寄稿者様への御連絡は、各御所属先へお問い合わせください。
- 主な活動地域
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兵庫県 全域
- 最近の防災・減災活動
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出身地:兵庫県
最近の防災・減災活動:講演*在宅の特性を踏まえ訪問看護ステーションの災害の備えをデザインする ,笹川記念保健協力財団,2019.2.
著書*災害対策ハンドブックー~医療的ケアが必要な方のために (監修),特定非営利活動法人ALDの未来を考える会,2020.3.
通訳者が災害医療について学ぶためのテキスト(監修),特定非営利活動法人 多言語センターFACIL,2017.3.
論文*災害への備えの充実・強化を図る上で訪問看護ステーションが直面する課題の検討 ,癌と化学療法,2019.5
学会*療養者・家族に寄り添う災害への備えのデザイン ,第24回日本在宅ケア学会シンポジウム シンポジスト ,2019.7.
防災を取り組み始めたきっかけは?
1995年1月の早朝、神戸・阪神・淡路地域を襲った地震は、私たちの日常を奪い、生活は一変しました。発災直後は、ただただ人間の無力さを感じました。しかしながら、時間の経過とともに生活の復興に取り組む人々の強さや絆の素晴らしさに希望を感じたことも事実です。
当時、私は、神戸市長田区にある看護専門学校に勤務しており、看護教員として、被災して苦悩や困難の中にいる人々に寄り添う看護の力を将来の看護師に伝えたいと考え、災害看護に強く惹かれ研究に着手しました。災害看護は看護の原点であるという思いを持ち続け、教育に当たっています。
ご自身の活動の中で、一番のエピソード(うまくいったことや、いかなかったことも)という事例をひとつあげてください。
私は研究を通して災害時でも質の高い実践活動ができる人(看護職)づくりに取り組んでいます。
そのため、被災地で活動した経験を持つ看護師や医師、訪問看護師等の医療専門職に加え、在宅療養者やその家族の皆様のご協力を得て貴重かつ現実味のある実践活動経験をお聞かせいただきました。その数は150名余にのぼっています。多くの方々は自らの活動を決して誇らしく語るわけではなく、むしろ涙ながらに語ってくれました。月日が経過しても心に深く刻まれた想いは決して風化しないことを確信するとともに、心のケアの大切さを再認識しました。
近年、発生確率が高まる都市直下地震や南海トラフ地震で震度6強以上が想定される地域の訪問看護ステーションの7割程度が何らかの備えをしていると回答するに留まり、備えの充実への期待とは若干かけ離れたものになっています。
防災活動は「つながり」が課題ですが、ご自身で感じる現状の課題についておしえてください。
私は3つの視点から「つながり」を考えます。
第1に災害医療は、病院(避難所を含む)という場で、医療提供者の視点からとらえがちで、在宅療養者のための防災活動は上手く描けていません。対象者と活動の場のつながりは限定的もとらえられます。
第2に頻発する災害への対処行動と課題指摘は多様になされていますが、阪神・淡路大震災から四半世紀を過ぎようとする今、それらの理論化は十分に進んでいるとは思えません。今こそ、研究者と実践者のつながりを再構築する時です。
第3に理論を実践に移すために医療職や患者/療養者、家族も含め、学ぶべき災害の備えの内容と機会の充実が進んでいません。様々な人々の災害の記憶をつなぎ、多職種がつながり展開する実践を生む教育プログラムの開発が必要です。
ご自身の活動の中で、繋がれるといいなぁ(繋がってよかった)と思われる(地域、企業、団体、個人など)についてご紹介ください。特に、つながれてよかった個人をリレー寄稿にご紹介ねがいます!
私は小千谷総合病院の元看護部長の佐藤和美さんとのご縁から多くのことを学ばせていただきました。小千谷総合病院は新潟中越地震で被災し、佐藤さんは発災直後から病棟避難にリーダーシップを発揮するとともに、直後の混乱が落ち着くと直ぐに災害看護実践の学びを看護師の視点から調査するなど貴重な活動をされています。また、その実践と学びをもとに、その後も病院の備えを具体的かつ実践的に看護職や学生に伝える取り組みに努められています。
TEAM防災ジャパンサイトについて、期待されることについてメッセージをお願いいたします。
このサイトに期待することは、多くの関係者が今からでも簡単に取り組めるアイデアを出し、交換する場になって欲しいと考えます。
例えば、私は「1分間を患者・療養者と過ごす運動」を提唱しています。災害情報に触れる都度、被災地と在宅療養者の安全・安心を祈りながら、1分間で良いので、医療者であれば担当する患者や利用者のことを考える時間を持っていただきます。災害の都度に間髪入れず流れるテレビやラジオのニュースを聞いた瞬間から、その災害が自分の住んでいる地域や職場で起こったと仮定して、優先すべき行動や確認事項を詳細に考えていただきます。医療者以外でも同じように自分の役割を考えてもらいます。
このイメージ訓練を通して、災害時の想定外を最小化することにつながるものと考えています。
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