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防災関連の最新ニュースをご紹介
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【地域防災】津 熊本の商品販売、豪雨被災支援 市民有志「できることを模索」/三重
豪雨に襲われた熊本県を支援する物産の販売会が26日、三重県津市大里睦合町の野田あられ駐車場であった。被災した人吉市の醸造工場など現地で購入したしょうゆなどの販売に多くの人が訪れた。津市民有志による「九州応援プロジェクト」が主催。7日からSNSを通じて支援を呼び掛け、集まったタオルや日用品などを19日までに3便トラックで届けた。さらなる支援につなげようと現地でさまざまな商品を購入し販売会を企画。趣旨に賛同した同社が場所を提供し、活動に賛同するよさこいグループ「チーム津凪」を中心に19日に続き2回目を開催した。販売テントには午前10時の開始を前に多くの人が並び、大小のしょうゆ、みそ、菓子などを買い求めた。松阪市から訪れた公務員の女性(47)は「熊本に行けないが自分でできることで支援する機会を与えてもらいありがたい」と話した。【7月27日 伊勢新聞より】
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【地域防災】情報届かぬ被災者のため…広報紙を1人で編集印刷、若手職員の奮闘/熊本
熊本県南部の豪雨で甚大な被害が出た球磨村で、若手広報マンが奮闘している。球磨川の氾濫で幹線道路は寸断し、インターネットは一時不通になった。村内外の避難所に身を寄せる住民に情報を届けるため、広報担当の野々原真矢さんは臨時の手作り広報紙を作成し、情報発信を続けている。豪雨に関する情報は当初、防災無線や会員制交流サイトのフェイスブックを使って発信していた。だが、防災無線が壊れて聞こえない地域も発生、インターネット回線は村の広範囲で断線した。村民からは「情報が届いていない」との声も寄せられた。村は人口約3500人で高齢化率50%が目前に迫り、SNSでの情報発信には限界がある。平常時の広報発行は基本的に月1回だが、高齢者にも伝えやすい紙での臨時発行を決めた。毎夕に開催される災害対策本部会議では、さまざまな部署が情報を報告する。野々原さんは関係者と臨時広報に載せる内容を調整し、編集や印刷を含め1人で手掛ける。開始からしばらくは毎日、現在も数日に1回ペースで計千部を避難所などに同僚と配布。「情報が日々更新されていくので、できるだけ新しい情報を提供したい。災害で役場の重要性はさらに増していると思う」と語る。【7月27日 西日本新聞より】
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【防災施策】断水リスク浮き彫り 橋に付設の水道管、豪雨で流失/熊本
豪雨災害で熊本県を流れる球磨川が氾濫したことにより、球磨村に架かる「沖鶴橋」が崩落し、橋に付設されていた水道管も流され、断水を招いた。似たようなリスクを抱える地域は全国各地にあり、厚生労働省は「水害が激甚化しており、水道管の流失のような大規模な被害は各地で発生する可能性がある」と警告。水道管の補強などの検討を自治体に求めている。球磨村で沖鶴橋と水道管の流失が確認されたのは4日。この影響により、最大で約900戸が断水した。村災害対策本部の職員は「川に架かる大小さまざまな橋のほとんどが増水の衝撃で流されてしまい、水道管を守るすべもなかった」と話す。当面は、災害の影響を受けなかった給水ラインの活用などによってしのぐ構え。ただ、今後については、村をどのように復興させるかによって水道整備の考え方も変わってくるため、本格的な復旧は見通せない。こうしたことは全国各地で起き得る。厚労省によると、水道管が橋に付設されている箇所数のデータはないものの、担当者は「各市町村で一つの川に複数あるケースが多い」と話しており、相当数あるとみられる。2019年の台風19号では、福島県矢祭町でも被害が発生した。人口減少により水道事業の料金収入が減っていくことを踏まえれば、川の両岸に浄水場を整備するといった対策は現実的ではない。今回の豪雨災害を受けなかった自治体の水道事業担当者は「人手も限られているため、できる限りの対策を取るしかない」と話す。例えば、河川の水かさが増えた場合を想定して橋をより高い位置に架け替えることや、水道管が水の衝撃に耐えられるよう補強したりといったことが考えられる。厚労省の別の担当者は厳しい財政状況を踏まえて、「全国の水道管を一気に強化するわけにはいかない」と指摘。橋の老朽化対策と併せて計画的に取り組む必要性を訴えていた。【7月27日 時事通信より】
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【歴史・教訓】県内犠牲98人被災6万戸「昭和42年豪雨」教訓次代へデジタル資料完成/兵庫
約半世紀前に兵庫県内で死者・行方不明者98人を出した「昭和42(1967)年7月豪雨」について、インターネット上で当時の写真や体験者の声に触れられるデジタルアーカイブが完成した。昨年完成した阪神大水害(1938年に発生)のデジタル資料に追加する形で、7月から22点が公開されている。九州を中心とする記録的な豪雨など、各地で水害や土砂災害が相次ぐ中、制作した実行委員会は「六甲山系と共に生きる人々の備えの一助になれば」としている。【7月20日 神戸新聞NEXTより】
▼兵庫県CGハザードマップ/過去の洪水記録(昭和42年)
http://gakusyu.hazardmap.pref.hyogo.jp/bousai/kouzui/history/1967_07.html -
【地域防災】「なんとかしたい」豪雨復旧へ熊本一丸 県民ボランティアが奮闘/熊本
熊本県南部を中心とした4日の豪雨で被災した地域に18、19の両日、休日を活用して多くの災害ボランティアが集まり、本格化する復旧作業をサポートした。各地の災害ボランティアセンターが新型コロナウイルス感染防止のため募集を県民に限定する中、熊本地震の復旧復興を経験した「熊本パワー」が被災地に元気を与えている。同県球磨村渡地区の民家では19日、熊本市などから集まった11人が作業に当たった。球磨川の濁流の痕跡が2階の壁まで残る現場で、土砂や水没した家具の搬出に汗を流した。人吉市と球磨村にボランティアを派遣した市社会福祉協議会によると、18日と19日で計1237人が参加。同県八代市では計447人が参加した。ボランティアに加え、親戚や知人、職場の同僚らが、片付けを手伝う姿も見られた。片付け作業の終わりはいまだ見通せない。19日人吉市では最高気温31.7度を観測。マスクを着けたボランティアは蒸し暑さに悩まされた。被災地の各消防本部によると、ボランティア1人と作業中の住民2人が熱中症で搬送された。球磨村の中渡徹防災管理官は「ボランティアの皆さんに心から感謝したい。倒壊しかけた家屋などが多くあり、二次災害に巻き込まれないようくれぐれも注意してほしい」と呼び掛けている。【7月20日 西日本新聞より】
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【防災施策】内水氾濫、備え進まず 2割強はハザードマップ未公表/福岡
九州を襲った豪雨で、福岡県久留米市は筑後川の支流でポンプの排水能力が限界に達し、低地が浸水する「内水氾濫」が起きた。都市部で目立つ水害で、近年多発し浸水棟数は洪水を上回る。費用などの制約から2割強の自治体がハザードマップを未公表で、住民への注意喚起は遅れている。同市は筑後川の水位が上昇した際、支流への逆流を防ぐため支流の水門を閉めた。代わりに支流の水をポンプで排水したが、能力を超え、支流の水が地表にあふれた。市中心部など広域で浸水し、床上・床下浸水は約1950棟に上る。この地域は2012年の九州北部豪雨や18年の西日本豪雨でも内水氾濫が発生。市は県や国と対応を協議し、4月にまとめた対策で排水場のポンプ増設や貯留施設の整備を盛り込んだ。完成には5年程度かかるため、市は浸水想定を示す標識などを増やす予定だったが、間に合わなかった。【7月20日 日本経済新聞より】
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【防災施策】物流拠点など一時避難所に 河川の氾濫にそなえ/山梨
市全体の60%余りに浸水のおそれが想定されている山梨県中央市は、民間の物流拠点などを一時避難所として利用するための協定を結んだ。協定を結んだのは、中央市と、市内にある民間の物流拠点の「山梨県流通センター」、それに加盟企業の1つで医薬品卸の「日医工山梨」で、20日、3者が市役所で協定書をとり交わした。中央市は、笛吹川や釜無川など市内を流れる7つの河川が氾濫した場合、市全体の60%余りに浸水のおそれがあると想定されている。今回の協定によって、水害のおそれがある場合、流通センターの事務局が入る建物や、「日医工山梨」の社屋を一時避難所として使えるようになる。中央市は、これまでも地元の企業やスーパーとこうした協定を結んで、建物や駐車場を避難所として使えるようにする取り組みを進めている。山梨県流通センターの栗山直樹理事長は「全国で洪水が発生し、身近で切実な問題としてとらえている。地域にどう貢献できるかを考え、協定を結んだ」と話す。【7月20日 NHKニュースより】
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【災害想定】梅雨前線 今週いっぱいは停滞 局地的大雨のおそれ
西日本や東日本など各地の雨はいつまで続くのか。気象庁は、今後の見通しについて、「今週いっぱいは梅雨前線の停滞が続き、今後も局地的な大雨がおこるおそれがある」と、引き続き最新の気象情報に注意するよう呼びかけを行なった。梅雨前線と低気圧の接近で、西日本では13日夜から14日にかけて、東日本では14日、再び大雨になるおそれがあり、これまでの大雨で少しの雨でも災害が起こる可能性があり警戒が必要だと述べたうえ、周囲が明るいうちに避難の判断をするよう呼びかけている。今後の雨の予想について「梅雨前線は少なくとも今週いっぱいは日本付近にとどまる見通し。前線に向かって暖かく湿った空気が入りやすい状態が続くので、今後も局地的な大雨がおこるおそれがある」と説明し、引き続き最新の気象情報に注意するよう喚起している。【7月13日 NHKニュースより】 ▼気象庁 梅雨前線に伴う大雨の見通しについて https://www.jma.go.jp/jma/press/2007/13a/kaisetsu202007131100.pdf
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【歴史・教訓】球磨川氾濫「記録上、最大の浸水深」 熊本大調査「昭和40年7月洪水」上回る
記録的豪雨による1級河川・球磨川の氾濫などで熊本県南部を中心に甚大な被害が広がった九州豪雨で、球磨川流域の同県人吉市などを現地調査した熊本大くまもと水循環・減災研究教育センター(熊本市)は、今回の氾濫による浸水深が戦後最大とされてきた「昭和40年7月洪水」を上回り、記録に残る球磨川水害では最大級だったとの見方を示した。日本三大急流の一つで「暴れ川」の異名を持つ球磨川は過去にも度々氾濫して水害をもたらしてきた。昭和40年7月洪水では家屋の損壊・流失が1281戸、浸水は床上と床下で計1万2825戸。国土交通省八代河川国道事務所によると、その後も「平成23年6月洪水」まで少なくとも9回の洪水被害が起きている。今回の水害で国宝指定の5棟のうち拝殿や幣殿などが床上浸水した人吉市上青井町の青井阿蘇神社。神社の横の電柱には昭和40年7月洪水の時の浸水深が2.3メートル、1971年の「昭和46年8月洪水」の時の浸水深が1.1メートルと記録されているが、今回の浸水の跡は3メートルの高さに達していた。神社の数百メートル下流で、より球磨川に近い同市下青井町の電柱は昭和46年水害が1.1メートル、昭和40年水害が2.1メートル、今回は4.3メートルの高さに浸水痕があった。【7月13日 毎日新聞より】 ▼熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センター 2020 年7月豪雨に伴う熊本県南部における災害調査速報(第1報) https://cwmd.kumamoto-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2020/07/report_20200708.pdf
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【地域防災】ハザードマップの作成進む みなべ町、11地区をHPに掲載/和歌山
和歌山県みなべ町は土砂災害ハザードマップの作成を進めている。2019年度までに11地区の分が完成した。各地区で全戸配布するとともに、町ホームページで紹介している。「土砂災害が起こりやすい場所、避難場所、避難経路を日頃から確認しておきましょう」と呼び掛けている。残りは10地区で21年度までに完成するという。マップは県の基礎調査データを基に作成している。19年度は堺、芝、滝、市井川、東神野川の分が完成した。残りは埴田、山内、谷口、筋、熊岡、晩稲、熊瀬川、土井、広野、島之瀬。熊瀬川以外9地区は20年度に、熊瀬川は21年度に作る計画で進めている。航空写真上に、土砂災害特別警戒区域(建物が破壊され、住民の生命または身体に著しい危害が生じる恐れがある区域)と、土砂災害警戒区域(住民の生命または身体に危害が生じる恐れがある区域)を示している。【7月13日 紀伊民報より】
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【普及啓発】浸水住宅復旧へ講習会 建築士や大工ら対象に 16日に熊本県など
豪雨災害で浸水した住宅の復旧工事に向け、熊本県などは、建築士や大工、工務店関係者らを対象に「浸水住宅復旧のための講習会」を16日午後1時10分から、熊本市中央区のホテル熊本テルサで、同5時半から同県山江村の県建設業協会人吉支部でそれぞれ開催する。受講無料。県と県建築住宅センター、県建築士会の共催。浸水した建物はぬれた部分を乾かして、後でカビが生えたり臭いが残ったりしないように注意が必要となる。今後、本格化する復旧作業を前に、浸水被害に対応する技術やノウハウを会得してもらおうと企画された。講師は、災害支援団体「風組関東」の小林直樹代表や、建物修復支援ネットワークの長谷川順一代表らが務める。県建築課は「浸水家屋は地震で被災した家屋の復旧と異なる技術が必要となる」とし、受講を呼びかけている。【7月13日 毎日新聞より】 ▼(一財)熊本県建築住宅センター 浸水住宅復旧のための講習会 https://www.bhckuma.or.jp/seminar/%e3%80%90%e7%b7%8a%e6%80%a5%e9%96%8b%e5%82%ac%e3%80%91%e8%b1%aa%e9%9b%a8%e7%81%bd%e5%ae%b3%e3%81%a7%e6%b5%b8%e6%b0%b4%e8%a2%ab%e5%ae%b3%e3%82%92%e5%8f%97%e3%81%91%e3%81%9f%e4%bd%8f%e5%ae%85%e3%81%ae/
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【防災施策】熊本南部豪雨の激甚災害指定 1週間後めどに見込み公表へ
菅義偉官房長官は6日午前の記者会見で、熊本県南部を中心とした豪雨の激甚災害指定について、対象見込みの市町村を今後1週間程度で公表する考えを示し「早期復旧、復興のためには自治体が財政面で不安を持つことなく、早期に事業を実施することが極めて重要だ。まずは1週間後を目途に指定基準を満たすものがあれば、速やかに公表したい」と述べた。激甚災害に指定されると、自治体が実施する河川や農地などの復旧事業で、国の補助率が1から2割程度引き上げられる。【7月6日 西日本新聞より】
▼内閣府 激甚災害制度について
http://www.bousai.go.jp/taisaku/gekijinhukko/pdf/index_01.pdf -
【防災施策】水害対策でダムの「事前放流」広がる 降雨予測外れる「空振り」懸念も/京都・滋賀
大雨に備え、ダムの水位をあらかじめ下げて貯水できる容量を増やす「事前放流」の動きが全国に広まっている。京都・滋賀では19カ所のダムが対象で、浸水被害に悩まされてきた下流域の住民から歓迎の声も上がる。一方で、放流を判断する根拠となる降雨予測は難しく、農業用など治水向けではないダムをどのように有効活用するかという課題も残っている。日吉ダム(京都府南丹市)から桂川を下って約5キロにある同市園部町船岡の集落。昨年の台風19号では各地で緊急放流が相次いだ。西日本豪雨でも愛媛県のダムが緊急放流し、下流域に浸水被害が発生したことは記憶に新しい。政府は既存ダムの有効活用を打ち出し、事前放流の運用を促している。今月上旬までに全国99水系で事前放流に向けた協定が結ばれ、京都府では淀川水系の4カ所、由良川水系の5カ所、滋賀県では淀川水系の10カ所のダムで取り組むことになった。ただ、各ダム関係者からは事前放流の実施後、降雨予測が外れ、水位が回復せず農業用水などに影響する「空振り」を恐れる声も上がっている。【7月6日 京都新聞より】
▼国土交通省 事前放流ガイドライン
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001341537.pdf -
【地域防災】台風に備え防潮扉閉鎖訓練 関係者ら入念点検/大阪
近畿地方整備局や大阪府、大阪市などは5日未明、台風による高潮を想定した防潮扉の閉鎖訓練を淀川や神崎川などにかかる八つの橋で実施した。淀川大橋などは2018年9月の台風21号で防潮扉を閉鎖し市内の浸水を食い止めており、関係者らは操作手順や設備の状態を入念に点検した。同訓練は、台風期を前に万全の体制を図ろうと1977年から毎年7月に実施している。今年は新型コロナウイルスの影響で水防団の出陣式を取りやめるなど規模を縮小し、28の関連機関が参加した。大阪市西淀川区の区役所内に訓練本部を開設。大阪府西大阪治水事務所の九野康司所長が九州の豪雨で甚大な被害が出ていることに触れ、「高潮の脅威から人命と生活を守るため気を引き締め、訓練にあたらねばならない」と士気を高めた。【7月6日 大阪日日新聞より】
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【防災施策】新幹線、豪雨時は高架上に避難 JR九州熊本市の車両基地 最大で1~3メートル浸水予想
JR九州は、台風や豪雨で浸水被害が想定される九州新幹線の車両基地、熊本総合車両所(熊本市南区富合町)の浸水対策をまとめた。土地のかさ上げや止水板の設置といったハード整備は行わず、記録的な大雨が予想される前に車両を高架上に退避させる方法で被害の最小化を目指す。浸水対策の取りまとめは昨年10月、台風19号の影響で長野市にあるJR東日本の新幹線車両基地に大規模な浸水被害が出たのがきっかけだ。国土交通省によると、「千年に1度」の規模の豪雨で浸水が想定される新幹線車両基地は全国に7カ所ある。熊本車両所も含まれており、同省熊本河川国道事務所が2017年5月に公表した緑川の「洪水浸水想定区域図」では、想定できる最大規模の降雨(12時間雨量595ミリ)があった場合、1~3メートル浸水すると予想されている。【6月29日熊本日日新聞より】
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【防災施策】浸水想定区域の消防署や避難所、移転費用を一部補填
総務省は相次ぐ洪水被害に備えて、消防署や避難所の移転費用の一部を補填する事業に乗り出す。近年の集中豪雨で防災拠点が浸水する事例が起きているためで、財政支援は同省が進めている緊急防災・減災事業を活用する。これまでは東日本大震災を受け、地震や津波による被害を想定した施設整備を支援対象としていたが、大雨や台風で氾濫した河川による洪水被害なども対象に加える。事業費の7割を地方交付税で手当てする。消防署については、浸水想定区域から建物を移して新設する際の整備費用のほか、電源設備のかさ上げなども財政支援する。避難所では、上層階への移設や防水扉、止水板の設置などを支援する。すでに着手済みか、今年度中に着手した工事が対象だ。昨年の台風19号では、福島県須賀川市で広域消防組合の庁舎の非常用発電機が冠水し、一時的に使えなくなった。地方自治体からは、「集中豪雨の発生頻度が高まっている。堤防が決壊、河川が氾濫する台風被害も相次いでいる」などとして、国に支援を求める声が出ていた。【6月22日 読売新聞より】
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【地域防災】高潮被害うけ調査 防潮堤整備へ/兵庫
一昨年の台風21号による高潮被害を受けて兵庫県が沿岸部の調査を行ったところ、44か所で防潮堤や堤防などの高さが不十分だったことがわかり、令和10年度までに順次、対策工事を進めることになった。一昨年9月、神戸市付近に上陸した台風21号では、記録的な高潮で芦屋市や西宮市、尼崎市などの沿岸部で住宅の浸水などの大きな被害が出た。これを受け、県が海岸の防潮堤や河川の堤防の高さを改めて測量し、最新の台風のデータを用いて算出した新たな基準と比較した結果、海岸と河川の沿岸の少なくとも44か所、あわせて51キロメートル分について、防潮堤や堤防の高さが不十分だったことがわかった。対象の44か所は、大阪湾で19か所、播磨沿岸で9か所、淡路島沿岸で9か所、但馬沿岸で7か所となっていて、このうち芦屋市の南芦屋浜で最大2.2メートル、洲本市の都志と淡路市の富島で最大2メートル、また、香美町の無南垣では最大1.9メートル、高さに不足があった。このため県は、防潮堤などのかさ上げや水門を整備を進める10か年計画をまとめ、高潮対策を進めていくことになった。兵庫県では「台風の被害が大きかった芦屋市や西宮市の沿岸部などではすでに先行して工事を始めており、県全域での対策を急ぎたい」としている。【6月15日 NHKニュースより】
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【歴史・教訓】忘れない「28水」水害体験者らが冊子刊行 甚大被害の福岡・大刀洗町
1953年6月25日から29日にかけて、北部九州を猛烈な豪雨が襲った。「28水」と呼ばれる昭和28年西日本水害だ。福岡、佐賀、熊本、大分県などで死者・行方不明者が千人を超え、筑後川流域では床上浸水約4万9千戸、被災者数は約54万人に上った。大堰(おおぜき)村(現在の福岡県大刀洗町大堰小学校区)でも650戸中420戸が浸水する甚大な被害が出た。当時を知る住民らが冊子「故郷おおぜきあの日を忘れない昭和28年水害の記憶」をまとめ、防災への思いを新たにしている。冊子はA4判32ページ。水害の概要、被災当時の記録と復興後の現在の様子、住民の証言集、近年相次ぐ水害などを写真や図版を多用して紹介している。「憩いの園大堰交流センター」に展示されている写真が、冊子作成のきっかけになった。故 實藤(さねふじ)量平さんが28水当時の状況を撮影した約70枚で、遺族が10年ほど前、センターに寄贈した。ここ数年、水害が相次ぐ中で「当時の記憶も薄れている。写真や体験を伝えよう」と、住民らによる「28水に学ぶ会」が発足し、2018年から冊子を作る準備を進めてきた。センターは今後、28水の講習会やパネル展なども検討している。【6月14日西日本新聞より】
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【歴史・教訓】台風19号被害 宮城・丸森町の災害検証委が基本方針案を提言 避難所見直し、河川監視/宮城
昨年10月の台風19号豪雨直後の対応を振り返り、防災体制の改善を図る宮城県丸森町の「災害検証委員会」が、16項目の基本方針案をまとめた。想定浸水域や土砂災害危険区域にある避難所の見直しや、カメラによる河川の監視体制強化などを提言した。町のホームページなどで基本方針案を公開。6月1日まで町民から意見を募り、同月内に保科郷雄町長へ最終報告する。町は地域防災計画の見直しに基本方針を反映させる。基本方針案は「土砂災害や洪水に対応できない避難所を開設した」と反省点を挙げ、「安全で安心な避難所を設定する」との姿勢を示す。想定浸水域内でも上階への垂直避難が可能な場所は避難所とし、福祉避難所の拡充も盛り込んだ。氾濫した新川と五福谷川周辺に監視カメラを新設する。新たな観測地点として水位計と雨量計の設置も検討し、避難の判断材料にする。警戒レベルの発令は、町内8地区それぞれの地形的特徴を考慮せず全域一律としていた点を改め、地区ごとの発令にする。迅速な避難誘導に向け、町管理の要配慮者・避難行動要支援者名簿を自主防災組織や行政区長に配布する基準を規定化する。「配布のタイミングが遅かった」との反省を踏まえた。避難の呼び掛けは、防災行政無線の音声が聞こえにくい例があったため、町が配信する住民登録型メールなどで無線と同じ内容を伝える。冠水で孤立した町役場の代替施設や後方支援拠点の候補地として、舘矢間小校舎、旧丸森東中体育館、国民宿舎あぶくま荘などを検討する。【5月25日河北新報より】
▼丸森町復旧・復興基本方針
http://www.town.marumori.miyagi.jp/data/open/cnt/3/5657/1/houshin.pdf -
【防災施策】水防と防疫、両立へ備え 豊橋市が防災訓練/愛知
新型コロナウイルスがまん延する中、台風など風水害が襲ってきたら-。そうした事態を想定した防災訓練が22日、愛知県豊橋市であった。感染リスクが高まる三密状態になりがちな災害対策本部をどう運営すべきか、現場との効率的な情報共有は...。ほとんど経験したことがない「複合災害」を念頭に、対応策を一つずつ確かめ合った。災害対応の中枢を担う対策本部室は、三密に陥りがちな場所だ。幹部から防災担当の職員まで40人ほどが“缶詰め”となり、新型コロナの感染流行期にはクラスター(集団感染)が起きかねない。そのため、訓練では出席者は半分以下の15人に制限し、検温や防護対策を施して入室。他の人たちは各持ち場からビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を利用して参加した。今回は、別会場で実施した水防訓練の様子もドローンとズームを組み合わせることで、時間差なく対策本部に届けられた。豊川に落ちて流された水難者を、市消防本部に配備された水陸両用車などを活用し、助け出す様子が本部のスクリーンに投影されていた。市は今年4月、新型コロナが拡大する中での避難所の運営や感染予防の方針を発表。発熱やせきなどの症状がある人と、ない人を分けたスペースを各避難所に設けることや、除菌水噴霧器や体温計の配置などを定め、対策を進めている。佐原市長は「現場からオンラインで送られた映像がどんなふうに見え、やりとりができるか身をもって体験できた」と講評した上で、「災害はいつ発生してもおかしくない。職員には日ごろから高い防災意識を持って、備えてほしい」と呼び掛けた。【5月23日中日新聞より】