特集
どう進める「防災資産」の深化=活動の継続に多様な工夫−優良認定団体で「考える会」
災害の体験や教訓を伝える取り組みが評価され、「NIPPON防災資産」に認定された団体関係者が集まり、我が国の災害での犠牲者を一人でも減らすための活動をどのように広めて深めていくと良いか、事例を持ち寄って話し合う「深化を考える会」(写真1)が、2月21日、東京・有明の防災啓発施設「そなエリア東京」(写真2)で行われました。
(写真1)
内閣府と国土交通省が2024年度に創設したNIPPON防災資産は、全国の流域治水協議会等を通じて集められた「地域で発生した災害の状況をわかりやすく伝える施設」や「災害の教訓を伝承する語り部といった活動」のなかから、選定委員会での審議を経て、24年9月に「災害リスクを自分事化するという観点において、主体的な避難行動や防災行動につながる工夫、仕掛け等が特に優れている」優良認定が11件、認定が11件、選ばれています。
この日は、優良認定11件の関係者19人に加え、選定委員会の佐藤翔輔委員長(東北大准教授)や委員で国土技術研究センター(JICE)の徳山日出男理事長ら4人に、内閣府(防災)の松林高樹審議官、国土交通省水管理・国土保全局の藤巻浩之局長らも参加。そなエリア東京がある「有明の丘基幹的広域防災拠点」の本部棟にあるオペレーションルーム(写真3)などを見学しました。映画「シンゴジラ」では、政府の対策本部室として登場しましたが、首都直下地震の発生時には政府や関係の9都県市が集まる緊急災害現地対策本部となる場所です。会議も、防災棟の1室で行われました。
進行役を務めたのは、TEAM防災ジャパンお世話係でもある佐藤委員長。会では、活動の継続には語り部やガイドの人材育成の場作りがカギになることや、学校や教育委員会などとの連携など多様な工夫が共有されました。
選定委員を出した全国地方新聞社連合会副会長の笹目悟茨城新聞社東京支社長は「皆さんの活動は非常に参考になった」とし、徳山理事長も「JICEとしてサポートセンターを設置して、NIPPON防災資産を支えたい」と語りました。
佐藤委員長は「極めて優れた活動をされている皆さんの取り組みは、すぐ簡単にはマネできないが目指すものは共有していただけたので、NIPPON防災資産の活動が国内に拡がる大きな流れになる。今後、何をすれば人びとの行動を変えるのに役立つか、引き続き情報交換して、防災資産の取り組みを深化させ、日本の地域防災力を向上させていきたい」と今後への決意を語っていました。
進化を考える会の詳しい報告は、国土交通省のWebサイトで開催結果概要がpdfファイルで公開されています。