと思う課題はなんですか?
科学技術が進展し災害予測や防災技術は高度化する一方、都市への機能集中が続いている。一方災害は今は来ない・起きても自分は大丈夫という「正常化の偏見」意識は続いている。とりわけ大災害に未経験な要因、例えば超高層住宅、巨大インフラ、広大な埋立地、大量高速交通、緑とオープンスペースが不足した市街地、高度なシステム社会等による混乱と影響を危惧する。また、自然と共生し災害と共存する発想は薄まり、防災に関する基準や行政への依存が強まっている。被災後に次代の都市や地域を展望し再生する市民の力は衰えている気がする。
関東大震災からの100年に学び、子孫たちに何をどう伝えていくか、考えていることをお聞かせ下さい。
最近の災害や過去の被災事例の学習等をきっかけに、もし大地震や水害等が、自分の住まいや街に起きたらどうなるか、被害を防ぐにはどうしたらよいか、被災後に自分やみんなはどう行動したらよいか等「わがまちの防災」を考えてほしい。安全安心で自然が豊かでゆとりある空間、みんなが尊重され互いに協力できる地域社会など、日常からの取り組みが災害に強い都市や地域を実現するという基本を大事にしたい。投稿直後に「令和6年能登半島地震」が発生した。被災地への支援とともに、これを他人事とせず各々の地で災害への備えと被災後どう再生するか検討しておく取組(事前復興)を進めていただきたい。