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特集

「第33回防災ポスターコンクール」審査員インタビュー(前編)

2018年1月31日

内閣府では、平成30年1月21日(日)に第33回防災ポスターコンクールの表彰式を実施しました。表彰式に先だって平成29年12月に審査委員会を開き、12,245点の応募作品の中、防災担当大臣賞、防災推進協議会会長賞、佳作、入選作を選定しました。この度、審査員を代表して為末大さんにインタビューをし、前編、後編と2回に分けて掲載します。前編では、防災ポスターコンクールを審査した感想などをお聞きしました。


為末大さんプロフィール

1978年広島県生まれ。
スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。3度のオリンピックに出場。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2018年1月現在)。
現在では、スポーツを通じた様々な社会貢献活動を行っている。

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防災ポスターコンクールの実施要領や審査結果は、こちらをご確認ください。

「防災ポスターコンクール」



――防災ポスターコンクールを審査された感想を教えてください。

これだけ多くの子供たちが絵に興味を持って取り組んだことに感銘を受けました。その中で防災という言葉は、結構範囲が広い話だと思いますが、地域コミュニティーが存在するかどうかが、防災の重要な点だと思います。そのような意味でポスターを描くことで、そもそも何が防災の範疇なのかを考えたと思うと、それぞれ違う捉え方や色々な範囲でとらえてていてとても面白いと思いました。


――普段は防災について、どのようなご活躍、どのようなお考えがありますか。

防災でいうと、いざ何かあった時に各自の役割でやることあると思いますが、震災の時に現地に行ってインパクトが強かったことは、日常の人間関係がかなり出るということです。テクノロジーの側面では徐々に進化していますが、人に関する領域は目の前の人に出す情報一つ一つが、どのぐらい自分の個人的な内容を曝け出すかということと防災全体で協力しあうクオリティーに影響を与えているのではないかと思うと日々の関係性もかなり出てくるのではないかと考えます。スポーツは、どちらかというと人間の関係性を円滑にする潤滑油のような側面があるので、そのような場面で貢献できる可能性があるのではないかと思ってます。


――実際に震災後に被災地に入られてスポーツを被災者の方と一緒にやってみて、地域がどのように変わっていったのかご覧になった事をお聞かせください。

子供たちと関わる事が多いですが、一つ係わった事で興味があったのは地域の祭りが出来なくなってしまいました。祭りを復活させようという話のプロセスの中で、年に一回、祭りをやるというイベントを行った際、仕方ないからという理由で人が集まってくる。祭りをどのように運営するか等を話合う事で人間関係の構築に繫がっていて、それが何か起こった時のセーフティーネットになるという関係性だったので、見ていて勉強になりました。それが実際に壊れてしまうと、もし仮に災害があった時に誰が何処にどう電話する等、スマホが普及すると、ある意味、地域の人と繫がるよりもSNSなどで別の関係性の人と繫がる方が楽になり、目の前の人達の連絡先は持っていない事になっている。我々の世代は、そうなりつつあって、リアルの場とネットの場のコミュニティーを上手く混ぜておくことが、防災では重要だと思っていて、リアルの場の方は何かの理由で会うしかない。会うきっかけを作るしかないと、その時に感じました。
僕も近所のどこに車椅子の人が居て、おばあちゃんが居るのか知らないので、誰を助けに行けば良い分からない。子供が何処にいるのかも分からない。個人情報というのは非常に難しい兼ね合いですが、そこはコミュニティーで上手にお互いを緩やかに知る事が出来るのではないかと思っています。


――そのようなことを日々やっていると何かあった時にも大切となります。今日の絵をご覧になって、何かそのようなことを感じたことはありましたか。

防災は健康と似ているような気がしていて、「あなたは準備していないと大変な事になりますよ」という恐怖の側面があります。もう一方で悲しさと楽しさをどう混ぜるかという人間のモチベーションも重要です。「北風と太陽」の話のようなものですけど、どのように防災というテーマに対してポジティブなイメージと柔らかなイメージを持つかというのは、説明を重ねていっても難しい側面がある様な気がします。しかし、命を守るっていうのは重要です。そのロジックだけでいくと、完璧に防災やっている層と全くやらない層と分断されるというのを感じていて、完璧ではないが興味を持ってみる入口が重要だと思います。ポスターのような比較的、感性に訴えるものは「あれっ?そういえば家の避難する場所決めていたっけ?」という意図でやっていると思いますが、言葉を尽くすよりも絵で表現するというのは凄く響くと思いました。
興味を持ってもらうというアプローチと正しい知識を広げるというのは二段構えの様な気がしていて健康の側面でいくと健康もやる人はやる。まったく興味の無い人達に健康の方にどう興味をもってもらうかというアプローチは、今回見てて感じました。

(後編につづく)

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