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【関東大震災100年】河田惠昭(かわたよしあき)

関西大学社会安全学部 特別任命教授・社会安全研究センター長

主な活動地域
兵庫県 神戸市
最近の防災・減災活動
  • 2023年08月 東京都 江東区 関東大震災100年シンポジウム(主催:国土交通省)基調講演「失敗しない地震対策に向かって」

    https://youtube.com/live/CsphDBdfZLY?feature=share
  • 2023年03月 東京都 世田谷区 関東大震災100年シンポジウム 基調講演「関東大震災から100年、国難災害に至急、備える」

  • 2023年09月 東京都 新宿区 「研究専門誌 運輸と経済」第83巻第9号 特集 都市災害に備えるー関東大震災から100年ー 都市災害のリスクとその対処方法(9月号,No.915,pp.13-20,2023)

関東大震災から100年経ちましたが、教訓として伝わっていると考えられることはなんですか?

後藤新平の当初の帝都復興計画は全面的には実行されなかったが、この震災の大被害がきっかけとなって、社会インフラに関しては、たとえば、8つの環状道路などの建設、500を超える鋼鉄製橋梁群の新設、市内の小学校校舎の高規格化と公園の配置などについては実行された。一方、都心に比べ被害が少なかった周辺の旧市街では、東京空襲の大被害を被り、その後、戦災復興を急がざるを得なかった事情から、都心と接続する復興計画も実施できず、無秩序に近い街が形成されてしまった。帝都復興計画は未完であり、創造的復興を目指すべきである。

いま、関東大震災級の地震が起きたら、心配なこと、解決していないと思う課題はなんですか?

首都圏でマグニチュード7以上の地震が起これば、1カ月以上長期広域停電する。これが必ず起こるにもかかわらず、防災の専門家も含め、政府・自治体やメディアの危機感が欠如している。東京電力は福島の原子力発電所の事故によって当然、倒産してもおかしくなかった。しかし、それでは政府も企業も住民も困るから現状をかろうじて維持している状態である。この温情を勘案して、同社は長期ブラックアウト対策に全力を尽くすべきで、洪水・浸水に弱い電線地中化は急ぐ必要はない。

関東大震災からの100年に学び、子孫たちに何をどう伝えていくか、考えていることをお聞かせ下さい。

震災は被災地に不幸だけをもたらすのではない。震災が起こらなければ変えることができないと思われたことができる。都市の構造などのハード改革や都民の生活習慣や幸福感などのソフト改革が可能となるのである。すなわち、災害が起これば現代の都市文明と文化の欠点を和らげ、“光り輝く未来”に変わるチャンスと考えて、事前に都民を含めて関係者の議論を活発化し、可能であれば震災前に創造的復興計画の一部を実行することである。

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