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「第34回防災ポスターコンクール」レポート
内閣府は、平成31年1月20日(日)に第34回防災ポスターコンクールの表彰式を実施しました。今年度は、過去最多となる応募総数14,237点の中から、防災担当大臣賞5作品、防災推進協議会会長賞5作品、審査員特別賞2作品、佳作17作品、入選210作品が選定され、このうち防災担当大臣賞、防災推進協議会会長賞、審査員特別賞の受賞者が、表彰式に参加しました。
表彰式は、山本内閣府特命担当大臣(防災)と大塚日本赤十字社副社長の挨拶ではじまり、受賞者への表彰、審査委員からの講評などが行われました。
受賞者の方へのインタビュー、表彰式に先だって昨年12月に開催された審査委員会での審査員コメントについても併せてご報告します。
<山本順三内閣府特命担当大臣(防災)ご挨拶>
本日は、防災ポスターコンクールの受賞おめでとうございます。
この防災ポスターコンクールは、今回で34回目となります。小さなお子さんから大人まで、皆様にポスターを描いていただくことを通じて、学校やご家庭で皆さん一人ひとりの防災意識をより高めていただきたいという思いから、毎年開催してきました。
今回は、災害時にどうすれば多くの人が助かるのか、またそのためにどんな準備をすればよいのか、皆さんが作品を通じて伝えたい熱い思いがしっかり伝わってくる素晴らしい作品ばかりでした。
災害はいつ、どこで起きるか分かりません。「自分の命は自分で守る」ことができるよう、ご家族や学校の先生方、お友達、近所の方々と一緒に、正しい知識を学び、危ないなと思ったらすぐに避難する。そういうことが大事です。
また、皆さんには、実際に災害があった時に、いろいろなことを考えてみんなの先頭に立って活動出来る、そんな人になって頂きたいと大いに期待しています。
皆さんの作品は、これから「防災白書」という政府が出す災害の本に掲載したり、いろいろな所で展示をしたり、国民の皆さんに防災について考えていただくことに使わせていただきます。是非これからもご家庭や、学校、それぞれの地域において、防災について考え続けて欲しいと思います。
<大塚義治日本赤十字社副社長(防災推進協議会会長代理)ご挨拶>
全国のたくさんの応募の中から、皆さんの作品が優れた作品として選ばれましたこと、本当におめでとうございます。
災害を事前に防ぐことはできませんが、起きてしまった際に少しでも被害を減らせるように準備をすることが大事です。
皆さんの作品が一人でも多くの目に留まり、災害に備えてもらうきっかけになれば素晴らしいことです。これからも、健康に気を付けて勉強に励んでいただき、いつも防災のことを考えてもらえればと思います。
<池上三喜子さん(公益財団法人市民防災研究所理事・特別研究員)講評>
応募総数14,237点もの中から、優秀賞として選ばれた皆さんの作品は本当に素晴らしいと思います。
これまでは直近の災害から受けた印象を描いたポスターが多かったのですが、今年は「提案型」の作品があったことが印象的でした。例えば、「備え」を啓発するものや、「防災は“みんなで”行うものだ」というメッセージもありました。読者に疑問を投げかけ、考えさせられるような作品もあり、色々な方の気付きを促す素晴らしい作品が多かったです。
国内だけでなく海外の方にも作品を見ていただき、日本ではこのように防災力を高める取組を活発に行っているということを広報していきたいと思います。
また、本日皆さんには全国からお集まりいただいていますが、このポスターコンクールをきっかけに、もしどこかの地域で災害が起こってしまった時に、お互い支え合えるような関係ができることを望みます。
<庄司美季さん(さいたま市立植竹中学校 中学1年)発表>
今回、第34回防災ポスターコンクールで、防災担当大臣賞を受賞することができ、嬉しく思います。
昨年は多くの災害が発生しましたが、「実際に災害が起きた際に私たちに何ができるのか」ということを考えながら、ポスターを描きました。私たちの作品を、多くの方々に見ていただきたいと思います。
<受賞者インタビュー>
――どのような思いでポスターを描かれたのか教えてください。
三浦琉依さん(幼児・小学1・2年生の部 防災担当大臣賞):みんなが助け合えるようになればいいと思いました。
後藤田悠貴さん(小学3~5年生の部 防災担当大臣賞):家の近くに吉野川があり、洪水が起きた時のことを考えて描きました。
松本涼花さん(中学2・3年生の部 防災担当大臣賞):昨年の大阪北部地震を体験し、自分を守る行動が大切だということを伝えたいと思いました。
目黒史歩さん(小学6年生・中学1年生の部 防災推進協議会会長賞):大阪北部地震でブロック塀が倒れたことによる被害があり、その危険性を訴えたいと思いました。
清重郁子さん(高校生・一般の部 防災推進協議会会長賞):昨年、台風21号の影響で関西国際空港が孤立してしまった際、外国人の方が非常に困ったというニュースを目にしました。そのため、日本人だけでなく、皆が協力し合うことが必要だというメッセージを込めて描きました。皆の笑顔が作られるような取組をしていかなければならないと考えています。
<本審査会での審査員コメント>
朝原宜治さん 大阪ガス株式会社 元陸上選手
ポスターといえば、見た目やインパクトを重視するものが多いと思っていましたが、じっくり見るとすごく良く考えられている作品があるなど、とても勉強になりました。貴重な体験をさせていただきました。
池上三喜子さん 公益財団法人市民防災研究所理事・特別研究員
机の下に子どもが隠れているポスターが多くあり、地震の際には机の下で身を守ると良いということ自体は浸透していると感じました。ただし、実際には、机の脚を持ちながら身を隠すことが重要です。また、水害に関するポスターもたくさんありましたが、すでに水に浸かった状態で避難していては遅いです。避難のタイミングについても、もう少し広報する必要があるかもしれないと感じました。
岸ユキさん 女優・画家(二科会会友)
「災害」に対する皆さんの意識が成熟してきて、じっくり考えさせられる作品が多かったと感じました。新しい観点で描かれた、良い作品がたくさんあったと思います。
長谷川ゆかさん 画家・デザイナー
日本の災害の多さは世界的に有名です。災害のバリエーションが増えるとともに、ポスターのバリエーションも増えているようでした。予期せぬことが多すぎる世の中において、小さい頃から災害に対する意識を育むことが重要だと感じました。
堀乙彦 日本赤十字社救護・福祉部長(主催者)
今回1万4千を越える応募があったということで、災害に対する意識が世の中に広がっていることを感じました。
米澤健 内閣府大臣官房審議官(主催者)
今年は災害が多かったため、子ども達がテレビで被害の様子を目にすることも多かったと思います。そこに自分の経験を加えることで、良い作品ができあがるのではないかと思います。小さい頃から防災について考えるきっかけを持ってもらうことが重要なので、引き続き本ポスターコンクールを開催していきたいと思います。