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特集

東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS)の取り組み 〜学外に開かれた実践的研究機関として

2016年1月18日

東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS)

 

2014年8月に完成した東北大学災害科学国際研究所(略称IRIDeS:イリディス)の研究棟は(同年11月開所)、現在整備中の新青葉山キャンパスに位置している。取材で訪れた2015年11月末には隣接して新しい建物が建設中で、キャンパスが拡大しつつあることがわかる。建物の上階からはかつてゴルフ場だったという起伏に富んだ景観が目の前に広がり、自然に恵まれた環境である。

広報室の中鉢(ちゅうばち)奈津子さん(特任助教)によると、IRIDeSは7部門37分野が集結しており、文理の枠を超えた学際研究が推進されている。研究室や会議室と廊下の境界が全てガラス張りになっているのも、オープンで交流が生まれやすい効果を狙ったデザインなのだそうだ。実際、複数の研究室で、我々の突然の取材に快く応じていただいた(写真参照)。

実践的防災学を掲げるIRIDeSは、広く市民に対しても開かれた情報発信をめざしている。その一例が東日本大震災で被災した現地に開設された分室「気仙沼サテライト」であり、もう一つは、定期的に開催される「IRIDeS金曜フォーラム」である。今回TEAM防災ジャパンではこの2つを中心に取材した。

オープンな研究室
【オープンな研究室】
「歴史資料保存研究分野(人間・社会対応研究部門)」では、古文書の撮影が行われていたが、災害情報の集積だけでなく、被災した古文書の手当や救済の方法論を検証し、歴史文化の持つ社会的な役割と地域文化の防災・減災にむけたあり方を研究するそうだ。
「海底地殻変動研究分野(災害理学研究部門)」では、GPS衛星の電波を直接受信できない海底において、地殻変動を観測するしくみについて説明していただいた。
「地震津波リスク評価(東京海上日動)寄附研究部門」では、東日本大震災の被害実態を鑑みて、地震・津波の影響評価やリスク評価手法の更なる高度化を図っているほかに、被災地での復興を支援する中でハード(マング ローブや防潮林の活用など)およびソフト対策(防災教育や避難訓練の企画・実施)によりリスクを軽減する総合対策も検討しているのだという

 

●市民に開かれた情報提供の場。「気仙沼サテライト」

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IRIDeSの分室「気仙沼サテライト」は、気仙沼市魚市場前の商業施設「海の市」の3階にあり、市民に開かれた場とすべく、月曜日から金曜日まで2人の技術補佐員が分担して常駐している。その1人、鈴木修さんは地元消防署のOBだという。

東日本大震災の際、高台にあった鈴木さんの自宅は無事だったものの、津波はすぐ目の前まで押し寄せ大きな被害をもたらした。震災直後からは近所の避難所が閉鎖するまでボランティアとして働き、その後「みちのく・いまを伝え隊」に参加した。気仙沼市内や遠くは一関市内の仮設住宅などを回りながら住人の話を聞き、証言を集め、定点観測的に写真を撮り、震災直後からの被災地の様子を記録し、人々の記憶や将来への思いを証言としてまとめ報告してきた。IRIDeS発足時に白羽の矢が立ち、技術補佐員として採用されたのも、その丁寧な聞き取り調査への信頼が厚かったからだ。

現在、気仙沼サテライトでは、大学からの情報発信や、大学の学生・教員の活動支援、防災教育への協力、震災アーカイブ活動、防災に関する各種相談の受付などを行っている。

例えば2013年11月から2014年3月まで分室が入っていた中央公民館では一般向けの展示を行っていた。これはグッドデザイン賞を受賞した「災害のデータスケープ」のパネルが好評だった。現在の分室では展示スペースが限られて