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特集

レクチャー「自治体と、NPOやボランティアとのネットワークをどう育むべきか?」

2018年3月15日

「自治体と、NPOやボランティアとのネットワークをどう育むべきか?」をテーマに、ボランティアのすそ野を広げるために必要なことなどについて、室崎益輝先生(兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科・科長 教授)にインタビューしました。


<室崎益輝先生のプロフィール>

兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科・科長 教授
出身地:兵庫県
専門分野:防災・避難計画、コミュニティ支援、都市計画、地区(まちづくり計画)
最近の防災・減災活動:
「事前減災・・その構えと備え」(関東弁護士連合会シンポジウム基調講演)、「減災に資する人材育成」(内閣官房ナショナル・レジリエンス懇談会プレゼン)、「被災地の教訓の継承・・阪神・淡路から中越へ」(自治体災害対策全国会議基調講演)、「災害と自治体の危機管理・・熊本地震を踏まえて」(地方議会人47巻3号)、「自治体は『想定外の災害』にどう向き合うか」(ガバナンス188号)、「糸魚川大火からの復興の課題・・過去の大火経験に学んで」(日本災害復興学会誌「復興」19号)


――災害時になぜボランティアが必要だと思いますか。

大きな災害が起きると、自分の力では立ち上がることのできない被災者が多くいます。そこに助けを求めている人がいれば、助けに行く人が当然必要になってきます。但し、助けを求める人が多くいるという背景には、いくつかの問題があります。
一点目は、災害の規模が大きくなっていることが上げられます。災害が次から次へと発生すると、災害の規模や破壊力が大きくなって、それに応じて大きな被害が生まれてきます。
二点目は、災害に対して行政は、人口減少による財政難や、以前に比べ業務も多岐に渡っており、防災に手を割くことができなくなっています。
三点目は、以前は行政の支援がなくてもコミュニティだけで助け合うような社会が日本の中にはありました。ところが、高齢化が進み、若者がいなくなっているということもありますし、コミュニティの中の人と人の結びつきが以前ほど密接ではないことで、コミュニティ自体が弱くなっています。その結果として、必要な支援が得られなくて路頭に迷う被災者がたくさん出てきます。


――ボランティアのすそ野を広げていくためには、どのようなことが必要だと思いますか。

公助と自助が共に非常に弱くなっているので、そのギャップを共助でカバーする必要があるということに尽きると思います。災害時には、支援が足りないために震災関連死が多くいることや、地域、コミュニティを離れて、これまで住んでいた場所に住めない人が多く出てくるというような問題がおそらく出てきます。そのような中で、ここに困っている人がいる、ここに助けを求めている人がいるということが伝われば、人であれば誰しも助けに行こうという気持ちになります。しかし、その助けてあげたいという人と助けてほしいという人を結びつける接点が見つかりません。そこの接点をどういう風にうまく作るのかが課題です。
また、ボランティアが支援に行くための環境や移動手段などの費用負担なども十分に対応できていません。ボランティアに行くためのバスを出すことや、旅費をボランティア割引するなどの取組みを行うと、よりボランティア参加者は増えると思います。
九州北部豪雨時に福岡の被災地に、うきはベースという、大学生ボランティアが多く集まれる拠点がありました。このような拠点を作り、宿泊や移動手段など最低限の環境がもう少し整備されればボランティアは参加しやすくなります。このようなボランティアが行きやすい環境や、被災者と結びつくような環境をどう作っていくのかというところがまだまだ十分ではありません。
そのため現地にカウンターパートを作って、カウンターパート同士で受け入れる体制ができると、かなり組織化されると思います。機能別、職種別の窓口を多く作ることによって、マッチングを比較的スムーズにすることができます。各々の組織が分散しながらネットワークを作るようなシステムにもう少し慣れていかなければならない。また、ネットワークの情報交流に必要であり、加えて全体を見ることができるコーディネーター役というのはとても重要です。加えて、必ずしも災害の為のNPOやボランティア組織でなくても、地域の中には様々な市民団体がいるので、市民団体や自治体、企業などが協力できる体制になると良いと思います。
地域レベルから市町村レベルで事前に顔の見える関係を出来るだけ幅広い関係で作っておき、避難所運営訓練などの訓練に地域の方の参加を呼び掛けて一緒にやっていくと良いと思います。


――事前に顔が見える関係をつくることが必要ということでしょうか。

兵庫県では、防災組織の中に高等学校の校長会が入っており、これは大きな力になっています。現在、兵庫県では全ての高校が、熊本県などにボランティアに行きます。これは各校の校長先生の理解があるからであり、高校ぐるみで全校で行くというつながりになりました。このように、高校生の教育にもなるということが分かると、他校でもボランティアに出そうかという話になります。
また、2014年の兵庫県丹波市での水害時に開催したボランティア会議では、一般の市民団体が多く参加し、うちはお金が出せる、うちはこういうことができるなど、各々ができることを話し合って実行してくれました。そのような関係性ができるよう、日常的な関係性をどう作るかということが大事だと思います。


――地域の防災リーダーの方々に向けて、災害に強いまちづくりを進めていくためのメッセージをお願いします。

被災地に行かないとできないことがあることを、もっと強く伝えていく必要があります。被災地へボランティアに行ける人は、できるだけ行ってほしいと思います。やはり現地に行って、被災者のお婆さんの手を握るだけでも、被災者の力になります。
一方、ボランティアのプロのような人は増えています。同じ人が何度も九州などの被災地に行っています。そのことが逆にボランティアの入り口を狭くしていると思います。ボランティアのすそ野を広げる努力をもっとするべきだと思います。そのためには、兵庫県の高校のように、無理やりでもいいから被災地に連れて行き、元気を見せることも必要です。若い人や初心者にボランティアをさせる仕組みづくりをしていくことが必要だと思います。具体的には、「子供たちとお祭りをするので全国からお祭り支援に来てください。」、「教育のためのことを子供たちとやるので来てください。」、「今年はみんなで田植えをするので来てください。」など、防災とは直結しない形で呼び掛けてみると良いと思います。どうやったらボランティアに来てもらえるかということを企画することも、リーダーの仕事となります。
被災者が求めているのは、泥出しだけではありません。子どもの世話を見て欲しいといったことや、買い物に行けないなど、被災者が求めていることをうまく拾い上げるような組織が持てると良いです。多様なニーズを拾い上げて、そのニーズだったらボランティアに行こうというような仕掛けを作る必要があると思います。

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