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特集

「国際復興フォーラム2018」レポート

内閣府や、国際復興支援プラットフォーム、兵庫県などの主催で、国際的な枠組みで災害復興を考える「国際復興フォーラム2018」が2018年1月24日(水)、神戸市中央区のホテルクラウンパレス神戸で開催されました。23カ国の政府や国際機関から119人が出席し、国連防災世界会議で定められた理念「Build Back Better」について、意見交換が交わされました。


「国際復興フォーラム2018」の概要は、こちらをご確認ください。

「国際復興フォーラム2018」


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過去の災害などを踏まえながら「大災害の経験からBuild Back Betterを考える」と題し特別講演した大西隆氏(豊橋技術科学大学学長、東京大学名誉教授)に、講演後にインタビューしました。

大西隆氏(豊橋技術科学大学学長、東京大学名誉教授)

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――日本において「Build Back Better」を考えることの意義について、どのように考えていますか?

津波や地震など繰り返し災害があるので、復旧するだけだと、また同じような被害があります。将来の世代に対して安心を残すためには、「Build Back Better」の考え方のひとつが、同じ被害を受けないということなので、重要であると考えています。

――日本のどんな経験を世界と共有して行くべきだと思いますか?

ひとつひとつの災害時の情報を発信して行くことが必要だと思います。国や地域、被災状況によって、どのような災害情報が参考になるのかは分からないので、被害にあってその後何があったかを丁寧に明らかにして、世界中の人と情報共有を図ることは重要です。そのためにはデータベースをきちんと整備して、そのデータベースを共有することが大事だと思います。


また、パネルディスカッションでモデレーターを努めたステファン・コーラー氏(国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)バングラデシュ担当局長)と登壇された清水陽氏(神戸市危機管理室計画担当課長)からもメッセージをいただきました。

ステファン・コーラー氏(国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)バングラデシュ担当局長)

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――今日の状況の中で「Build Back Better」を考えること意義について、どのように考えていますか?特に「Better」についての意見をお聞かせください。

同じ被害を起こさないために、過去の災害から学んでいくことが大切です。災害からの復興は多くの費用が必要ですが、その予算を確保するためには、過去の災害を踏まえて検討していくことが必要です。復興においても、投資としての考えが必要となります。

――地域の防災リーダーへのメッセージをお願いします。

地域防災はひとりひとりの防災教育が必要となりますが、それをコミュニティの中であらゆる災害に対するリスクを学んでいくと、個人個人がより防災への意識を強めることが出来ると思います。また、各地域の防災リーダーがネットワークを持つことで、知識の共有を図ることができ、同じ被害を起こさないための対応を図ることが出来ると思います。


清水陽氏(神戸市危機管理室計画担当課長)

――神戸市は被災地として、「Build Back Better」していくことを世界に発信することは、どのような意義があると思いますか?

神戸市は、地震から復興を果たしてきた中で経験として学んだことはたくさんあるので、次世代に伝えていくことは必要だと思っています。また、国内外からの支援があったからこそ復興を果たすことが出来たと思うので、神戸市の経験を国内外に広く伝えて、復興に貢献する都市として活動しながら、被災地としての役割を果たしていきたいと思っています。

――地域の防災リーダーへのメッセージをお願いします。

行政の力は限界がありますので、自助共助の取組は重要になります。是非、地域防災活動の取組を継続して進めていってもらえれば、地域だけではなく日本全体の防災に繋がると思います。


参考:「Build Back Better」とは
「「Build Back Better(より良い復興)」とは、災害の発生後の復興段階において、次の災害発生に備えて、より災害に対して強靱な地域づくりを行うという考え方である。潜在的な災害リスクを削減するには、できるだけ災害リスクの低いところに住宅を作ることや、都市の構造そのものを強靱にしていく必要がある。災害からの復興段階は、災害から得た教訓を生かし、被災後は、土地利用や構造的な対応など抜本的な対策を取るチャンスでもある。