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特集

「防災とボランティアのつどいin愛媛」登壇者インタビュー

 「平成30年7月豪雨」から半年、「防災とボランティアのつどいin愛媛」(主催:内閣府・防災推進国民会議、共催:愛媛県、協力:日本防災士会・特定非営利活動法人えひめリソースセンター)が1月27日、熱気あふれる満員の愛媛県県民文化会館で開催されました。

 当日は、山本内閣府特命担当大臣(防災)と中村愛媛県知事の開会挨拶で始まり、全国や愛媛県における「行政・NPO・ボランティアの三者連携」や「被災地支援のあり方」に関するパネルディスカッションや、「被災者支援と多職種連携」に関する基調講演等が行われました。

 県内外からボランティアや行政職員ら約260人が参加し、行政・NPO・ボランティアの三者が、平時から信頼関係を構築していくことが重要である旨を確認し合いました。

 今回、本イベントの登壇者の方々に、イベントに参加した感想や団体の活動内容、今後の活動予定等をお聞きしました。


<詩叶純子さん>

ボラつどい①

所属:
岡山NPOセンター、災害支援ネットワークおかやま事務局、倉敷市災害ボランティアセンター支援 ICT導入支援・情報発信・被災者生活支援班(通称:SEEDS班)担当

――イベントに参加した感想をお聞かせください。

 愛媛のみなさんの官民の連携を見せていただいて、その力強さを感じました。また、防災の中で協働への関心と動きが始まっていることに希望を感じる反面、平時からの協働を支える組織や人材の不足については取り組むべき課題だと感じました。

――持続可能で豊かな市民社会を実現するため、SDGsも視野に入れた活動をされているのでしょうか。

 岡山NPOセンターでは、平時からSDGsを共通言語として行動や協働を促すような取組を進めてきており、人材育成、協働支援等を行うため、昨年12月にはSDGsネットワークおかやまというNPO・NGOの連携組織も立ち上げました。災害時も変わらず、災害支援ネットワークおかやまの合言葉も「誰一人取り残さない」です。繋がる取り組みと理解しています。

――全国社会福祉協議会がワークショップを実施していますが、その効果はいかがでしょうか。

 一昨年に当法人も運営者として加わって、岡山で全社協ワークショップが開催されていました。そのことが社協さんの発災時の外部団体との連携に大きく貢献しています。決裁権のある方々に繋がっていくためには、巡回での開催が効果的だと思います。

――情報発信やICT導入をご担当されているとのことですが、ボランティアの受付、支援金集めなど、IT領域は今後どのように役に立つとお考えでしょうか。また、全国の地域にITテクノロジーをどの程度実装するべきでしょうか。

 ボランティア受付、物資調整、資金調達など、ITの導入により効率性は高くなり、無駄の削減や効率的な調達につながったと思います。また、対応のスピード感と広がりも大きく、全国からの支援を繋げたと考えています。特に今回はサービス提供各社の担当者とコミュニケーションを取りながら行ったことも効果的でした。IT活用はもはや必須であると思います。

 今後、全国で同時多発的に災害が発生する恐れがある中で、IT導入は前提とすべきだと思います。そのために各地の支援者、社会福祉協議会、行政のITへの「慣れ」の向上、活用できそうなサービスのメーカーとのオープンな対話の機会を増やすことが必要だと思います。

――今後の活動予定、抱負をお聞かせください。

 行政とも連携して常設化された「災害支援ネットワークおかやま」をプラットフォームとして、今後起こりうる災害に向けて行政も含めた連携を強化するとともに、現在の真備を中心とした災害支援も継続していきます。また、今回岡山で培ったことを他地域にもお伝えできればと、ノウハウ移転の展開もNPO間で行おうと考えております。


<山口聡子さん>

ぼら集い②

所属:

NPO法人シルミルのむら副理事長
元東京在住のセラピスト/ボディワーカー。地域おこし協力隊としてUターン。

――イベントに参加した感想をお聞かせください。

 災害時における全国の取組について知ることができたことは良かったです。愛媛県下でも自分の周りの動きしか追えていなかったので、各団体の活動に触れ、今後の平時や有事の際に協力できればと思いました。

――被災地支援において、愛媛県の地域おこし協力隊ならではの「できたこと」「苦労なさったこと」を教えてください。

 私がUターン協力隊で、NPO法人に属していたこと、個人事業主型協力隊だったことが活動の幅を拡げたと思います。協力隊だから困ったことはなく、自分のキャパシティを超える活動になったことが苦労といえば苦労でした。地元のだれからも強制された活動でなく、全て自身の原動力によるものです。

――地域おこし協力隊の方が全員被災者支援や復興に参加しているわけではないと思いますが、今回の活動をどのように横展開していけば良いでしょうか。

 有事の際の協力隊のネットワーク構築の話を、他県の方からも頂いています。復旧や復興のフェーズで活動したことをシェアできる場を県下でも頂いており、有事対応のヒントに使っていただければ幸いです。

――今後の活動予定、抱負をお聞かせください。

 復興の長い道のりを、支援でなく共に日々をつくるNPO法人として、関わる方を増やし、食や農業、コミュニティビジネスなど、学びの場を農村地域で循環させるような取組をしていく予定です。


<竹内よし子さん>

ボラつどい③

所属:

特定非営利活動法人えひめグローバルネットワーク代表理事
これまで「えひめグローバルネットワーク」というNGOで国際・環境・教育のネットワークやパートナシップづくりを実践してきたが、今回の豪雨で初めて地元・愛媛での災害支援を実施。

――イベントに参加した感想をお聞かせください。

 今回の「つどい」では、愛媛県内外の多様な登壇者による発表やパネルディスカッションにより、内閣府が進める行政・社会福祉協議会・NPO等の「三者連携」への理解を深め、日頃から「災害に備えたネットワークづくり」が大切であることを学ぶことができました。

――「元気の出るたまねぎ」、「買って応援!」の活動について教えてください。

 被害を受けた愛媛県大洲市の農家さんから「200kgの玉ねぎの処理に困っている」という相談がありました。規格外で不ぞろい、だけど“元気の出る”たまねぎとして農商工連携サポートセンターさんが「買って応援!」を呼びかけたところ、募集24時間で完売しました。MLを活用することで問題を解決することができました。

 ※たまねぎの価格:1箱10キロ入りで3千円(千円は農家さん、千円は送料、千円は大洲市 に寄付)

――今後の活動予定、抱負をお聞かせください。

 愛媛は災害が少ないと言われてきましたが、気候変動をはじめ様々な変化が起きています。今回の豪雨災害を機に、県内外の支援関係者から「受援力」や「支援力」のあり方・伸ばし方を学び、「共助」の輪を広げるべく、地域ごとの横のネットワークづくりを進めていきたいと思います。